ギスカブログ

 読書しながらスモールライフ「ギスカジカ」のブログ

女性のためのカウンセリングとは

 「自分でできるカウンセリング」という本を読みました。
 相変わらずカウンセリング関係の本を読んでいるのです。
 この本には副題がついています。
 「女性のためのメンタル・トレーニング」です。
 どうやら女性向けの本のようです。
 私は想定された読者ではないようですが,カウンセリングの教養を増やすためにはいいと考えて手に取りました。
 印象に残ったことを述べていきます。

 印象に残ったことの一つ目は,社会学の本のようだったことです。
 女性学といってもよいのでしょうか。
 この辺りは耳学問程度なので分かりませんが,心理学の本ぽくはなかったです。
 2010年初版なのですが,その時代における女性の社会的立場とそこから生じるストレスについて述べているのです。
 いわく結婚についてのストレス。
 家庭内における女性的な役割にかかるストレス。
 女性らしさから生じるストレス。
 この辺りについて述べているのです。
 これら女性がおかれている社会的な状況には,改善をしなければいけないと思います。
 まあでも,初版から10年ちょっと経ちました。
 変わっている部分もあれば変わってない部分もありますが,少しずつ社会は改善しているように思います。
 専門家には全然だめ,悪化しているといわれそうですけれど。
 でも,結婚しない人は男性でも増えていますし,するしないをよい悪いでとらえる雰囲気も減ってきていると思います。
 それに最近は,結婚は性別よりは経済の問題とからめて議論している人の方が多いと思います。
 と少しずつ状況が変わっていってる中でこの本をどう評価するか,です。
 社会的・文化的ストレスをどう取り扱うかについて述べた本ととらえるのが,自分にとってはいいように思いました。

 印象に残った二つ目は,そういうストレスへの対応策です。
 社会的・文化的ストレスに対する有効な策はどんなものか,ですね。
 この本はカウンセリングの本なので,社会的にどうするかではなく個人としてストレスにどう対処するかを述べています。
 その策ですが,他のカウンセリングの本とあまり変わりませんでした。
 臨床心理学を根本としている以上,変わりようがないのかなあという印象です。
 つまり,状況が特殊であっても対策は一般的ということです。
 抱えた問題と自分の状況のスモールステップによる分析。
 適切な自己表現による関係づくり。
 リフレーミングによる認知の変更。
 「べき」という暗示の自覚と新たな行動への一歩。
 自分は「もうだめだ」と認識する前に,これらのことをゆっくりでいいので着実に行っていくことが大切なのだと思いました。

 最後に本を閉じてから,頭に浮かんだことを述べます。
 たくさんの臨床心理学やカウンセリングの本を読んできてよかったなあ,ということです。
 自分は男性ですので,この本のような社会的文化的状況になることはないでしょう。
 しかし,自分が想定していない状況になっても,学んできたことによって対処できる,少なくてもどうしていいか分からないということにはならないだろう。
 そう思えました。
 つまり,少しは身になっているということです。
 これからも心理学の学問的,実践的な成果を学んでいこう。
 そう思いました。

 

 

人間関係でストレスを溜めないためには

 カウンセリングや臨床心理学の本を何冊も読んでいると,主張が重複していることも多くなります。
 多くの人が大事に思っているということは,おそらくそこが要点なのでしょう。
 一方で,その筆者独自の主張も分かるようになってきました。
 とはいえまだまだビギナーです。
 もっと多くの本を読んで見たい気持ちでいっぱいです。

 さて今回読んだのは「人間関係でストレスを溜めない技術」です。
 人間関係に焦点当てているのが特徴ですね。
 でも,アドラーによれば問題は人間関係から生じるといいますけど。
 読んだ感想を述べていきたいと思います。

 印象に残った一つ目は,相談することでマイナスになることもあるという主張でした。
 悩んだらまずは相談というのが,問題解決の初歩のような気がします。
 でも,そうではないようです。
 いや,相談したら小馬鹿にされたとかそういう論外な場合ばかりでもないのです。
 相談した相手の返答が自分の実力では実行できないとき,親身に答えてくれた友達の期待にそぐえなかったとき。
 こういうときは,相談したことそのものを悔いてしまいます。
 相談したことで,別の悩みを抱えてしまった場合です。
 相談するだけの関係ならよいのですが,相談した相手と様々な場面でかかわっている場合は,相談の結果がどうなったか相手も気になるわけで,それがプレッシャーになるのです。
 つまり,相談する相手との関係が大事になってくるのですね。

 印象に残った二つ目は,過去の失敗をひきずる場合の対処法です。
 過去を変えることはできないのに,過去の失敗をくよくよすることって,誰にでもあることでしょう。
 こういう失敗って,忘れようとしてもフラッシュバック的に突然思い出されるのですね。
 そういう風に思い出されるということは,心の奥底では解決されていないということなんだと思います。
 では,どうしたらよいのか。
 ひきずる過去を全体として扱うのではなく,細かな段階に分解をします。
 そうして細かな段階それぞれでどうしたらよかったのかを考えます。
 そうすると,自分が取り組むべき課題がはっきりしてきます。
 その課題が解決できればいいのですが,そういう場合ばかりとは限りません。
 その場合は,課題の解決を具体的なスモールステップで行うようにします。
 ひきずる過去を漠然とこわがるのではなく,客観的に分析して冷静に対応していく。
 仮に解決しなくとも,解決の見通しが立てばもうこわくはないはずです。
 過去から解放される方法の一つとして有効ではないかと思います。

 それでも,ストレスの気持ちが晴れないこともあるでしょう。
 筆者は気持ちの切り替えポイントとして5点挙げていました。
 自分をほめる。
 小さなことに感動する。
 そのうちよくなるさと考える。
 自分で自分におまじないをかけてみる。
 太陽の光をいっぱい浴びる。
 この辺りは他の本と共通する点も見られます。
 有効な気分の切り替え方は似てくるのでしょう。
 確かにどれも効きそうです。

 振り返ってみて,本書を読んで一番参考になったのは,問題に対してスモールステップで解決を図るという点です。
 段差が小さければ自分で解決できそうですし,解決すれば自信もつくでしょう。
 実際に問題に当たったとき,これならできる,やってみたいという気持ちになりました。


 

むくわれない人生と感じた時にどうするか

 今回読んだのは精神科医香山リカさんの「『むくわれない生き方』を変える本」です。
 自分の人生がむくわれないと感じている人に向けての本です。
 香山さん自身もむくわれないと感じていた時期があるそうです。
 私も自分の人生がむくわれていたとは思えていません。
 でも,こうした感じ方は日常をつまらなくします。
 乗り越えた方がよい感情です。
 本を読んで思ったことをいくつか述べていきます。

 むくわれない心理はどこからやってくるのか。
 香山さんがいうには,他人の存在が引き起こすとのことでした。
 とはいっても,他人があなたに直接何かをするわけではありません。
 他人の存在がむくわれないという気持ちを生じさせるのです。
 つまりは比較です。
 他人と自分を比較することで,むくわれないという気持ちが起きるのです。
 あの人より自分は努力をしている。
 あの人は自分よりいい環境に生きている。
 それなのに,あの人は自分より富や地位を得ている。
 自分はむくわれない。
 こういう感情です。
 不公平感ほど,人間の感情をゆさぶるものはありません。
 なので,いつまでも心の奥底にこの感情はいつづけます。
 他人が存在しなければ,同じ環境,同じ状況であってもこんな気持ちにはなりません。
 なるほど,むくわれなさに対する本質的な指摘だと思いました。

 では,むくわれなさにとらわれないためにどうすればよいのでしょうか。
 一つは現在の努力を将来の見返りに結び付けないことです。
 かさじぞうのおじいさんのですね。
 別にお礼がほしくてかさを被せたわけではありません。
 現在の生き方に没入すること。
 やっていて満足できる日々を送ること。
 こういうことが大切になるのだろうと思います。
 歴史上むくわれなかった人はたくさんいます。
 生前絵が一枚しか売れなかったゴッホもその一人でしょう。
 暗殺された坂本龍馬もそうです。
 彼らの人生はむくわれなかったのか。
 誰にも分かりません。
 そうした人を考えるとむくわれるという概念がゆらいできます。
 そんなことにとらわれずに生きる方が大切と思います。
 香山さんは施設にランドセルを贈ったタイガーマスク運動を例に挙げます。
 この運動は,感謝されたとしても自分が社会的に認められることはない運動です。
 しかし,伊達直人としてプレゼントをした人は幸福を感じたはずです。
 ここにむくわれなさはありません。
 誰かを幸せにする行動には,むくわれるむくわれないという観点が存在しないのです。

 香山さんはそれでもむくわれないと感じる人のために,具体的なアドバイスをいくつかしています。
 目の前に自分が現れたらどう声を掛けるか。
 寝るとき「今日もいい一日だった」とつぶやく。
 ふと空を見上げてる。
 このようなものです。
 自分に合った方法を選び,それで気分転換を図れればいいと思いました。
 むくわれた,むくわれないと感じることそのものが,あまり心の健康によくない。
 読後,そう感じました。
 自分の満足を追究することが,平穏や幸福につながるのだなあとつくづく思いました。

非定型発達って何?

 発達障害についての本を読みました。
 いつものように心理学の棚を探していて手に取った一冊です。
 パラパラとめくると,マンガでした。
 発達障害は心理学と微妙につながっている領域です。
 マンガで描かれていることもあって興味を持ち読みました。
 タイトルは「空気が読めなくてもそれでいい。」です。

 まず,この本は発達障害とはいっても,取り上げているのは非定型発達です。
 非定型発達とは何か。
 多くの人がたどる発達を定型とすると,それとはちがった発達をした人たちのことだそうです。
 別の言葉でいうと「グレー・ゾーン」です。
 発達障害と定型発達の中間といったところです。
 なので,ADHDやASD(いわゆる自閉症的な障害)の傾向を持った方々といったところでしょうか。
 通常の社会生活はおくれるものの,社会生活にストレスを抱えがちな方々です。
 この本では,トリセツと称して,それらの方々の過ごし方や接し方を述べています。

 マンガの部分を執筆しているのは細川貂々さん,自身も非定型発達と診断されています。
 解説部分を執筆しているのが精神科医水島広子さんです。
 非定型発達の方が著者ということもあって,困り感が臨場感をもって伝わってきます。

 印象に残ったことの一つ目は,マルチタスクができないということです。
 マルチタスクとは,同時並行的に様々な課題を行うことです。
 二つぐらいのことを上手にこなしている人ってたまにいますね。
 そんな感じです。
 日常的には,2種類の料理を同時に作る方もマルチタスクをこなしているといえるでしょう。
 非定型の方はこれが苦手で,一度に一つのことしかできないのだそうです。
 例えば,歩くことも十分マルチタスクになるとのこと。
 手と足を別々に動かしてなどと考え始めるとできなくなるのだそうです。
 そしてそれがストレスになるのだそうです。
 対策としては,マルチタスクとなるような仕事につかないこと,仕事の手順を明確にして迷わないようにすることなどがあるとのことです。
 この特性がプラスとなる場合もあり,すごい集中力を発揮できる場合があるそうです。

 非定型同士だとうまくいかないということも印象に残りました。
 似たもの同士だと安心するかと思いきや,互いに相手に不満をもつようになりがちなのだそうです。
 なので,特性を理解している定型とならうまくできるというのでした。
 かといって,私は特別だからとばかりいうと,やっぱり疎まれるのだそうで,この辺りは相手によるのだそうです。
 ちなみに細川さんの夫はいい感じで理解してくれているとのことでした。

 また,人の心を想像することが苦手というかできないので,「雰囲気で分かってよ」みたいなことはとても苦手なのだそうです。
 ですから,女子のおしゃべりが最も苦手なジャンルになるのだとか。
 無理に会話についていこうとするとストレスなので,話をふられたらよく分からないとか驚いたとか率直に返していくとよいとのことでした。

 非定型というと特別な人のように思いますが,こういう人は身の回りにいたように思います。
 また,自分もそういう面がないとはいえません。
 なので,こういう人もいるんだと分かって接していくと自分のストレスもなくなるのではないかと思いました。
 非定型だから悪いのではなく,非定型の方が貯めるストレスが悪いのです。
 ストレスのない社会にしていけば,周りも含めて生きやすくなるのではないかと思いました。

心を理解し元気にするヒントとは

 どうもすべからく本の題名というものは,自分が属するジャンルをそこはかとなく表すもののようですね。
 学術書は,内容に見合った端的な題名が付けられています。
 小説・文芸は,どこか思わせぶりな題名が多いようです。
 そして実用書は,とにかく目立って手にとってもらえるような題名が多いようです。
 今回私が手に取った本の題名は「思った通りに生きられる77のヒント」です。
 人生が思うようにいかない人へ向けての本ということでしょう。
 正に実用書といった感じの題名です。
 筆者はTA(交流)心理学を学び,カウンセリングを行っている方でした。
 この本は,筆者の専門性をベースとして,生き方というかストレスへの対処法や人との接し方についてのヒントが述べられています。
 本書で印象に残ったことや感想を述べていきたいと思います。

 印象に残ったことの一つ目は,人をタイプに分けてとらえるという主張です。
 このタイプの俗なものに血液型によるタイプがありますが,心理学者は非科学的と血液型タイプを毛嫌いしています。
 その一方で心理学には,それこそクレッチマー気質類型の昔から様々なものがありました。
 ですが統計的に妥当と考えられたものは少なく,他人を見るときの手掛かりやきっかけとして用いることができるくらいの扱いだったと思います。
 どんなタイプを設定しても,典型的なタイプという人はいませんので。
 さてTA(交流)心理学では,次の三つのタイプを設定しているとのことでした。
1 ペアレントタイプ
 子供に対する親のように権威をもって相手に接するタイプ。「力によって成功しようとする人」。
2 チャイルドタイプ
 相手に構ってもらいたい,愛されたいタイプ。「魅力によって成功しようとする人」
3 アダルトタイプ
 目的のために冷静に判断し,現実的に接するタイプ。「頭を使って成功しようとする人」
 これらは長寿と繁栄という人生の目的を達成する手段によって分けられるとのことでした。
 相手がどのタイプか,あるいはどのタイプの要素を多く持っているかを考えて接するとうまくいくと筆者は述べます。
 また,自分がどのタイプかを知ると,問題への対処がはっきりしてくるのだそうです。
 もとになっているのはバーンの交流分析だと思いますが,分かりやすくするためなのか,少し単純化しているようです。
 どうもタイプによる人間理解というのを素直に受け入れられないのですが,人への接し方で,権威,情緒,論理のどれかを好むという人は確かにいそうです。
 まあでも,下へは権威的,上へは情緒的なんていう会社員がよくドラマに出てきますから,複合的というか使い分けみたいな人もいそうではあります。
 まあ,自分や他人を理解するための一つの視点としては使えるように思いました。

 印象に残った二つ目は,我慢は自己虐待という主張です。
 筆者は我慢からストレスが始まるといいます。
 そして,無意識に我慢を続けることで心身の健康を害していくことになると。
 自分が我慢していることを自覚しているうちはいいけれでも,我慢をしていることに気づかないと大変なことになるといいます。
 筆者は,自己虐待は諸悪の根源というセンセーショナルな述べ方までしています。
 強すぎる言い方だと思いましたが,確かに我慢し続けることはいいことではありません。
 かといってまったく我慢しない生活はありえないでしょう。
 我慢を自覚することが心の健康にとって大切だと思いますし,我慢しすぎないことが必要だと思いました。

 三つ目は,問題の整理の仕方です。
 筆者は,まず問題を事実と気持ちに分けることが大切だといいます。
 そして,事実の問題であれば具体的な解決策を考えます。
 気持ちの問題であれば,カウンセリング的な相談をしてみたりします。
 解決の選択肢を選ぶ際には,これからの生活を「広げる」「楽しくする」「すっきりする」ものを選ぶようにするとよいとのこと。
 この部分は,なるほどなあと納得しました。

 この本は77ものヒントが載っているので,その人に合うものもあるし,正直合わないものもあると思います。
 なので自分に合うものがあったらいいなぐらいの軽い気持ちで読んでみるのがいいと思いました。
 私としては,本書は実用書なので仕方がないのですが,もう少しそれぞれのヒントの心理学的背景が述べられていたらよかったなあと思いました。
 そうであれば,より理解が深まったと思います。

 

苦手な人とつきあうためには

 人付き合いが苦にならない人もいるでしょうが,私はやや苦手です。
 飲み会などもできれば参加を控えたい方です。
 飲み会ならば参加を控えたりさっさと帰ったりできることもあるのですが,日常生活ではそうもいきません。
 苦手な人ともつきあわなければ,社会生活が滞ることがあるからです。
 そんな私が1冊の本を見つけました。
 「避けられない苦手な人とつきあう方法」です。
 読んで分かったことや感想を述べたいと思います。

 まず,筆者は嫌いと苦手はちがうといいます。
 嫌いならば近づかなければよいけれども,苦手はそうでもないと。
 いやまあ,嫌いな人もつきあうのが人間社会というものなんですが…。
 苦手の延長線上に嫌いもいるということにして読み進めていきました。
 筆者が苦手な人とつきあう方法として提案しているのが,セルフカウンセリングです。
 この本の大部分がこのセルフカウンセリングの実例です。
 セルフカウンセリングの要点を私なりにとらえました。
 それは,認識を改めるということです。
 一首の認知行動療法だと思いました。
 苦手な人をどう思っているかを冷静に認識します。
 その上で,どうように関わっていくのがよいかを考えます。
 こういう仕組みになっていると思います。
 そのセルフカウンセリングの手法は,作文です。
 作文というか記録作成ですね。
 苦手な相手とのやりとりを忠実に記録します。
 解釈は書き入れません。
 その時に思ったことを〈 〉を使って書き入れます。
 そして,それを後から読み返して,その時自分が何をしようとしていたか,どんなことを思っていたかを考えます。
 苦手な相手が何を意図していたかも考えます。
 そうして,どのような対応をとればよかったかを考えるのです。
 自分を知り相手を知る。
 孫子の兵法のような感じですね。
 これはしっかりとできれば,苦手な人への対応を改善していくことができる思います。

 私がこれをまねて実践するとしたら,いくつかネックとなるところが出てくると思います。
 一つは,記録を書くということです。
 文章を書くというのは,結構な労力です。
 ブログを日常的に書いている私でも,なかなか大変だと思います。
 そして,書く内容は自分にとって嫌なことです。
 心理的な負担感が大きいと予想されます。
 それを上回るような解決への意欲があれば大丈夫と思いますが。
 二つ目は,分析の技能です。
 なんとなく自分の対応を見直すことはできると思いますが,妥当かどうかは分かりかねます。
 悩みながら実践していけばいいのかなあとは思いますけれども。

 最後に,このセルフカウンセリングは商標だそうです。
 なので,正式な手法は講座か何かを受講しないといけないのかもしれません。
 とすれば,問題解決に対してそこまでの意欲があるかどうかとなりますね。
 とはいえ認知と行動を変えるのは,ストレス対応の基本。
 それは変わらないのだなあと思いました。

コーピングでストレス対策

 興味を引くタイトルの本を読みました。
 「『1日30秒』でできる新しい自分の作り方」というタイトルです。
 著者は,田中ウルヴェ京さん。
 ソウル・オリンピック,シンクロナイズド・スイミングの銅メダリスト。
 立派な実績ですが,そのことがストレスにつながったとか。
 そうなんです。
 この本は,ストレスによる嫌な気持ちから自分を救う本なのです。
 タイトルが広すぎてジャンルが分かりにくいのですが,ストレスへの心理学的対応について述べられています。
 読んで印象に残ったことを述べていきます。

 さて,不安や緊張は自分がそうなりたいと思っていると筆者は述べます。
 不安や緊張を呼び起こす心理的過程は,4つのサイクルから起きます。
 そのサイクルとは,4つのサイクルは刺激,評価,そして感情と身体です。
 つまり,刺激を受けたらそれに対して評価を行い,その評価によって感情と身体が反応するという過程です。
 サイクルという用語を使っていますが,最初に戻るわけではありません。
 評価によって生じた反応が,感情と身体を作用し合いここがサイクルのようになっているのです。
 さて,このサイクルのどこをコントロールすると,ストレスや不安から逃れることができるのでしょうか。
 筆者は,感情のコントロールには評価が一番大事と述べます。
 刺激は,外から入ってくるものなので,完全にコントロールできるものではありません。
 反応し始めた感情と身体をコントロールするのは,できなくはありませんが困難が伴います。
 なので,刺激を評価する,ここをコントロールするのです。
 評価というと難しいですが,外部からの刺激の受け取り方をコントロールするのです。
 さて,どのようにするかを考えていきます。

 感情のコントロールすることをコーピングと呼ぶそうです。
 コープという英単語は,対処するということを意味します。
 このコーピングの方法を3つ紹介しています。
 「言葉を使う」「心理調整術を使う」「体を使う」です。
 順番に説明をします。
 「言葉を使う」は具体的には,自分への語り掛けです。
 簡単にいうと,独り言です。
 自分自身への励ましや暗示でもあります。
 自分への信頼を高め,目の前の課題に集中できるような言葉掛けをする。
 それが大切なのです。
 二つ目の「心理調整術」は,緊張する場面を前にして行うものではありません。
 普段から行っていることで,心を安定させるものです。
 12個紹介されているのですが,印象深かったものを一つ紹介します。
 それは,「他人をほめる」という方法です。
 自分ではなく他人です。
 他人をほめることで,気持ちが明るくなり,結果的に心が健全になっていくのだそうです。
 これおもしろいですね。
 ぜひ,やってみたいと思います。
 三つ目の「体を使う」は,体を使った気分転換のようなものです。
 13こ紹介されていました。
 呼吸で整えるものも多かったのですが,印象に残ったのは,「中心軸なおしトレーニング」でした。
 湯上がりに鏡で体を見てゆがみを認識する。ゆっくりと背伸びやつま先たちなどの行い,左右のバランスを整えていくというものです。
 心というより体の健康のようですが,リラックスできるようになり心にゆとりが出てくるのだということでした。
 取り組んでみようかなという気持ちになりました。

 これらのコーピングは,認知行動療法の系統に入るのだそうです。
 認知のゆがみを心のゆがみとのことで,そこを適切にすることがストレスに強い自分を作ることにつながるのだということでした。
 心のあり方ですから,万人に必ず効くということではないと思いますが,取り入れてみようという気持ちになりました。
 さて,筆者はメダリストだったのですが,しだいに世間に忘れ去られていくことで自分に自信をなくしストレスを強く持ったのだそうです。
 また,アメリカで心理学を学んで帰国しても注目を集められたかったとのこと。
 そういう経験を踏まえてのコーピングですから,机上の理論だけというわけではないようです。
 このことは後書きに書いてあったのですが,なるほど取り入れてみようという気持ちになるわけだと思いました。