ギスカブログ

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令和の横溝ワールド~書評「ハヤブサ消防団」ややネタバレ

1 地方が舞台のミステリー

半沢直樹シリーズで有名な池井戸潤さんの小説です。

金融物ではなくミステリー小説でした。

田舎に引っ越してきた小説家の主人公。

消防団に入れられるも連続放火事件に遭遇することになります。

そうこうするうちに不審死の事件も起こり…。

そこで作家の推理力で解決を〜というのが大筋です。

現代の農村問題を背景にして、リアリティある設定となっています。

おどろおどろしさはまったくないのですが、地方社会や宗教などが絡み合い、要素としては横溝ワールド。

令和風のさわやかさを残しつつ、という作品です。

2 消防団新興宗教

主人公は父の故郷であるハヤブサ地区の自然にほれこんで移住します。

見ず知らずの土地で暮らし始めるやいなや、消防団ヘ入れられてしまうのでした。

この消防団という題材が、この小説の柱になっています。

現実の消防団は人手不足で、けっこうな年齢の方が所属している現状があります。

また、維持存続も難しい。

しかし、当ハヤブサ地区の消防団はこぢんまりながら団員の仲もよく、防火・消火活動にいそしんでいます。

団員同士が和気あいあいなのが非常に心地よい。

主人公も消火や山狩りなどの常時活動を経験するうちに、ハヤブサ地区の事情に詳しくなっていきます。

また、事件捜査でも消防団での活動が役立っています。

何せ消防団ですから、放火事件に関わらざるをえないわけでして。

なかなかおもしろい設定になっていると思いました。

もう一つの大きな舞台装置が新興宗教です。

現代の夢破れた不幸な人たちの寄る辺、宗教。

しかし、原理的な行動から犯罪に手を染め、公安にもマークされる危険集団。

それが理由はわかりませんが、牧歌的な農村に侵出してきます。

見知らぬ土地に暮らし始めた主人公は、しだいに村落の隠された秘密に気づいていく。

ある種ミステリーの王道でもありますね。

ただ、閉鎖的な地域の因習的な要素はありません。

そういう要素の代わりに、人口減や高齢化などの現代的な諸相が置かれています。

この辺りが令和的といいますか。

また、農村に不釣り合いな美女が現れます。

事件の解決に当たり、この味方と思った美女に不穏な過去がありと、誰を信用してよいかまったく五里霧中な展開に。

社会から個人を切り離しストレスを与えるというのは、判断力を奪う常套手段です。

主人公はなぞを解きつつ自分の身も守らなければならない。

目が離せない展開になっています。

3 過去の不幸が動機となる

本小説は犯人の動機が深掘りされることはありません。

それは新興宗教の教義ということで、そういうものとして扱われたままです。

一方、深掘りされるのは、事件の周辺に関わっている人たちの動機です。

零落した名家の当主、村の寺院の住職、警察署の署長。

それぞれが秘密にしておきたく、また自分の思い持って事件に関わるため、解決が難しくなっていきます。

少年マンガなら、みんな主人公に協力するのにねえ。

と嘆いてみてもそれが大人社会。

この展開も普通に考えたらストレスでしょうけれど、構成の妙でおもしろくなっています。

特に、小出しにされるなぞの美女の情報が主人公を不安にさせていくところはゾクゾクしました。

こういうところ、ほんとうにうまいなあ。

感心します。

3 総評

おもしろ過ぎて半日で一気読みしてしまいました。

事件が解決した後、主人公は村に住み続けるのかなあ。

たぶんそうだろうと思うのですが、平凡な日々が訪れるように思えず。

おそらく、続編はないでしょうけれど、その後の展開が気になる小説でした。

作中時間はほぼ1年です。

ずいぶん中身の濃い1年間だったと思います。

本書は、ミステリー好きだけじゃなくわくわくドキドキする小説を読みたい方すべてにお薦めできるエンタテインメント小説です。

読んで損しません。

とってもおもしろいですよ。

やるべきことに集中できる~書評「コクヨのシンプル整理術」

1 効率的な事務仕事

事務・文具用品大手のコクヨが出版している書籍です。

コクヨが販促で出しているものではなく、KADOKAWAから商業出版されています。

事務仕事をしていると机周りは散らかるもの。

それを整理し、仕事効率を上げるための知恵本です。

実用的であると同時に読むおもしろさがありました。

印象に残ったこと3点を述べます。

  • ファイルボックスは1個しかもたない
  • 分類は「その他」からはじめる
  • 1日の終わりは何もない状態にする

2 ファイルボックスは1個しかもたない

かなりPDFやExcelシートで配られることが多くなりましたが、まだまだ紙の文書も多いです。

そして知らず知らずのうちに貯まっていきます。

紙って案外重くて、引き出しを開けるにも力がいるようになったりします。

なので、できるだけ紙を減らしたい。

そのために、紙文書を収納するファイルボックスを1つしか持たないようにする。

こういう工夫です。

2週間などの期間を決めて、貯まった紙文書を処分する。

どうしても必要なものはPDFに返還して保存。

基本は捨てる。

こうすることで、引き出しを整理すると同時に書類の検索も容易にします。

これ、ファイルボックスにしていることも工夫ですね。

わたしは厚さ5cmぐらい綴じファイルに全部の紙文書を入れています。

オーバーしそうになったらPDFへ、というのは同じ。

ただ綴じファイルだと穴を開ける手間が1つ増えます。

ボックスならそれもいらず。

ただ綴じファイルならめくるのも用意なので、一長一短かなと思います。

とにかく、紙文書はためすぎない。

これは大事ですね。

3 分類は「その他」からはじめる

書類の分類は、面倒くさいもの。

部署によって決まっているのもありますが、自分で管理する部分は自分が使いやすいようにしたいものです。

そこで、いきなり分類を始めず「その他」としてひとまとめにする。

「その他」の中から、分量が多くなってきたものを別にわけて独立させる。

つまり、大から小へと分類していくという方法です。

これは実際的ですね。

あまり収納されないファイルなどをつくることもありませんし。

わたしも似たようなことをしています。

先の1つだけ持っている綴じファイルですが、「雑文書」という題名を付けています。

つまり、全部入れるってことです。

そして、そこから取っておくべき文書がでたらPDFへ。

そして、PDFは種別に電子ファイルに入れています。

これが楽なんですね。

なんの会議に出るときも同じファイルを持っていけばいいので。

ちなみにPDFなどの文書名は230129~と日付を入れてます。

ちょっと面倒ですが、検索が楽になります。

4 1日の終わりは何もない状態にする

これはどこをそうするかって話ですが、机の上です。

キレイを目的とせず、効率を追求している本書ですが、やはり目の前が整頓されていれば気分も上がります。

何もない机に必要なものを並べて仕事を始める。

それらを1つずつ片付けていって、1日の終わりには何もないようにする。

明日も気分よく仕事が始められる。

しまって出して、という部分で非効率ともいえますが、心理的には爽快です。

わたしも帰宅前には机の上に何もない状態にしています。

5 総評

本書の冒頭に「整理の正解は、ひとつではない」とあります。

その通り。

人によって効率のよい整理は様々です。

本書には、100もの整理術が載っています。

中には、ちょっと相反しているのではないかと思うものもあります。

それは、それでいいのです。

それぞれ各人が自分にあったものを選べばよい。

要するに、仕事で判断・決断する際のじゃまにならないようにすればいい。

こういうことだと思います。

これ、読むだけでもおもしろいので、事務仕事をしている方、整理整頓に工夫がほしい方の必読書だと思いました。

技術としての会話~書評「すごいコミュニケーション」

1 コンサルタントの仕事術

著者は、会社員を経て起業・経営コンサルタントとなった方です。

自分の長所である「コミュニケーション能力」を他の人にも身につけてほしくて本書を著したのだとか。

コミュニケーション能力は就職活動で最も重視される能力だそうです(2016年経団連)。

就職した後も重視される能力であることはまちがいありません。

本書で印象に残ったことを3つ述べます。

  • 以心伝心はウソ
  • 1回のディナーより365回の挨拶
  • とにかくYESで返す

2 以心伝心はウソ

親しい仲では、特に言葉を交わさなくても気持ちが伝わるといいます。

日本人は、これを以心伝心といってきました。

こういうあうんの呼吸のコミュニケーションが理想と考えられたのでしょう。

しかし、筆者はこの以心伝心を信じません。

ウソと言い切ります。

コミュニケーションは、互いの信頼関係があって成立するもの。

最初から信頼関係など構築できているわけがありません。

以心伝心とは、「察してくれよ」という気持ちの現れです。

つまりは相手に期待して自分は何もしないという、甘えです。

コミュニケーションをしたいくせにしない。

これでは、信頼関係は成立しないでしょう。

まずは、相手に興味を持つこと。

そして一歩踏み出すこと。

それがコミュニケーションのスタートといいます。

3 1回のディナーより365回のあいさつ

もちろん高級ディナーはおいしいし、思い出にもなるでしょう。

しかし、1回だけだとしたら相手との関係はどうなるでしょうか。

日々、疎くなっていきます。

それよりも、毎日あいさつを交わしたらどうでしょうか。

会話するなんて思いもつかない新入社員と社長。

それでも、「おはよう」と社長が毎日あいさつをしてきたらどうでしょうか。

少なくとも社長に悪い感じはもたないはずです。

これは心理学でいうと接触理論というのだそうです。

接触回数が多いほど親しみを増すということです。

話題の選定が難しいし、会話も続かないかもしれない。

だけれども、あいさつなら気軽にできるはずです。

そして、あいさつ後の相手の表情をしっかり読み取る。

こういうことでもコミュニケーションが成立していくのだそうです。

正に継続は力なり、です。

4 とにかくYESで返す

これは、苦手な上司や同僚とのコミュニケーションの取り方で説明されていた方法です。

会話のコツは、相手に話させること。

相手の興味のあることを話題とし、それを教えてもらうという形式にすれば会話は展開します。

なのですが、どうしても感覚的に苦手という人はいます。

人間ですから仕方ありません。

そういう方との会話は、穏やかに切り上げたいものですが、そういう場合に限って相手は延々と話を続けるもの。

相手に嫌な感じをもたれることなくコミュニケーションをするにはどうしたらいか。

筆者は、YESを繰り返すことを勧めています。

「そうですね」「よかったですね」と共感の返事を続ける。

反論はせず、共感に徹する。

これがよい結果につながるといいます。

生産的ではないかもしれませんが、この場合は最悪の結果を避けることが大切なのだそうです。

5 総評

筆者の経験を心理学的な裏付けで説明した良書でした。

技能・技術と割り切ること。

具体的な行動を起こすこと。

うまくいかない人とはくよくよしないこと。

そういうスパッとした結論も読者の心を軽くしています。

もちろん、本書の内容をすべて実行することは難しいかもしれません。

でも、あいさつやYES、相手に興味をもつなどは何だかできそうな感じがします。

そして、できることから始めようと自分が変えられそうな気もします。

1つでいいから始めてみる。

それがコミュニケーション能力を高める1歩なのかもしれません。

書評「『30代で年収3000万』の人は、いつも何を話しているのか?」

1 「話す」とは?

書名から年収の高い人が話題にしていることは何か?という意味だと思いました。

お金の稼ぎ方とか投資の仕方とか人脈の築き方とか、そういう平民が知らないような話についての本だと思ったのです。

まったくちがっていました。

これはセールス・トークの本です。

つまり3000万稼ぐセールス・マンはどんなセールス・トークをしているか。

と、こういう本です。

300万稼ぐ普通の人と比較しながら説明しているので、おもしろく読めます。

印象に残ったこと3点について述べます。

  • 「ハッタリ」とウソ
  • 言葉のレトリックを使いこなせ
  • 上司に好かれる話し方

2 「ハッタリ」とウソ

500万の仕事を受けるとき、3000万プレーヤーはこう話すそうです。

「2000万で承ります」

初読、どう思いますか。

わたしがもし依頼主だったら、そしてこのサラリーマンをよく知らなかったらこう思うでしょう。

(交渉の始まりだ)

本書では、ここから仕方なく値下げする演技をして、950万で受けるという決着に至ります。

そして、双方お得をした感情をもって終わるのでよいと。

こういうお話です。

真正直に手の内を明かさず、最終的に利益を得るようにという例だと思うのですが、いささか現実離れをしているというか…。

おそらく、わたしに限らず相見積もりを取りますし、その場で結論なんかだしませんし、こうはならないでしょう。

そして、相場の4倍ふっかけた人、という印象だけが残ると思います。

とまあ、現実はこれくらいにして、筆者の言いたいことは、相手の心理を把握しながら商談を進めなさいということだと思います。

相手の考え、感情を理解し、こちらが有利になるように運ぶ。

そういう話術が必要であるということを述べているのだと思います。

本書には他にも「ハッタリ」の効能が書いてあります。

3000万プレーヤーは心理戦が得意。

そのための会話を磨きなさい。

こういうことなのだと思います。

3 言葉のレトリックを使いこなせ

どんな条件でも購買意欲を高め、購入につなげるのが3000万プレーヤーとのこと。

例えば、駅から遠い物件を売るときはこういうそうです。

「通勤の便利さはお金で買えても、環境は買えません。お子様の教育を考えれば、やはり環境のよい場所が好ましいのではないでしょうか」

そして、駅から近い物件ではこう言います。

「環境はもちろん大事ですが、通勤や通学時の便利さは、毎日のことです。それに駅から近ければ、売るときも貸すときも高値がつきます」

率直にいって、価値基準がぶれていますね。

とはいっても、3000万プレーヤーの価値基準は不動産にはないのです。

どこにあるのか。

それは、顧客の心にあるのです。

つまり、顧客が買おうと思っているその基準、そこをもう一押しするというわけです。

売るという目的に対してはまったくぶれていないことになります。

そして、ここでも心理戦です。

相手の心理を理解して話す。

どうもこれが秘訣のようですね。

4 上司に好かれる話し方

「キミたちの成長をいちばんに願っている。やりがいを持って働きなさい」

こういう声掛けを社長や上司からされたら、どう考えますか。

自分のスキルアップを考えたり、自己啓発セミナーで「働く意味」を見いだしたりするのは、とんでもない勘違いと筆者はいいます。

社長や上司の本音はこうだからです。

「会社の仕事に必要な能力を高めろ。そして会社に利益をもたらせ」

いや、実もふたもない話ではあります。

つまり、ここで注力すべきは会社にとっての成果を出すべきだということでしょう。

いわゆる「事業主マインドを持って働く」ということが、ほんとうに求められていることなのです。

続いて筆者が勧める言葉はこのようなものです。

「会社が好きだ」「こういう方法もあります」「難しいぶん、やりがいを感じます」

なるほどという感じです。

しかし、ここでも前の事例と同じ原理が透けて見えます。

つまり心理戦。

上司の心理を理解して発言しなさい。

こういうことです。

なんとなく本書の主張がわかってきたように思います。

5 総評

会話のマキャベリスト

そういう印象が強く残りました。

しかし、3000万という目標を目指した人は、このくらい徹底するのが当たり前なのかも知れません。

それにしても、相手の心理を読むということの重要性は、強調してもし過ぎることはないようです。

こういう会話術を身につけた人も、プライベートでは無防備な発言をするのでしょうか。

そうだと人間味が感じられていいのですけれど。

困ったところはその人の弱み~書評「職場のざんねんな人図鑑」

1 本書の特性

認知科学者が書いた本です。

人工知能関係の研究をなさった方で、心理学関係ではないようです。

特に臨床心理学とは縁遠い感じを受けました。

類型論のジャンルの1冊ではあります。

どうやら「ざんねんな生き物事典」に触発されてつくられた本のようです。

カバーの返しには「仕事でつきあう人の”あるある”を25属に体系化」とあります。

25もあったら、もっとまとめられないのでしょうか?

それこそ体系的に。

「ざんねんな人」について印象に残ったことを3点から述べます。

  • 不安から逃れる
  • 支配欲に負ける
  • 人を利用する

2 不安から逃れる

「アピール属」「怒りんぼ属」などが典型的です。

これらの人は、不安から逃れるための戦略として「アピール」「怒り」を取っているのでしょう。

そうしている間は、「自分が有能・有用ではない」「悪いのは自分かもしれない」という不安から逃れられているからです。

人間は安心を求めるものです。

ほんとうであれば、「アピールしなくとも認められているよ」「怒らなくてもあなたを責める人はいないよ」ということを諭す人がいて、それを受け入れて平穏な気持ちに戻るのがいいのでしょう。

残念ながら、大人を諭す人はあまりいないし、諭しを受け入れられるような「できた人」もあまりいません。

不安な気持ちを抱えての行動である、と周囲が理解しておくぐらいが現実的な対応かもしれません。

3 支配欲に負ける

「おせっかい属」「議論属」などが支配欲に負けている人でしょう。

人間、上下関係が好きです。

というより人より上に立ちたがるものです。

上に立てば気分もよいし、相手も攻撃してこないので安心します。

残念ながら支配欲というものが根本的に存在しているのです。

「いじめ」というものがあるのも、こういう原罪的なことが要因としてあるのかもしれません。

しかし、支配されたい人はいないので、摩擦が生じます。

ルールに基づかないのであれば、上下をつけるとよい結果になりません。

これらの欲に負けないことが、長い目で見てよい環境をつくることになるのです。

4 人を利用する

「サイコ属」「ちらかし属」などがこれでしょうか。

人を利用するというのは、先の2つとは少しちがっています。

人を「人」としてとらえていない感じがする人たちなのです。

ほんとうに道具のように利用します。

こういうと人間味がない人のように受け取ると思いますが、そうではありません。

感情豊かな、人当たりよい態度で、愛想いい表情で、人を利用します。

外見と内面の関連は薄いです。

こういう人は悪気がないのも特徴です。

愛想よくかかわらないのがいいと思います。

5 総評

心理学的な知見が得られるかなあと思って読んだのですが、そうでもありませんでした。

人間をポケモンの○○タイプみたいに分類するのもどうかなあと思いましたし、人間そのものの洞察も深くなかったように思います。

まあ、気軽に読む本なので、そういう軽い部分が売りの本なのかもしれません。

つまり「これあの人に当てはまるなあ」ぐらいの読み物なのでしょう。

そういう肩肘張らずに読むには適していると思いました。

現実に「ざんねんな人」がいたら、「敬して遠ざく」が基本戦略です。

大人を変えようなどとすると、不幸に見舞われますので。

政治を動かす~書評「税金下げろ、規制をなくせ」

1 増税だらけ

渡瀬裕哉さんの2020年の著作です。

なかなか刺激的な題名ですが、国際政治に見識のある方らしく、説得力のある主張でした。

最近、岸田総理が増税を矢継ぎ早に発表しています。

防衛増税子育て支援についての増税、それから自動車の走行距離税みたいなものもありました。

社会保障費も上がってきていますね。

ほんとうに必要なのでしょうか。

渡瀬さんはこれらについて下げられるといいます。

「利権よこせ連合」に勝つために「税金下げろ連合」を結成すればいい。

そういいます。

本書で印象に残ったこと3点について述べます。

2 トランプの功績

ドナルド・トランプ前大統領は毀誉褒貶の激しい人物です。

経営者ならではの行動力がある一方、失言も多い。

アメリカ・ファーストで国内の景気を回復させた一方、国際政治を緊張させた。

他にもいろいろありますが、こんな感じで1期で退場となりました。

そのトランプさんを渡瀬さんは非常に評価しています。

多くの規制を撤廃し、減税を実現したと。

中でも評価しているのが2対1ルールです。

2対1ルール?

本書を読むまで、こんな言葉知りませんでした。

これは規制撤廃のルールです。

「新しい規制を1つ作りたかったら、いらない規制を2つ廃止しろ」

こういうルールです。

規制でがんじがらめな日本では考えられないようなルールですね。

岩盤規制の打破!

なんていいますけど、官僚を動かすにはこのくらいしないといけないのでしょう。

これによって、自由な経済活動が進んだそうです。

さて、ここまで読んでわかった方も多いと思います。

筆者は、共和党、とりわけ立党当時の理念のままの共和党支持者なんです。

いや日本人だから支持はおかしいですね。

小さい政府主義者といった方が適切でしょう。

政府は最低限、自分たちに自由にやらせろ。

こういう考え方です。

3 無党派層はATM

選挙は風。

最近の選挙報道を見ていると、そういう評論が多いと感じます。

この風とは、その時に勢いのある方が無党派層を見方につけることです。

無党派層に支持された方が勝つ。

そういう意味では、無党派層は重要視されているといえます。

実際、テレビ報道でも無党派がどう考えているかを探る場合が多いようです。

しかし,渡瀬さんはそんなことはないと切って捨てます。

無党派には選挙の時だけ、耳ざわりのいいことを言っておけばいい。

選挙が終わればそれまで。

官僚がやりたいことを実行するだけ。

そういう政治家が多いのだとか。

渡瀬さんがいうには、その証拠に公約をなんと守らない政治家多いことか、といいます。

公約を守らなくても、仕方がなかったと言い訳をする政治家が多いともいいます。

これには同意せざるを得ませんね。

無党派層は、選挙のときにちょっと配慮しているポーズをすればいい。

そして税金や社会保障費をかけるのだ。

ちょうどいいATMのようなものだ。

本音ではこんなことを考えているにちがいない。

そう渡瀬さんはたたみ掛けます。

これに対抗するにはどうしたらいいのか。

渡瀬さんは、「税金下げろ連合」が活躍したアメリカの事例を挙げます。

パパブッシュの例です。

パパブッシュは1期で大統領職を去りました。

その原因は増税です。

パパブッシュの有名なことば「Read my lips」

ウソはつかないという意味です。

しかし彼は増税しました。

民主党に妥協したからです。

彼は選挙民に言い訳をしました。

少額だ、予算を執行するため仕方がなかった。

しかし有権者はNoと言ったわけです。

こういうことをしないと、無党派層はなめられっぱなしさだといいます。

4 10%でいい

では、どのくらい選挙で勝てばいいのか。

51%取らなくてはいけないのか。

そんなことはないと渡瀬さんはいいます。

コロナ給付金のことを思い出してほしい。

渡瀬さんはそういいます。

公明党が主張しただけで、国民1人当たりの給付金は10万円になったではないかと。

与党であるとはいえ、公明党は10%程度の議席の政党です。

それがこれだけの影響力を行使する。

5~10%でいい。

本気で税金を下げ、規制を緩和する議員を議会に送り込む。

そして、増税に賛成したらパパブッシュのごとく落とす。

こういうことをすれば、日本を変わりまた発展する。

そう渡瀬さんはいいます。

5 総評

小気味よい語り口で、アメリカと日本の政治を比較しながら述べていました。

本家のアメリカでも、民主党大きな政府でそうは考えていませんし、共和党の主流派もここまで極端ではありません。

自己責任による小さな政府は、世界的に見るとアメリカだけの特徴のようなところがあります。

ただ、日本の増税主義者を変えるにはこのくらいのインパクトがほしいところです。

現在の政府は、所得倍増はどこへやら負担倍増まっしくら、なんて揶揄されてますからね。

物価高騰時の増税とか、ほんと何も買えなくなるので考えてほしいです。

お金の基本を学ぶ~書評「いま君に伝えたいお金の話」

1 小学生向けのお金の哲学

投資家の村上世彰さんの著書です。

小学生に向けた本でした。

村上さんは、いくつかの学校で子ども向けに講演をしているらしいのです。

本書はそれをまとめたものです。

子ども向けとはいえ、お金に関わる本質的な話になっていました。

学んだこと3つにを述べます。

  • お金とは
  • お金を手にするには
  • お金を貯める・増やす

2 お金とは

村上さんはお金は道具と言い切ります。

しかも、生きていくために必要な道具といいます。

お金を汚いものと考える人はまだ多いけれども、それはまちがいとのこと。

お金そのものにきれいも汚いもありません。

お金に色をつけるのは使う人間です。

要は、使い方です。

正当なことに使えばよいのです。

また、村上さんは子供の頃、値段を調べることが好きだったそうです。

同じものが店によって時期によって変わってくる。

去年のサンマより今年のサンマが高い。

しかも、今年の方がおいしくない。

こういうことに気づいた時、値段と価値はちがうことがわかったそうです。

高くとも自分に必要のないものがある。

値段にだまされてはいけない。

価値を見極めることが大切と感じたのだそうです。

3 お金を手にする

働くことでお金を手にすることができます。

とすれば、次はどんな働き方をするか?という問題になります。

まずは、自分の好きなことを仕事にすることです。

かなえられれば最高ですが、全員そうなるとは限りません。

では、どうするか。

好きなことをするために仕事をするというのが次善といいます。

したいこと、好きなことのためにお金を得る。

それも立派な働き方です。

どちらの働き方にしても、その好きなことが人のためになるということが大事と村上さんは話します。

4 お金を貯める・増やす

村上さんは貯金が好きな少年だったそうです。

お金を稼ぐことができたら、7割を生活費、2割を貯金、1割を趣味に使うといいと話します。

最初は貯める。

貯金なんですね。

しかし、村上さんは今の日本では貯金ではお金が貯まらないといいます。

そう銀行預金利子のとんでもない低さですね。

0.001%では、ほとんど利子はつきません。

そして物価上昇。

デフレの時は、それでも現金が強かったのです。

相対的に多くのものが買えましたから。

しかし物価高では立場が逆転。

そこで村上さんは投資を勧めます。

小学生向けですから具体の話はしませんが、期待値1を超えるものに、ということは話していました。

そして、最後に村上さんはお金という道具が凶器になる場合を話します。

借金です。

借金は必ず返さなければなりません。

借りるのは簡単ですが、返すのはたいへん。

教育ローンを例にしながら厳しい話をします。

連帯保証人の説明もしました。

小学生には厳しい内容です。

しかし、こういうことをきっちりと学ぶことは大事でしょう。

お金で人生が狂うのは、多くの場合借金だからです。

5 総評

子ども向けなので、よりお金の本質的なことを語っているように思いました。

一方、小学生向けなので生々しい話はありません。

しかし、それでいいと思います。

お金という、人生の多くの場面で重要な役割を果たすものに、もっとしっかりと向き合うべきなのです。

さいころから、お金について考える・学ぶ。

そういうことは、ぜひとも必要なことです。

自分に小学生の子どもはいませんが、いたらこの本を読ませたいと思います。

そのくらい大切なことが書いてある本です。