ギスカブログ

 読書しながらスモールライフ「ギスカジカ」のブログ

【書評】厚切りジェイソン「ジェイソン流お金の稼ぎ方」

1 本書の概要

「ジェイソン流お金の増やし方」の続編です。

今回は、ハウツーものではありません。

仕事に対する考え方を述べた本です。

なので、参考書とか指南書を求める人には向きません。

成功者の考え方を知りたい。

そういう需要にあったものです。

ある一面に光を当てた自伝。

そういう本です。

2 稼げる仕事を判断する三角形

どんな仕事をするか。

ジェイソンさんは次の3点で判断します。

好きなこと。

できること。

世の中で必要とされていること。

この3つです。

簡単ですがよく考えられてる。

なるほどです。

どれも必要なことばかりです。

でも、3つ全部考えることはありません。

通常は2つくらいです。

1つだけのこともあるでしょう。

俺は好きなことに全力を注ぐ。

そんな感じで。

しかし、これはリスキーです。

この3つがそろっていないと、しくじる可能性が高くなる。

そういう風にできています。

生きるために仕事をする場合を想定します。

そうすると次の2つが大切になるでしょう。

「できること」と「世の中で必要とされていること」。

とりあえず稼ぐことができます。

しかし、つまらない。

趣味に生きがいを見いだしたりする。

そうなります。

では、「好きなこと」を必ず入れることにします。

「好きなこと」と「できること」を選びます。

しかし、誰もやとってくれないかもしれません。

お金にならない仕事になる可能性があります。

では、「好きなこと」「世の中で必要とされること」を組み合わせます。

しかし、できなければやっぱり仕事になりません。

野球が好きです。

ホームランバッターはどのチームにも必要です。

しかし、打てなければ意味がない。

自分は大谷さんではなかった。

そういうことです。

だから、この3つがそろうことが大事なんですね。

3 非「一意専心」

厚切りジェイソンさんは、実業家であり芸人でもあります。

2つのことを同時にしています。

すごいなあ。

一人二役、二刀流。

ですが、日本ではこういう在り方は褒められてきませんでした。

気が多い。

集中力がない。

二兎追う者は一兎も得ず。

そういう評価が主流でした。

ですが、ジェイソンさんはそういう考えはありません。

時間管理が甘いだけだ。

こういう考えです。

誰とも変わらない。

替わりのきく人。

そういう人になるには、人と違う特技を持つことが必要。

そのために努力をしないといけない。

ジェイソンさんはそんな考えです。

英語だけ勉強してもダメ。

アメリカで英語を話せるというのは、高卒ぐらいの認識だそうです。

他に特技がないと見いだされない。

そういいます。

これも説得力あるなあ。

一生懸命取り組んだものがダメだったとき替えがきかないもの。

一流の才能があればいいんですけど、そんな人は一握り。

大多数はそうじゃありませんものね。

そのために、時間管理が大切になります。

無駄な時間を減らす。

自分が何をしたかを書き残すといいとジェイソンさんはいいます。

レコーディングダイエットならぬレコーディングタイムマネジメント

意識することで、時間を有効に使えるようになる。

これもなるほどです。

4 総評

★★★★

4つ、おすすめです。

主張が明確で、文章も明解。

さくさく読み進められて、主張にも納得。

そんな本です。

これ読むと、やろう、できそう、となるのですが、実践はまた別。

意志の弱いわたしには、難しいかも。

まあ、でも稼ぎたいならやるしかない。

そんな感じです。

それと「世の中で必要とされていること」が、案外難しいのですね。

世間へのアンテナが高くないと。

とまあ、実践についての課題を考えられのも、この本が勇気を引き出してくれたからでしょう。

ハウツー本ではありませんが、世の中に出て行こうという人はぜひ読んでみてください。

とても参考になるはずです。

 

【書評】石井妙子「女帝 小池百合子」

1 本書の概要

小池百合子さんの伝記です。

最近、またまた学歴詐称で話題となっている小池さんです。

これは4年前、つまり前の都知事選の時に出版されました。

文藝春秋社って、こういうことを時々やります。

「田名角栄研究」とかね。

立花隆さんが世に出たきっかけですけど。

まあ、小池さんの悪評を広げるための本ではあります。

それはそれとして、出版社の意図はともかく、大切なのは事実でしょう。

それは小池さんはどんな言動をしてきたのか。

最終的にその事実が人物を描き出します。

さて、その事実とは?

2 ウソつき

本書が一貫として主張しているのは、小池さんがウソつきだということです。

それが学歴詐称に端的に表れていると。

こういうことです。

まずは、カイロ大学主席卒業の事実ですが、どうもこれはないようです。

時間的にも難しい。

小池さんがカイロ大学に在籍したのは1年ぐらいのようです。

2年生の1年間だけ。

2年生に編入してきて、3年の進級試験に落第し、中退した。

こう同居していた女性が証言しています。

このルームメイトの女性の証言に信憑性がありますね。

昔のことではありますが、断片的に残っている新聞記事などが整合的ですから。

初期の著書「振り袖、ピラミッドに登る」では、カイロ・アメリカン大学という別の大学を卒業したとなっていますが、おそらくこれもウソ。

初期は設定が固まっていなかったのでしょう。

ちなみにカイロ・アメリカン大学はカイロ大学編入前に通っていたとのことです。

編入したなら卒業してないじゃない。

まったくもう。

この他にも、本書では政治家になる前のウソや政治家になってからのウソをこれでもかとあげています。

単に、目立ちたがりの上昇志向で、信念もやりたいこともない人。

そういう風に描いています。

カイロ大学が卒業したといっていると小池さんは主張していますが、ルームメイトの女性の発言を覆すものではないなあ。

せめて、成績証明書とか卒業論文とかを出してもらえれば覆せるんですけど。

仲のよい同級生とかね。

難しいでしょうね。

1年通って進級できなかったが、やっぱり真実でしょう。

3 総評

★★★★

4つですね。

読みがいのある本です。

ただし、政敵がおとしめる意図で出版されているということを知っている必要はあります。

その分は割り引いて読まないとね。

ただ、事実はきちんと示しているようですから。

とはいえ、大部の著書の読んでおもしろいのは前半部分。

キャスター以降の小池さんはもう有名人でしたから、同時代人にとっては既知のこと。

なので本書、半分の厚さでもよかったんじゃないかと思います。

ところで、わたしは釣りが趣味なんですけど、バス釣り界隈で小池さんは超嫌われています。

ブラックバス特定外来生物に指定したからです。

多数のパブコメが寄せられたこともあって、最初の指定でブラックバスは外れる予定だったという話でした。

しかし環境大臣小池さんが外来生物の象徴としてブラックバスがいなくてはとひっくり返したというのです。

これこそ真実はわかりませんが、小池さんという人物から考えるとすごくありそうな話です。

これは一例で、小池さんに煮え湯を飲まされた人たちは、アスベスト禍の人や築地市場の人たちとかですけど、決して小池さんを許すことはないでしょう。

そういう人なんですね。

しかし、驚くべきは80年代90年代の日本では、カイロ大首席卒業なんてウソがまかり通っていたということです。

70年代にスリランカ出身のウィッキーさんをネイティブスピーカーと思っていた頃からあまり進歩していなかったんだなあ。

まあ、ウィッキーさんはウソつきじゃないですよ。

わたしを含め、視聴者が勝手にそう思っていただけです。

意図的にウソを流した小池さんとは違います。

外国がほんとに遠かったってだけです、心理的に。

【書評】森ます美 他「非正規という働き方と暮らしの実像」

1 本書の概要

労働組合の連合関係者が書いた非正規労働の調査本です。

学術書の体裁で1章ずつ専門家が書いています。

いわゆる専門書ですね。

もうすぐ定年なので、定年後の働き方に興味があります。

非正規労働もその一つ。

というか自分で起業しないことにはお賃金をいただく仕事をするしかないわけで、本命なわけです。

というわけでその「実像」とやらを知るために読みました。

2 典型的な非正規労働の問題

自動車工業の期間工みたいなのも入るのかなと思ったら、非正規労働の主流は事務職派遣とレジのパートでした。

まあそうなんでしょう。

それで、どうしてそこに至ったかというと派遣は正社員として就職できなかった方々。

パートは寿退職などで、家庭に一度入った方々。

こんな感じです。

それで、そういう方々の意識調査とか課題とかが書かれていました。

意識調査によると、お給料と労働時間が問題のようです。

お給料は、同一労働同一賃金を。

まあそうなんですけど、正社員は表面上同じ仕事していても結果責任とか管理責任とかがあるので、見えていない部分の労働もあると思うのですけどね。

ほんとに同じなら同じでいいと思うのですが。

時間については、自分の生活に合わせた労働時間がいいと。

つまりシフトの問題とか休み取得の問題とかです。

まあ、一斉に休まれると仕事にならないわけで、ある程度の調整は仕方ないと思うのですが。

こう書くとブラック容認かと思われるかもしれません。

そんなことないです。

雇い主と雇われ主が対等に条件を協議できればいいと思う人です。

たいてい雇い主が強いのでそこがね。

そういう力関係が問題だと思ってる人です。

人手不足だと逆転するので、そこで勉強しやがれとは思ってます

3 総評

☆☆☆☆

1つです。

つまんなかったな。

調査して新たなことがわかったならおもしろいけど、そりゃそうでしょみたいな結果ばかりだし。

新たな就労提案があるわけでもないし。

連合って最近意味ある活動してるのかな。

そういう気持ちにもなりました。

できれば、新自由主義と徹底的に対決する結果を提示してほしかったなあ。

とりあえず、定年後の労働に新たな希望は生まれませんでした。

【書評】マイク「お金が勝手に働く投資術」

1 本書の概要

投資指南本です。

本書の軸は、不動産投資。

新NISA解説本が多い昨今、不動産はめずらしい。

ほとんどが投資信託を勧めている中、不動産投資を勧める。

オレ流ですね。

何ですけど、本書はおもしろい特徴がありました。

それは、しばらく読み進めても不動産投資本とは、ちっともわからないことです。

外見からもわからない。

これ、かなり徹底していて、第1章を読み終えてもまだわかりません。

つまり、不動産投資本ということを隠している。

ここに本書のキモがありそうです。

2 不安の喚起

人を動かすには、動機を引き出せばよい。

昔から言われていることです。

端的にいえば、アメとムチ。

日本人にはムチが効くようです。

昨今は、不安をあおるCMが多いですね。

これだってムチです。

負の感情を喚起しますから。

さて、お金に関するムチは、預金金利とインフレです。

今の日本じゃ預金してもお金増えませんよ。

むしろ、物の値段が上がって価値が減りますよ。

こんな感じです。

不安が高まった頃合いに解決策を示す。

投資商品です。

そこに我先に跳びつくのですね。

3 不動産投資

本書で提示したのは不動産投資です。

不動産投資は投資の王様だそうです。

まあ、よい不動産を持てば日銭も入るし、売っても儲かるし。

銀行から融資を受ければ、手持ちのお金以上のものが手に入るし。

そういわれることもわかります。

株を買うのでお金貸してください。

そう言って貸してくれる銀行があればいいですけど、まずないでしょう。

不動産投資の利点はわかるのですが、不動産は本書のタイトルどおりではないでしょう。

「お金が勝手に働く」わけはない。

手間掛かりますよ、不動産は。

管理会社に任せても、自分でやることは残るでしょう。

なんか違う感じがします。

さて、不動産が儲かるか儲からないかは、とある1点に掛かっています。

すごく簡単な要点です。

安く手に入れる。

これにつきます。

ワンルームマンションが儲からないといわれてます。

詐欺まがいとまで言う方もいます。

これワンルームだからじゃないんですね。

高く売りつけられているから儲からないんです。

不動産投資だったら、みんなが欲しがる土地を安く手に入れるということを書いてないと不十分だと思うのです。

なので、本書の内容には満足いかないんですね。

4 総評

☆☆☆☆

1つかな。

不動産は、そんなに簡単じゃないですよ。

投資信託なら、いいものをみんなが買えます。

よい債券だって、そこまでレアじゃないでしょう。

でも不動産はすべて1点もので、しかも儲かるものは市場にでにくい。

知っている人の間で取り引きされる。

みんながアクセスできる物件は、それなりのものばかりです。

いい物件、儲かる物件を手に入れたい。

とは思いますが、入手が難しいですよね。

REITとか不動産クラウドファンディングとか、そういうものならわかりますけど。

それだと株式投資と変わらないしなあ。

というわけで、不動産の世界に人を引き寄せることがねらいなのかな。

そういう風に感じた本でした。

【書評】中野晴啓「50歳からの新NISA活用法」

1 本書の概要

高齢者向けの投資本です。

新NISAでおすすめされるのは投資信託の長期積立。

大切なのは長期ということ。

10年、20年という期間が想定されています。

長期になればなるほど複利が効く。

若者が有利なのは言うまでもありません。

しかし、本書は50代にすすめています。

どんなカラクリがあるのでしょう?

2 長寿化

結論、長生きになったから大丈夫。

こういうことらしいです。

今や長寿社会。

70歳まで積み立てれば、15年、20年は積み立てられる。

こういう構想です。

まあ、そりゃそうなんですけど。

60代で投資資金確保できますか?

そういう問題が新たにわいてきます。

役職定年になり給料が下がる。

65歳以上は、よくて7掛け程度の給料。

悪けりゃ半分以下。

それが現代日本です。

生活費とは別に投資資金確保できるかなあ。

難しいんじゃないかと思いました。

3 積み立てたその先

そこまでして積み立てた先に何があるのか。

普通に考えて健康寿命の壁ですね。

健康寿命とは、健康に何歳まで生きられるか。

寝たきりになる前まで、というイメージです。

男性の平均は、約72歳です。

つまりですね、積み立てたら2年ちょっとで健康寿命がくるわけです。

まあその後もお金は必要になるものの、我慢して積み立てて自由にできるのが2年ちょっと。

考えますね。

財産作ってどうするか。

子孫に残すのか?

医療費に使うのか?

それも一つの考え方ではありますが、夢がないことは確かでしょう。

iDeCoだったら積み立てている期間も節税になるから多少の意味はあるんでしょうけど。

NISAはなあ。

財産作るだけですからねえ。

健康に気を付ければいいんでしょうけどね。

4 総評

★★☆☆☆

2つかなあ。

これは真実もあるんでしょうけど、ポジション・トーク感が強い。

お金を持っている高齢者を株式に巻き込もうという感じかな。

いやまあ高齢者がNISA使って資産増やしてもいいんですよ。

というか個人の自由ですから。

でも、もし老後に使えるお金、自分年金とか、を増やすんだったら米国債でもいいですしね。

まあ、使わないお金を預金に置いとくんだったら、投資信託でもいいんですけど、それは置き場としてですね。

投資信託は株だから下落する可能性もあります。

下落を回復する数年が貴重な高齢者も多いでしょう。

まあ、投資先としてNISAも選択肢の一つです。

それはまちがいありません。

ただ、積極的に勧めるようなものでもないですけどね。

【書評】元沢賀南子「老後の家がありません」

1 本書の概要

60歳になろうとする女性の住宅探し話です。

賃貸か、それとも持ち家か。

人生で最も盛り上がる話題だそうです。

著者は、アラカン(アラウンド還暦だそうです)のシングル女性でフリーランス

賃貸も購入も厳しい条件。

と自分でいってます。

それで終の棲家を探すという。

そういうルポルタージュなのでした。

2 賃貸

高齢者は賃貸が難しいのだそうです。

特に独り暮らしの場合は。

なぜかといえば、みなさんご存じの通り。

事故物件にしたくないからですね。

つまり孤独死して発見されないと大変な状態になるのです。

これ、賃貸マンションの町内会長に聞いたことがあるんですが、ほんと大変そうでした。

具体的様子を語っていただいたのですが、ちょっとわたしは語れません。

家主でもないのに立ち会いした町内会長に同情したものです。

そういうわけで、近所に身内が住んでいるとかそういう条件がないと難しいといわれています。

とはいうものの。

少子高齢化ジャパン。

最近は、探せばある、アラカンならまだまだ余裕。

こういう状況に変わってきたようです。

なんとなればUR(独立行政法人都市再生機構)だってある。

収入などの条件が合えば年齢で断られることがありません。

まあURの条件がいいものは、募集が出るとすぐ埋まってしまうらしいですけど。

借りれば家賃を払っている限り、そうそう追い出されることはないようです。

とはいえ、絶対安心ではないらしいのですけど。

3 持ち家

ラカンで持ち家を買う。

これは、お金を持ってるという意味でしょう。

そう思いました。

なぜかといえば、ローンを組みにくいからです。

今さら35年もローンは組めないでしょ。

いくら長寿大国とはいえ。

しかしこれも浅はかな考えでして。

頭金の額だったり、年金が高額だったりすると貸してくれる銀行があるそうです。

いやはや。

年金でローンを払うってのもどうなんですかね。

そうつぶやく皮肉屋が心の底で誕生しました。

それはさておき。

探せばなんとかなるようです。

でも、高齢になればなるほど、掃除が大変になるし、庭の手入れもしなくなるし。

ゴミ屋敷一直線な気はするのですが。

しかし、アラカンでも家は買えるというのはいいことでしょう。

そういう選択肢もなきゃいけないと思いますし。

ただ維持管理以外にも難しいことはあると思います。

家賃はないけど固定資産税はあるし。

家電も古くなったら大家さんじゃなくて自分で買い換えだし。

当然、修繕もあるし。

まあ、いろいろ覚悟は必要です。

4 総評

★★★☆☆

3つかな。

本書、知識として知りたい部分は前半部分で終わってます。

後は具体例とか実例とかそういう話になっています。

つまり、老後の家がなかったと思ったらありました、という話になっています。

それでいいんでしょうけど、もう少し詳しく高齢者不動産の制度と実態を読みたかったなあ。

筆者のように高齢になってもアクティブであれば大丈夫。

そんな感じもしたので、弱った高齢者のケースも知りたかったなあ。

つまり健康に課題がある高齢者の場合です。

そうなれば銀行は厳しくなるでしょうし。

病気の高齢者に貸す家主というもの想像が難しいし。

まあ、高齢者というだけだめって感じじゃなかったのはよかったです。

老後の住みかの不安も薄まりました。

ちょっと読み足りない感じは残りましたけど。

【書評】金間大介「静かに退職する若者たち」

1 本書の概要

新入社員とのコミュニケーションについての本です。

「について」という何について書いてるのか分からない言葉を使いました。

そのくらい捉えがあいまいになってしまいました。

まあ「心構え」なのか「技能」なのか、ちょっと判別つきませんでした。

こういう本が販売されるっていうことは、これに悩んでいる中年がいるわけで、必要感はあるのでしょう。

ここまでの記述で分かると思いますけど、私はこの手の本の必要感をあまりもってないんですね。

そんな読者の書評です。

2 コミュニケーションの必要感

中年、というか会社側からの必要感というのは、つまり人材の確保でしょうね。

つまりはやめてほしくないと。

こういうことです。

しかし、若者にとっては、それはどうでもいいことでしょうね。

コミュニケーションとれたからといってやめないに直結しないでしょうし。

ブラックとかどうこうで、よく風通しのよい何でも話せる職場みたいなことが話されるんですけど、まあ居心地のよい場所にこしたことはないんですが、こういうことって本質的じゃないんですよね。

仕事って、人間に精神的なプレッシャーをかけ続けます。

それは解決しません。

なので持病緩和みたいな感じで、こういうことがいわれるんでしょうけど、職場に人間ってコミュニケーションを求めているんですかね。

結局、仕事で対価を得ているわけで、それが満たされればいい。

自己実現とかそういうのって二の次です。

また、やめてほしくないって自分サイドの本音があるから、そしてそれが見透かされているから、フラットなコミュニケーションが成り立たないんじゃないでしょうか。

つまり、欺瞞の技術なわけで、虚しくならないですかね。

茶番なんだけど、仕方ないから若者がほどほどにつき合ってる。

これが実態でしょう。

とはいえ、そのほどほどを突き抜けて若者とコミュニケーションしたい。

と思ってるのでしょう。

けど、コミュニケーションの舞台がそもそもそんなだからどこまで行っても、無理に付き合わせてるって前提が変わらない。

これが問題だとしても、その問題って若者理解とかそういうんじゃないですよ。

問題の捉えがまちがってます。

3 仕事の価値

若者が1on1面接でも、それなりのマニュアルを持ち、真にコミュニケーションができない。

というのが筆者の問題意識だったと思うのですが、それって仕方がないんじゃないのでしょうか。

つまりですね。

仕事、会社から与えられる仕事がそういうものだってなってるんですよ。

つまり、マニュアルで対応しとけばOK。

その会社の仕事、そんな価値なんです。

これって、若者のコミュニケーションが、とかいう問題じゃなくて、そういう風に社会が形成されてきたからでしょう。

つまり個の問題じゃなくて、社会の在り方の問題ですよ。

必然として生じてるんです。

ある意味、現代の就活の結果です。

それで、社内の出世とかにあんまり価値を感じてないんです。

出世して、いい目を見る人もいるかもしれませんけど、多くはそうじゃない。

50に成ったら役職定年。

取締役になれるわけでもなく。

つまり、社内で居心地が悪くならないくらいは出世したいだろうけど、そのくらいなんですよね。

社宅の専業主婦の時代なら家庭のプレッシャーもあったでしょうけど、非婚だし、共働きだしの世の中ですからね。

無難に給料もらえたらそれで、になるわけです。

まあ、野心がある人は起業しちゃってると思うのですね。

そんな世の中で、人手不足で売り手市場になったら、そりゃ退職するでしょ。

そんなもんですよ。

退職しなくとも静かな退職をするでしょ。

そもそも、静かな退職の何が悪いのでしょうか。

仕事は就業規則に則ってやってるわけですし。

無理な目標を掲げさせられる時代でもないでしょうし。

そこで、やめないためのコミュニケーションといっても。

制度自体の虚しさしか感じませんよね。

4 総論

★★☆☆☆

2つかな。

こういう若者論というかコミュニケーション論って、たいてい本質から離れてるんですけど、これも類書の1つです。

自らを相対化して考える視点のなさ。

社会機能としてコミュニケーションをとらえていない点。

他者の行動や判断をなんとか自分で納得できるように解釈しようとする頑迷さ。

分析すべき対象は自分であることの自覚のなさ。

もし、これに心理学的基盤を置こうとするなら、そもそもその心理学があやしい。

静かな退職をするような人は昔からいて、「老荘思想」のようなものです。

それを「儒学」で解釈しようとするから、無理が出てくる。

そんな感じかな。