1 本書の概要
小池百合子さんの伝記です。
最近、またまた学歴詐称で話題となっている小池さんです。
これは4年前、つまり前の都知事選の時に出版されました。
文藝春秋社って、こういうことを時々やります。
「田名角栄研究」とかね。
立花隆さんが世に出たきっかけですけど。
まあ、小池さんの悪評を広げるための本ではあります。
それはそれとして、出版社の意図はともかく、大切なのは事実でしょう。
それは小池さんはどんな言動をしてきたのか。
最終的にその事実が人物を描き出します。
さて、その事実とは?
2 ウソつき
本書が一貫として主張しているのは、小池さんがウソつきだということです。
それが学歴詐称に端的に表れていると。
こういうことです。
まずは、カイロ大学主席卒業の事実ですが、どうもこれはないようです。
時間的にも難しい。
小池さんがカイロ大学に在籍したのは1年ぐらいのようです。
2年生の1年間だけ。
2年生に編入してきて、3年の進級試験に落第し、中退した。
こう同居していた女性が証言しています。
このルームメイトの女性の証言に信憑性がありますね。
昔のことではありますが、断片的に残っている新聞記事などが整合的ですから。
初期の著書「振り袖、ピラミッドに登る」では、カイロ・アメリカン大学という別の大学を卒業したとなっていますが、おそらくこれもウソ。
初期は設定が固まっていなかったのでしょう。
ちなみにカイロ・アメリカン大学はカイロ大学編入前に通っていたとのことです。
編入したなら卒業してないじゃない。
まったくもう。
この他にも、本書では政治家になる前のウソや政治家になってからのウソをこれでもかとあげています。
単に、目立ちたがりの上昇志向で、信念もやりたいこともない人。
そういう風に描いています。
カイロ大学が卒業したといっていると小池さんは主張していますが、ルームメイトの女性の発言を覆すものではないなあ。
せめて、成績証明書とか卒業論文とかを出してもらえれば覆せるんですけど。
仲のよい同級生とかね。
難しいでしょうね。
1年通って進級できなかったが、やっぱり真実でしょう。
3 総評
★★★★☆
4つですね。
読みがいのある本です。
ただし、政敵がおとしめる意図で出版されているということを知っている必要はあります。
その分は割り引いて読まないとね。
ただ、事実はきちんと示しているようですから。
とはいえ、大部の著書の読んでおもしろいのは前半部分。
キャスター以降の小池さんはもう有名人でしたから、同時代人にとっては既知のこと。
なので本書、半分の厚さでもよかったんじゃないかと思います。
ところで、わたしは釣りが趣味なんですけど、バス釣り界隈で小池さんは超嫌われています。
多数のパブコメが寄せられたこともあって、最初の指定でブラックバスは外れる予定だったという話でした。
しかし環境大臣小池さんが外来生物の象徴としてブラックバスがいなくてはとひっくり返したというのです。
これこそ真実はわかりませんが、小池さんという人物から考えるとすごくありそうな話です。
これは一例で、小池さんに煮え湯を飲まされた人たちは、アスベスト禍の人や築地市場の人たちとかですけど、決して小池さんを許すことはないでしょう。
そういう人なんですね。
しかし、驚くべきは80年代90年代の日本では、カイロ大首席卒業なんてウソがまかり通っていたということです。
70年代にスリランカ出身のウィッキーさんをネイティブスピーカーと思っていた頃からあまり進歩していなかったんだなあ。
まあ、ウィッキーさんはウソつきじゃないですよ。
わたしを含め、視聴者が勝手にそう思っていただけです。
意図的にウソを流した小池さんとは違います。
外国がほんとに遠かったってだけです、心理的に。
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