ギスカブログ

 読書しながらスモールライフ「ギスカジカ」のブログ

非定型発達って何?

 発達障害についての本を読みました。
 いつものように心理学の棚を探していて手に取った一冊です。
 パラパラとめくると,マンガでした。
 発達障害は心理学と微妙につながっている領域です。
 マンガで描かれていることもあって興味を持ち読みました。
 タイトルは「空気が読めなくてもそれでいい。」です。

 まず,この本は発達障害とはいっても,取り上げているのは非定型発達です。
 非定型発達とは何か。
 多くの人がたどる発達を定型とすると,それとはちがった発達をした人たちのことだそうです。
 別の言葉でいうと「グレー・ゾーン」です。
 発達障害と定型発達の中間といったところです。
 なので,ADHDやASD(いわゆる自閉症的な障害)の傾向を持った方々といったところでしょうか。
 通常の社会生活はおくれるものの,社会生活にストレスを抱えがちな方々です。
 この本では,トリセツと称して,それらの方々の過ごし方や接し方を述べています。

 マンガの部分を執筆しているのは細川貂々さん,自身も非定型発達と診断されています。
 解説部分を執筆しているのが精神科医水島広子さんです。
 非定型発達の方が著者ということもあって,困り感が臨場感をもって伝わってきます。

 印象に残ったことの一つ目は,マルチタスクができないということです。
 マルチタスクとは,同時並行的に様々な課題を行うことです。
 二つぐらいのことを上手にこなしている人ってたまにいますね。
 そんな感じです。
 日常的には,2種類の料理を同時に作る方もマルチタスクをこなしているといえるでしょう。
 非定型の方はこれが苦手で,一度に一つのことしかできないのだそうです。
 例えば,歩くことも十分マルチタスクになるとのこと。
 手と足を別々に動かしてなどと考え始めるとできなくなるのだそうです。
 そしてそれがストレスになるのだそうです。
 対策としては,マルチタスクとなるような仕事につかないこと,仕事の手順を明確にして迷わないようにすることなどがあるとのことです。
 この特性がプラスとなる場合もあり,すごい集中力を発揮できる場合があるそうです。

 非定型同士だとうまくいかないということも印象に残りました。
 似たもの同士だと安心するかと思いきや,互いに相手に不満をもつようになりがちなのだそうです。
 なので,特性を理解している定型とならうまくできるというのでした。
 かといって,私は特別だからとばかりいうと,やっぱり疎まれるのだそうで,この辺りは相手によるのだそうです。
 ちなみに細川さんの夫はいい感じで理解してくれているとのことでした。

 また,人の心を想像することが苦手というかできないので,「雰囲気で分かってよ」みたいなことはとても苦手なのだそうです。
 ですから,女子のおしゃべりが最も苦手なジャンルになるのだとか。
 無理に会話についていこうとするとストレスなので,話をふられたらよく分からないとか驚いたとか率直に返していくとよいとのことでした。

 非定型というと特別な人のように思いますが,こういう人は身の回りにいたように思います。
 また,自分もそういう面がないとはいえません。
 なので,こういう人もいるんだと分かって接していくと自分のストレスもなくなるのではないかと思いました。
 非定型だから悪いのではなく,非定型の方が貯めるストレスが悪いのです。
 ストレスのない社会にしていけば,周りも含めて生きやすくなるのではないかと思いました。