映画「すずめの戸締まり」を見てきました。
新海誠監督の新作です。
とはいうものの公開されてからしばらく経っていますので、今さら感はありますが感想を述べたいと思います。
内容にもふれるので、ネタバレが嫌な方はバックをお願いします。
1 物語の設定
日本の地下というか異界にはみみずという謎のエネルギー体があります。
みみずがこちらの世界に出てくると大地震になります。
なので、災害を防ぐためにみみずの出口を塞がねばなりません。
その役目を担う者が「閉じ師」です。
「閉じ師」が防ぎきれない出口を要石で防ぎます。
これがこの世界の設定です。
震災後におけるファンタジー設定という感じです。
おそらく東日本大震災がなかったらこの設定は受け入れられなかったかもしれません。
そして、ある種のセカイ系でもあります。
多くの人に被害を及ぼすようなことを彼と私で防ぐっていうことになっていますので。
すんごく大きな半径2mの話になっています。
2 主人公の設定
主人公は女子高生です。
大事な点は、震災孤児であること。
それでも、元気に明るく育っています。
PDSDのようなものはありません。
叔母さんと二人暮らしで、叔母さんは独身アラフォーばりばり働く人って設定です。
姪を愛していますが、引き取ったために結婚できなかったかもという思いを秘めた人でもあります。
二人が暮らすところは宮崎県。
ずいぶん遠くに引き取られたわけですね。
3 あらすじ
主人公は登校時に閉じ師の青年と出会います。
青年はみみずの出口となる廃墟を探していました。
主人公は廃墟に向かった青年が気になって追いかけます。
そこで要石を抜いてしまい、みみずを出してしまいますが青年と力を合わせてなんとか防ぎます。
ところが、抜いた要石は猫の姿となり青年に呪いをかけてしまいます。
これは、猫に変わって新たな要石になるというもの。
青年は巨大なみみずの進出を防ぐために要石として固定されてしまいます。
青年を救うために主人公は、異界への旅に出ます。
そこで、自分の震災経験を再認識しながら救出をします。
まあ、かなり端折りましたが、こんなあらすじです。
当然、主人公は青年にほれています。
4 感想
まったくどうでもいい感想から始めますが、主人公の姿形が好みじゃなかったので、純粋にお話に集中できました。
それでストーリーですが、「君の名は。」や「天気の子」のように凝ったところがあるわけでもなく、呪われた青年を助ける旅という一本筋だったので、これはこれでわかりやすくよかったと思いました。
旅先で出会った人々とのふれ合いから人間的に成長するというロードムービーでもありましたし。
まあ数えれば5日間という短い旅だったのですが。
大震災が主人公の造形に大きく関わってはいるのですが、自然災害と人間というのがテーマでもありませんし、こういう扱いもいいかなあと思いました。
私も被災者ですが、こういう扱いで不快に感じるとか、そういうことはありません。
関東大震災が昭和ドラマの味付けの一つになってしまったように、東日本大震災もそういうものになっていくのかなと思います。
自然災害と人間というテーマの映画も見てみたい気はしますけれども。
さて、ボーイミーツガールものとしてみると、少々ものたりないところがあります。
閉じ師の青年が宮崎を訪れたところで映画は終わるのですが、閉じ師の青年に恋心があるのかどうかわかりませんでした。
片思いの可能性もありますね。
こういうところもそうですが、全体として登場人物の人物像の掘り下げがたりなかったかなあ。
要石の猫さんもそうですけど、動機が今ひとつわかりかねるところがありまして、そのあたりが浅かったように思います。
121分の映画ですから、これ以上時間かけられなかったのかもしれません。
見てる方としては、2時間もあった?ってくらいあきずに鑑賞できましたけどね。
あとはガジェットですけど、スーパーカブが出てきたり夜の店が出たり、昭和のヤング歌謡、正に「ヤング」という形容がぴったりの、が出たりと細部はそれなりに楽しめました。
見に行って損はない作品でしたね。
最後に主人公のふるさとですが、劇中東北とだけで直接言及なかったんですけど、たぶん岩手かなあ。
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人物描写等は、小説を読んで補完しておきます。
新海監督の小説は、味わい深いので大好きですから。