「心が強くなるヒント」を読みました。著者のルイス・ターターリャさんは精神科医です。
といっても,後書きによれば精神分析家でもあるようなので,臨床心理にも詳しいでしょう。
カウンセリングではなく,自分の心の持ちようについて書かれた本でした。
印象に残ったことを述べます。
一つ目は「プラス思考で考える」ということです。
物事を肯定的に考えることは,多くの自己啓発本で勧められていることです。
でも,なかなかできません。
どうしてかなあと考えました。
理由の一つ目は,挙げられている事例がちょっととんちみたいで,心の中まで染みてこないことです。
「○○が心配とある」と,「用心深いのですね」とか「意識が高いのですね」となり,「無駄なものを買った」とあると「好奇心旺盛ですね」とか「それを使った新しい経験が始まるかもしれませんね」とかそんな感じです。
どうも本気で言っていると思えないのです。
理由の二つ目は,こちらの方が大な理由なのですが,物事をマイナスにとらえる感情に負けてしまうことです。
プラスに捉え直そうとしても,後悔とか無力感とかそういう負の感情にとらわれてしまい,そこから考えを展開することができなくなります。
この二つの理由から考えると,多少本気になれないような考え方であっても,負の感情を追い出すために,敢えてプラスに考えるということが必要なのだと思います。
二つ目に印象に残ったことは,言い訳をやめるということです。
自分でも自覚しているのですが,ぼやきが多いのです。
ぼやくことによって精神のバランスをとっているつもりでした。
しかし,自分以外がぼやいているのを聞いたところ,あまり気分のいいものではありませんでした。
特に,親しい人がぼやいているのを菊と,その人のために何かしなくてはという気持ちになって落ち着かなくなります。
人にとっていいものではありませんから,人間関係にいい影響を与えるとは思いません。
やめるに越したことはないと思います。
不満屋の人生に好転は訪れないのです。
さて,言い訳ですが,これの一番の問題は行動力を奪うことです。
やらない理由があるばっかりに行動をしなくなります。
事態が好転することはありません。
少しずつ悪くなるばかりです。
まずは行動することが大事なので,言い訳はその場の心は癒やすかもしれませんが,それだけで,よくはならないのです。
しないに越したことはありません。
印象に残った三つ目は,「その習慣を続けていいことがあるか」という問い掛けです。
習慣は一度形成してしまえば,その通りに行動するのが楽になります。
そういう意味では,プラスにもマイナスにも働きます。
問題は,習慣によって得られるものです。
自分にとってプラスになるのか,マイナスになるのか。
これが大事になるのです。
自分では気付かない,あるいは気付いているけどたいしたことはない,そう考えている習慣はあるものです。
他人から見れば,悪習というやつです。
でも,自分ではそこまで悪いとは思っていません。
なので,続けてしまいます。
これを断ち切れるか。
悪習は続く限り,心を弱めていきます。
意志の弱さを認め始めるからです。
きちんと断ち切ることが大切です。
これには,努力と助力が必要だと思います。
誰かの力を借りることは,恥ずかしくないと思います。
改めてこの本について考えると,やはり自己啓発本に近いのかなあと思いました。
しかし,自分の心を強くなるのであれば,その提言を取り入れるのはやぶさかではありません。
何でもやってみればいい。
そうプラスに考えてみました。