1 気遣いはスキル
あの人は気遣いのできる人だ。
何て細やかな気遣いなんだろう。
このように話されたらうれしいですよね。
気遣いができるということは、周りから称賛されることです。
一方、気遣いが得意な人と苦手な人がいることも事実。
誰でも気遣いができるようになれるとは思えません。
しかし、本書の著者はこのように断言します。
気遣いは、決してもともと備わっている能力や性格ではなく、行動であり、習慣であり、意識して身につけることができるスキルです。
スキルであれは、訓練で身に付くはず。
わたしにも期待がもてました。
本書を読んで、よかった、自分でもできそうということを4つ紹介します。
仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン [ 三上ナナエ ]
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2 おすすめのスキル
1つめは、「名前をつける」です。
お客さんや取引先に話しかける時に名前をつけると親近感を高めるのだそうです。
「どうぞ」ではなく「三上さん、どうぞ」
「部長」ではなく「鈴木部長」
こういうことで、ぐっと親しみが増すのだとか。
確かに、自分がそうされた時を想像すると、大事にしてされている感じがします。
2つめは、「意味のある雑談」です。
雑談は、打ち解けた雰囲気をつくります。
相手との距離を縮めることに役立ちます。
しかし、どんな雑談でもいいというわけではありません。
相手が退屈してしまってはマイナス効果です。
相手にとって意味のある雑談をすることが大切なのです。
では、どんな雑談に意味があるのでしょう。
これには3つの観点があります。
「情報性」…相手にとってプラスとなる情報があること。
「共感性」…相手に共感できるようなところがあること。
「意外性」…相手がくいつくようなおもしろさあること。
この3つです。
これらの条件を満たすためには、相手を知らなければなりません。
下調べが必要というわけです。
「気遣い」のために少しの準備は必要ということですね。
3つめは,「素早く、細やかな報告」です。
これは,特に上司に対しての気遣いになります。
上司はとにかく情報がほしいものです。
情報をあげずに指導されたケースを多くありますが、情報をあげすぎて指導を受けたケースはまれです。
細やかに報告をすること。
それが好感を呼びます。
しかし、上司はいろいろな決断をしなければなりません。
時間に余裕があるわけではないのです。
なので素早い報告が大切になります。
とはいえ早口での方向など論外。
この場合は結論から話すということが大切です。
伝えたいことを最初にいう。
この習慣が相手を思いやった行動となります。
4つめは、「指導の定型」です。
これは部下に対する気遣いですね。
誰でも、指導や指摘を受けるのは気分良くありません。
上司からであっても、内心は穏やかではないでしょう。
しかし、指導しなくてはいけない場面は必ずおきます。
そこでどうするか。
このような手順で話します。
① 挨拶…三上さんお疲れ様。
② 褒め(ねぎらい)…機内販売の説明が上達したね。
③ 本題…商品をお見せするとき、もう少しお客様の目の高さにくうよう、しゃがんで説明するといいかな。せっかく良い説明をしているからもったいない。
④ 励まし…あと1便だね。最後までがんばろう。
このような手順です。
相手に受け入れやすい順番になっています。
これは、子どもへの注意やビジネスでの依頼にも使えます。
大変役立つ話し方で、ぜひ身につけたいと思いました。
3 総評
本書の著者は、CA(客室乗務員)でした。
研修でCAだった方によるマナー指導だったかアンガ-・マネジメントだったかを受講したことがあります。
丁寧に接することの大切さは伝わってきましたが、本心から納得できるものではありませんでした。
しかし、本書の気遣いは違います。
一つ一つのスキルが、なるほどと腑に落ちるものばかりでした。
4つ紹介しましたが、本書には30いくつ例が載っています。
気になった方は、ぜひ手に取られるとよいでしょう。
なお、オーディオブックもあるようです。
忙しい方にはこちらもお薦めです。