ギスカブログ

 読書しながらスモールライフ「ギスカジカ」のブログ

【書評】元沢賀南子「老後の家がありません」

1 本書の概要

60歳になろうとする女性の住宅探し話です。

賃貸か、それとも持ち家か。

人生で最も盛り上がる話題だそうです。

著者は、アラカン(アラウンド還暦だそうです)のシングル女性でフリーランス

賃貸も購入も厳しい条件。

と自分でいってます。

それで終の棲家を探すという。

そういうルポルタージュなのでした。

2 賃貸

高齢者は賃貸が難しいのだそうです。

特に独り暮らしの場合は。

なぜかといえば、みなさんご存じの通り。

事故物件にしたくないからですね。

つまり孤独死して発見されないと大変な状態になるのです。

これ、賃貸マンションの町内会長に聞いたことがあるんですが、ほんと大変そうでした。

具体的様子を語っていただいたのですが、ちょっとわたしは語れません。

家主でもないのに立ち会いした町内会長に同情したものです。

そういうわけで、近所に身内が住んでいるとかそういう条件がないと難しいといわれています。

とはいうものの。

少子高齢化ジャパン。

最近は、探せばある、アラカンならまだまだ余裕。

こういう状況に変わってきたようです。

なんとなればUR(独立行政法人都市再生機構)だってある。

収入などの条件が合えば年齢で断られることがありません。

まあURの条件がいいものは、募集が出るとすぐ埋まってしまうらしいですけど。

借りれば家賃を払っている限り、そうそう追い出されることはないようです。

とはいえ、絶対安心ではないらしいのですけど。

3 持ち家

ラカンで持ち家を買う。

これは、お金を持ってるという意味でしょう。

そう思いました。

なぜかといえば、ローンを組みにくいからです。

今さら35年もローンは組めないでしょ。

いくら長寿大国とはいえ。

しかしこれも浅はかな考えでして。

頭金の額だったり、年金が高額だったりすると貸してくれる銀行があるそうです。

いやはや。

年金でローンを払うってのもどうなんですかね。

そうつぶやく皮肉屋が心の底で誕生しました。

それはさておき。

探せばなんとかなるようです。

でも、高齢になればなるほど、掃除が大変になるし、庭の手入れもしなくなるし。

ゴミ屋敷一直線な気はするのですが。

しかし、アラカンでも家は買えるというのはいいことでしょう。

そういう選択肢もなきゃいけないと思いますし。

ただ維持管理以外にも難しいことはあると思います。

家賃はないけど固定資産税はあるし。

家電も古くなったら大家さんじゃなくて自分で買い換えだし。

当然、修繕もあるし。

まあ、いろいろ覚悟は必要です。

4 総評

★★★☆☆

3つかな。

本書、知識として知りたい部分は前半部分で終わってます。

後は具体例とか実例とかそういう話になっています。

つまり、老後の家がなかったと思ったらありました、という話になっています。

それでいいんでしょうけど、もう少し詳しく高齢者不動産の制度と実態を読みたかったなあ。

筆者のように高齢になってもアクティブであれば大丈夫。

そんな感じもしたので、弱った高齢者のケースも知りたかったなあ。

つまり健康に課題がある高齢者の場合です。

そうなれば銀行は厳しくなるでしょうし。

病気の高齢者に貸す家主というもの想像が難しいし。

まあ、高齢者というだけだめって感じじゃなかったのはよかったです。

老後の住みかの不安も薄まりました。

ちょっと読み足りない感じは残りましたけど。