釣り人は釣りをしている時が一番幸せです。
釣りに行けない時は,どうするか。
釣りの本を読んで気をまぎらわします。
今回は,釣りの本で最も有名な「釣魚大全」について話します。
1 評価のポイント
この書籍がなぜ評価されているのか。
釣りの価値を高めたからです。
釣りをただの遊びではなく,高尚な趣味とした。
そういうところが評価されたのです。
世の人が政争に一喜一憂している間,我々は釣りを楽しんでいる。
主人公がそう言って誇る場面があります。
人生の目的のような点にふれたところが釣り人の心をとらえたのでしょう。
2 実際に読んでみて
読んで見ると,釣りの場面がほとんどです。
元々は,釣りの実用書として書かれたのでしょう。
釣りの対象魚をすべて取り上げています,というような題名だしなあ。
そう思ったのですが,原題は「The compleat angler (完全な釣り人)」でした。
やれやれ。
英語は難しい。
構成は,上手な釣り人とその人に学ぼうとする人の対話でできています。
実用本ですから,対象魚ごとに釣り方を説明をしています。
イギリスの魚の解説なので,ストレートに日本人の参考になるものではありません。
一応,魚には和名がふられているのですが,あくまで似ている魚です。
また,実際に説明されている釣り方をやってみた方もいるようです。
効果は,あまりなかったとか。
まあ,魚の食性は環境の影響も大きいので,そういうこともあるのでしょう。
私が読んでよいと思った点は,二人の釣り師がとても楽しそうなところです。
やはり,釣りは楽しみながらやらないと。
訳が上手なのもあるのでしょうが,会話のテンポもよい感じでした。
ただ途中の詩が分からなかったなあ。
イギリスの方には,さっと鑑賞できるのでしょうか。
3 釣りの本に求めること
私も釣りについて書かれた本をよく求めます。
振り返って,この本はよかったという本には共通点があります。
それは,ワクワク感です。
まだ見ぬ魚をどうにか工夫して釣ってやろう。
そういう釣り人の強い思いが表れている本が好みなのです。
少しは,冒険心が残っているからでしょうか。
そういう点からすると,「釣魚大全」は趣きが異なります。
釣りの指南書・参考書のような面がありますから。
まあ,それに加えてちょっと人生についての語るという感じです。
なので,単なる実用書ではなく,読み物として楽しめるようにはなっています。
でも,ワクワク感とはちょっとちがうのですね。
すっごくおもしろい!おすすめ!という感じではありませんが,釣り人だったら目を通して損はないと思います。
まあ,古典ってそういう本が多いですよね。