1 本作の概要
ホラーよりのサスペンス小説です。
中古住宅を買いたい知人から相談を受けた主人公。
良さそうな家に見えましたが、難点が見つかります。
1階に壁に囲まれた謎の空間があります。
なんのために作られたのか?
そして、2階の子供部屋。
2階の中心にあり、窓もありません。
外から覗くことができない部屋です。
なぜ、こんな奇妙な作りになっているのか。
本作は、これを解き明かす作品です。
2 ホラーは後付
このお話、この家の変な構造を使って殺人が行われていたのではないか?と想像するのがメインです。
それだけ。
それだと1冊持たないので、変な作りの家が後2軒出てきます。
しかし、仕組みはほぼ同じ。
つまりは、人に目撃されないように家の中を移動して犯罪を実行する。
これだけです。
そのために、奇妙な作りの家を用意する。
現実には難しいでしょうね。
まあこれだと可能性を想像しただけ話なので小説になりませんから、旧家の因縁的な動機を書いています。
書いてあるんですが、その動機からどうしてもこういう家が必要だったという感じを受けないんですね。
つまり必要感が薄い。
その代わりに後付感が出ています。
要はこの小説、こんな変な家がありましたけど、なぜこんな作り何でしょう?
というクイズを出したいだけだったのだと思います。
なので、ホラー風味もあまり怖くありません。
そうなんだあって感じでした。
3 総評
カーテン閉めて犯罪を行えばいい。
と作中で人物に話させてます。
その通りなんですね。
こんな使いにくい家を作る必要はないんです。
ある家族を世間から隠したかった。
そういう理由も語られるのですが、ここまでひきこもりが一般的になっている現代。
こもりがちの家族が居たところで、話題にもならないでしょう。
でも、こんな理由も語られました。
カーテンが常時ひかれていたら怪しまれる。
カーテンが開いた2階で犯罪が行われているとは誰も考えない。
まあ、心理的盲点というやつです。
とはいえ、そこまで必要か?
という思いがぬぐえません。
別に家具が傷むからカーテン引いてますでも、たいした問題はないと思うのですが。
というわけで、本作は表題のとおりです。
「変な家」の変さを探るという、そのまんまのお話でした。
この家、使っていない空間が通り道になっているという作りなんですけど、そこまで凝らなくても作れそうな気がします。
普通に天井裏を通るとか、押し入れに隠し扉作るとか。
どこまでいっても、この家の必要感が薄いのでした。
とはいえ、あっさり短時間で読み終えましたし、新幹線の移動のお供にはいいかもしれません。
そんな感じで読むにはおすすめです。
そうそう。
これと似た読後感の本を思い出しました。
子供の頃、父が買ってきた「これが解けたら超天才」というあおりのクイズ本です。
手が大きい人の絵を示して、この人ができないことは?という問題がありました。
答えは「鼻がほじれない」。
本には真実が書いてある、という少年の思いを打ち砕いた本です。
まあ、本作そこまでではないですけど。
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