1 40代からの資産形成
40代をターゲットにした資産形成本です。
筆者は36歳の時、資産ゼロだったそうです。
そこから資産を形成した実績から40代のみなさんに呼び掛けているのです。
目指すはファイナンシャル・インディペンデンス。
経済的に独立して、自由を勝ち取ろうというわけです。
では、どうやって資産を形成したのでしょうか。
2 不安解消
筆者はまず、やってはいけない投資を紹介します。
最初は、個別株式の短期トレード。
要するに、短期で売買を繰り返し利ざやを稼ぐ投資です。
いや投機ですね。
これは、プロのトレーダーの世界です。
会社員は土俵にも上がれません。
売買している時間は勤務時間ですから当然です。
圧倒的に不利な条件で勝負するので、勝つことはきわめてまれ。
やめた方が賢明といいます。
次に、FX(外国為替証拠金取引)です。
これを勧めている本に出会ったことがありませんが、筆者もまた勧めていません。
FXは為替レートの差益、それはただの交換比率であって価値は反映されず、配当金もでません。
ただのギャンブル。
筆者はそこまで言い切っています。
三つ目は、不動産です。
サラリーマン大家などただの夢。
そこまで言い切ります。
特にダメなのが、マンション投資。
空室リスクもあるし、備品の修繕費もかかる。
そして老朽化する。
マンションは新築でも入居した時点で資産価値は大幅に下落する。
とてもじゃないが素人が手を出せるものではないといいます。
最後に定期預金を取り上げます。
定期預金は元本保証です。
先の3つとはここがちがいます。
しかし、現在の雀の涙のような利子とインフレにより、相対的に価値は減っていくと筆者はいいます。
確かに、デフレだった日本がインフレに変わりそうです。
20年後の貨幣価値が下落している可能性は大いにあります。
ここまで、様々な投資対象を否定して、一体何を勧めるのでしょうか。
3 投資信託こそが希望の光
筆者が勧めるのは、投資信託です。
投資信託は、少額から始められ、十分に分散されていて、プロが運用していて、積立ができる。
この4つの理由から勧めるのだそうです。
では、具体的にどの投資信託を買えばよいのか
筆者は、買っていい投資信託はわずかしかないといいます。
① テーマ別投資信託
② グループ株式ファンド
③ 分配型投資信託
④ 公社債投信
⑤ 純資産額が小さい投資信託
では、買うべきは何か。
① 信託期間が無期限のもの。
② 国内株式はアクティブファンド
③ 積立NISAの対象として選ばれているもの
④ 海外株式はよく分散されているもの
ここは、筆者の個性がよく表れていると思いました。
特にアクティブファンドを勧める人は少ないので驚きです。
理由は、こうです。
国内株式は長期低迷してきた。
低迷した株価に連動するインデックスファンドを買っても資産は増えない。
だから、優秀なトレーダーのいるアクティブファンドを選ぶべきだ。
とこういうわけです。
国内は高配当株を勧める人が多いので意外でした。
4 投資資金の作り方
では、投資資金はどれくらいがいいのでしょうか。
筆者は、あまりに少額では意味がないといいます。
100円、1000円では資産形成に時間がかかりすぎる。
40代からの資産形成の話ですので、もっと若い頃から始めている場合は少額になるのだそうです。
期間が短いゆえの主張ですね。
ではいくらから始めるのがいいのでしょう。
筆者は50,000円からといいます。
毎月です。
けっこうな額ですね。
この捻出法についても、丁寧に提案しています。
① 住居費の削減
郊外でいいじゃないか、賃貸ならなおいいじゃないか。
そういいます。
② 教育費削減、私立より公立を
子どもが私立をほんとうに望んでいるか考えて見よう。
③ 介護離職は大バカ者がすること
生活が困窮します。
④ 自動車は軽でいいじゃない、なくてもいいじゃない。
⑤ 生命保険は最低限
住宅ローンがあるなら「団体信用生命保険」への加入が義務づけられているので、まったく不要とのことです。
⑥ 預金はなくてもよい、あっても生活費3か月分
と、こんな風に大胆な節約策を提案してきます。
確かに実行したら50,000円ぐらい捻出できそうです。
5 総評
人を行動に駆り立てる動機には、プラスのものとマイナスのものがあります。
投資は老後の不安解消というマイナスの動機で勧められることが多いです。
しかし、40代からの資産形成を訴える本書が勧める方法は、マイナス動機だけでは継続が難しいと感じました。
特に節約において。
これは資産形成を趣味とするといいますが、楽しむ人でないとできないかもなあと感じました。
実際、資産が増える様子を見るのは楽しいでしょうから、それを目指して楽しむのもありかなと思います。
しかし、複数の投資本を読んでいて、だんだんわかってきたことがあります。
それは、ダメなもの・勧めないものはだいたい一致していますが、勧める商品は微妙にちがっているということです。
1冊の本を信用するのではなく、自分で考えて選ぶということが必要なのでしょう。
何せ、大事なお金を使うのですから。