1 本書の概要
一言でいえばiDeCoのすすめです。
iDeCoについて、簡単に説明をします。
iDeCoは、自分で作る年金です。
公的年金制度に不安が語られるようになりました。
また、年金だけでは老後資金が不足するという試算も発表されました。
そこで、各人が自分で老後資金を作るための制度を設けましょうということなりできあがった制度です。
制度の骨子は簡単。
毎月一定額を積み立てる。
積立金は所得から控除する(つまり減税する)。
積立金は60歳にならないと受け取れない。
こんな感じです。
本書はこれを「勝手に貯まる」「投資術」として推奨しているというわけです。
2 iDeCoのメリット
老後に受けるとる金額はまずおいておいて、iDeCoのメリットとしてすぐに感じられてるのは減税です。
積み立てた金額が控除されるので、年末にけっこうな額が還付されます。
iDeCoには手数料もかかるので、定期預金として積み立てたとしたら利子よりも手数料の額が大きくなります。
そういう意味ではマイナスなんですが、この部分は減税で取り戻すことができます。
とはいえ、それなら財形でもやってた方がいいんじゃないの?となります。
メリットとしては弱いと感じるでしょう。
iDeCoで預金するのは、よい選択肢ではありません。
iDeCoの資金は、投資すべきものです。
投資はこわい。
負けて積み立てたお金がなくなる。
まあ、正常な感覚です
そこで、iDeCoで投資できる商品を国が選定しています。
比較的安全なものばかりです。
だからといって保障されているわけではないことにご注意を。
株式ならインデックスファンドとか、債券とかを選んでおけば、そうそう大損することもないでしょう。
この商品は、iDeCoを取り扱っている会社によってバラバラなので、ほしい商品がある会社で口座を作る必要があります。
また、同じ商品でも会社によって手数料が違うことがあります。
なので、この選定が1番難しいところになります。
本書では、年代別に選ぶべき商品をわけて説明していました。
3 積立についての考え方
本書では、無理して積み立てることはやめようといっています。
つまり、生活費を圧迫するほど積み立てるのは間違いということです。
iDeCoの最大の使いにくさは資金があっても60歳まで引き出せないということです。
これが貯金やNISAなどとの大きな違いです。
これは、税制を悪用して投資しようとする輩が出るのを防ぐためといわれています。
ともあれ年金の1種なのだから仕方ないところでしょう。
このこともあって、筆者は生活に必要なお金、7.5か月分は貯金してから始めるべきと話しています。
同時に、節約もすすめています。
コンビニで毎日コーヒーなどを買う費用も積もれば大きな金額になります。
そういうものを節約して積み立てるというのです。
大事な考え方ですね。
4 総評
正直な感想をいうと、本書は入門書過ぎてちょっとでも金融に興味のある読者はだったら知っていることばかりだったのではないかと思いました。
YouTubeでも、こういう発信をしている方は多いですから。
しかし、基本の基本を書籍で確認するという意味では、つまり理解の基礎を固めるためならば、読む価値はあると思いました。
ここからいろいろな本などに進んでいけばよいからです。
初歩の初歩の本として、わかりやすいしさっと読めてしまうので、本書はよいと思いました。
ただ、iDeCoなどの制度はけっこう改正されるので、本書の内容を金融庁などのHPで確認することが大切でしょう。
それは時事的な事柄を扱う書籍の常なので、仕方がないと思います。