簡単にいえば、気にしすぎるな、と励ましてくれる本です。
最初はネットマナーを事例として取り上げています。
ここの章で、本書の主張のほぼすべてが分かります。
挙げられている例はこんな感じです。
SNSで返事を返さないといけないけど、どうしよう。
これ携帯でメールが送れるようになってから、ずっとある問題です。
返事が返ってこないと怒り出す人がいるんですよねっていうか実際にいました。
LINEになってからは、既読がつくからさらにひどくなった気がします。
困ったものですが、筆者のアドバイスは明快です。
当然「返さなくてもいいよ」でした。
それはそうでしょう。
私のような初老となると、読まなくても、あるいは既読がついたとしても、誰も気にしません。
ITにそんなに強くないこともよく知っていますし、そんなに細やかな性格でないことも知っているからです。
まあ、私自身が今さら人に好かれようとしても仕方ないと思っていることもあります。
しかし、返事をしないことを気に病むまあ若い人にとっては、そうではありません。
相手の気分を害しはしないかと心配なわけです。
特に中高生だと、眼前に人間関係がすべてであって、これが壊れたら取り返しがつかないと考えていることでしょう。
自分の学生時代を考えてみても分かります。
私もそうでした、
人間は出会いと別れを繰り返すということを、実感として知らなかったんですね。
そして、メールやLINEの返事をしないくらいで壊れる関係なんて、他のことでも壊れるし、クラスや部活や学校が変われば自然となくなるなんてことも知らなかったのです。
気にするほど重要じゃない。
こういうことなんですね。
これを筆者は、ユーモアを交えて説明してくれます。
SNSの後、本書は、家族、友達、恋人など様々な対象によるかかわり方について事例を挙げながら説明していきます。
回答の基調は変わりません。
「そんなに気にするな」「本音で行動して構わない」です。
本書の題名にもなっている「多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。」は、気に病む筆者に友人から掛けられた言葉だそうです。
うまいことを言うものですね。
相手はあなたほど気にしていないということを、ちょっと笑いにつなげながら励ましています。
これは覚えていて当然というか、ちょっと名言です。
本書は、こういう感じで気楽に生きていこうという、人生の応援のような本です。
四コママンガによる事例紹介とその解説という形式もとてもよみやすいなあ。
一つ注文をつけるとすると、まあつけなくてもよいような注文ではありますが、自分の内面の掘り下げがあってもよかったかなあ、と思いました。
つまりですね。
相手を気にしているということは、それは相手によく思われたいという気持ちの現れであって、つまり自己都合だということです。
ここを強調してもよかったかなあと思いました。
気にする時は、誰に対してもそうするって人は非常にまれでして、実は自分にとって気に入られたい人に対してそう思っている場合がほとんどでしょう。
どうでもよいと思っている人には、決してこんな悩みは持ちません。
こんな自分心を見つめると、自分の身勝手さが分かってきて、さらに気にしなくなると思うのですね。
まあある種の「嫌われる勇気」です。
これも嫌われてもいいやって感じで、積極的に嫌われるようにしてはダメだと思いますけど。
とここまで書いて、こういった点を強調すると、本書の「大丈夫、大丈夫」感が薄れて重くなり、本書の魅力が薄まってしまうかもと思いました。
くよくよしている人を元気づけるための本だとすれば、あえて踏み込まない方がよいのかもしれません。
とにかく、相手はそんなに気にしてないよ、自分の思ったとおりにすればよいよ、とこう励ましたい人にぜひ勧めてほしい本です。
軽く読めて元気がでる、いい本です。