HSPについて書かれた本でした。
HSPとは何か?
Highly Sensitive Person だそうです。
つまり、とても敏感な人ということです。
人が感じないような細かなことを感じ取ってしまう人です。
感知能力が高く、すぐ察する人、勘のよい人。
そんな風なよいイメージが持てます。
しかし、困ることの方が多いのだとか。
いったい、超敏感だとどんなことに困るのでしょうか。
1 HSPが苦手な人
HSPだという人は、そもそも人づきあいが苦手なのだとか。
中でも、こういうタイプが特に苦手だそうです。
高圧的な人、「お局さま」、傲慢な人、親切すぎる人…。
こういうタイプに振り回されるのだそうです。
なぜか?
HSPは、敏感に人の気持ちを察します。
察しすぎて、相手が言ってもいない言葉が聞こえるのだそうです。
例えば、こうです。
その部が大会で優勝した後、キャプテンにおめでとうと声を掛けたところ
「お前の知ったこっちゃねえよ」
という声が聞こえたきたそうです。
事実は、はいと返事をされただけなのだそうですが。
というくらい、相手の気持ちを感じ取ってしまうのだとか。
にわかには信じられないエピソードですが、HSPには「また聞こえた」ぐらいの頻度なのだそうです。
こういう感じ方なので、相手の意向に逆らうこともできないし、人の頼みも断れないし、かわいそうな人を放っておけないのだとか。
そして結局、疲れてきってしまう。
ということから、上記のような人たちが苦手なのだそうです。
2 HSPとうつは異なる
こういう生きづらさが重なると、気分が落ち込んできます。
陰鬱とした生活を送ることになります。
それで、受診をすると「うつ」と診断されることもあるのだとか。
それで薬を処方されても、改善はしません。
改善しないのでより強い薬を処方されるようになり、悪循環になるのだそうです。
うつは病前とまったく異なる精神状態になりますが、HSPは以前と変わったところはありません。
つまり、HSPは前の状態に戻るということはないのです。
ここが一番のちがいになるのだとか。
自分をうつを思っている人の中に、HSPは多くいると筆者は述べています。
そして、HSPであることを知れば、楽に生きる一歩を踏み出すことができるのだそうです。
3 HSPの対処法
HSPには、有効な対処法があるそうです。
まずは、心の断捨離。
不必要なものから離れることです。
感じ取ったものすべてに反応するのではなく、自分に必要ないものは感じ取っても捨てる。
こういう態度が大事だとか。
次に、自分の感情を見える化する。
まずは書いてみる。
そうすると自分の敏感リストができる。
それを更新していくうちに、自分のトリセツができあがるそうです。
こうして、自分に嫌な感情を呼び起こすものを断っていく。
こういうことができるようになるそうです。
そして、自分を守る魔法の言葉を持つ。
例えば「困ったことはおこらない」です。
あるいは「すべてはよくなる」です。
自分に合った、自分の気持ちを切り替えることができる言葉を見つけることが大事になるのだそうです。
4 総評
本書は、実用書として紹介されていました。
タイトルだって、それ風です。
しかし、この本を実用に活かせる人は少数派でしょう。
HSPはそんなにいません。
少なくとも、しゃべってもいない相手の声が「また聞こえた」というレベルで体験した人は、ごくまれではないかと思います。
そういう意味では、こういう方もいるんだという教養書として読むのがいいのかなあと思いました。
しかし、まったく参考にならないかといえば、そうではありません。
HSPとまではいかなくとも、相手の気持ちが気になって仕方がないという経験ならば誰にでもあることです。
そういう時に、過度に落ち込んだりしないよう、本書にある対策を試してみるのはよいことではないかと思いました。
気持ちに活力がよみがえると思います。
人間関係に悩む人が読む本としても、一読の価値があると感じました。