「テルマエ・ロマエ」で有名なヤマザキマリさんの人生相談です。
ヤマザキさんは、なかなか波乱万丈な人生を送っているようで、相談者の困っている状況と似た体験をしていることが多いようです。
高校卒業後、イタリアで絵画の勉強、同棲相手の子供を妊娠したが結婚せずに別れ、マンガ家となり現在に至る。
いやあ、ねらってもこういう人生歩めませんね。
これで成功しているんですから、中学高校でしているキャリア教育って何なんでしょう。
こういう人のしない人生経験を積んでいる人が人生相談に向いているのですね。
納得です。
さてこの人生相談、元々は毎日新聞の連載だったようです。
匿名とはいえ、ちょっと身内の恥っぽい内容を投稿するのは勇気がいるだろうと思いました。
というか、よく人に話す気になったなって感じです。
という感想で推察されると思いますが、そんなんどうだってええがなって感じの相談が大半でした。
「間違った結婚を解消したい」
別れたらええがな。
「上司の衣類のにおいがつらい」
近づかなええがな。
それとなく教えたらええがな。
まあそれができず悩んでいるのでしょうけど。
世の中平和です。
カウンセリングもこんな相談ばかりなら楽でしょうね、心理的には。
ヤマザキさんはこんな私とはまったく別で、一人一人に真剣に答えています。
仕事とはいえ、誠実な人です。
こういう方と仕事がしたいですね。
それで、不謹慎な私は、回答の類型を勝手に3つの分けました。
一つ目「それでいいのではないか」。
つまり、悩んでいる状況のままで何もしなくてはいいのではないか、という回答です。
悩みそのままじゃないですか~。
という声もあるでしょうが、こういう場合、認識を変えるのです。
つまり、これは不幸な状態だと思っていたけれど、実はそうじゃないと考えるというわけです。
まあ、人生どうにもならない問題も多いわけで、代表が生老病死ですけど、それに対してはこちらが変わるしかない。
こういう考えです。
ヤマザキさんのえらいところは、こういう場合も、こう考えてはどうでしょうと具体的に教えているところです。
かゆいところに手がかかりますね。
さて二つ目は「そういうものですよ」です。
つまりですね、一つ目と似ているのですが、ちょっとニュアンスが違うのです。
この場合、相談者の認識が変な場合ですね。
簡単にいうと、「あんたがまちがってるよ」何ですけどそんな回答はできるはずもありません。
だけども、解決をするには、その方の認識を変えないといけない訳です。
変えないとどうせ同種の問題を起こすに決まってますから。
そういう訳で、ソフトに「こうしては」という提案をします。
さて、新聞の人生相談ですから、提案して終わります。
事後報告などは当然ありません。
が、ヤマザキさんの話が上手であればあるほど、その後どうなったかが気になります。
解決したんでしょうか?
問題の根本が解決していない以上、この問題は解決しても別の何かが起きるでしょうね。
そうならないことを祈ります。
三つ目は、「こうしてはどうか」です。
悩み相談への解決の王道ですが、それほど多くありません。
短い相談ですので具体的状況も分からないし、安易に決めつけての提案もできない。
そういう理由かなと思います。
それに相談する人というのは、案外自分でどうするかは決めていて、背中を押してほしいだけも多いので、具体的アドバイスを本音では求めていないんじゃないのと思うこともしばしばですし。
「何もせずに一日が過ぎる」という相談に、「無意味なことを熱心にやってみるといい」という回答がありましたが、まあ、この程度のことを話しているくらいです。
例がよくなかったかな、この質問にそれほど深刻さを感じませんね。
一冊読み通して、結局人生相談などは、道を指し示すというよりは、自分で道を見つける手助けをする、元気づけるというのもなのだと思いました。
人の人生は人のもの。
そういうことなんだと思います。