1 本書の概要
債券投資の解説書です。
能登さんは独立系ファイナンシャルプランナーです。
主に退職金運用の相談にのっているとか。
そこで株式ではなく債券の投資を薦めているというわけです。
本書を知ったきっかけは、YouTubeです。
内容は債券投資。
まあ、本書の内容です。
それを見て、債券投資を知りたいと思い本書を手にしました。
本当は電子書籍でほしかったのですが、紙でしか販売されいません。
手に取って、理由を察しました。
150ページ弱という薄さ、全ページカラー。
これ絵本です。
紙で出した方が効果的なわけです。
狙っている読者層も、退職者層。
電子書籍に興味がある世代ではないでしょう。
なるほどなという感じです。
2 退職金の債券運用
退職金は、預貯金や株式投資ではない。
債券投資をするべきだ。
これが本書のすべてです。
本が薄いのには理由があります。
訴えたいことがシンプル過ぎるから。
さて、債券運用をどうこう論じる前にですね、前提を整理することが大切です。
退職金の運用なんです。
つまり、かなりの金額を短期間で運用する。
こういう方々を相手にしているわけです。
ターゲットをしぼりこんでいます。
だから、答えも単純なんです。
退職金の運用ですから、資金を大きく育てる必要はありません。
自分の健康寿命の間につかえるお金があればよい。
さらに元手が減るのは不安だから、減らしたくない。
こういう運用なんですね。
となれば、毎年の利子や配当があればいい。
こういう結論なんです。
インデックスの積立運用などが取り上げられないのはこういう理由です。
あれは長期分散運用です。
そして、高配当株の運用を取り上げないのは、株が暴落することがあるから。
つまり元手が減る可能性を排除したいからです。
日本の利率では、ほとんど利子がつかない。
なので、米ドル債券の運用なんですね。
ターゲットの要望を的確に反映した提案。
なるほど、と思います。
3 債券運用の短所
では、債券運用はローリスクでミドルリターンなのか。
という問いが出るのですが、まあ短所はあります。
1つめは、高配当の債券は多くないってことです。
一応社債なら高いのですが、高いものは信用度が低いというのが普通です。
株や債券は倒産したら、紙切れですから。
今は電子取引なので紙ですらありませんね。
現在は、米国の金利がめちゃめちゃ高いので、格付けAランクでもけっこうな利率があります。
でも、今は例外です。
いつもこうじゃありません。
次は、為替リスクがあります。
これ、けっこう大きいですね。
為替は利率なんて比較にならないくらい大きく変わりますから。
ドル円なんてこの1年間で1ドル10円以上変わってます。
対策として、償還したらドルのまま持っていて、ドル高になったら売ればいいというのがあります。
それはそうなんでしょうけど、生活に余裕がないと持ち続けられないと思うのですが。
とまあ、バラ色ハッピーな感じではないんですけどね。
4 総論
★★★☆☆
星3つですね。
じっくり読み返して理解するにはいいんでしょうが、能登さんのYouTubeを見ていればその主張が分かるというのがその理由です。
まあ、ドルでの債券運用についての本は少ないので、本書で基礎的な知識を得る、という使い方はいいと思いますけど。
それでも、買ってよかったと思う点がありました。
債券運用の実際例が載っていた点です。
これ、分かりやすかったです。
この部分を詳しくしたり、もっとケース別の例を載せた本がでないでしょうか。
そのような本が出たら、絶対買います。
おもしろいに決まってますからね。
能登さんのお話だと、ドル債券で大きく失敗はしないという話ですが、それでも失敗例があったらそれも読んでみたいと思いました。
つまりは、「応用偏」が読みたい。
そう思える本でした。
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