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【書評】林敬一「投資は米国債が1番!」

1 本書の概要

 米国債を薦める投資本です。

投資といえば株式!

というのが常識です。

岸田総理も「貯蓄から投資へ」といっていますが、その中心は株式投資

新NISAなんて、その最たるものです。

本作はそうではなく、債券への投資を薦めています。

私も、「債券って何?」という一人。

本書を読んで、ようやく概要がつかめました。

2 債券とは?

債券は借金証書です。

債券を買うということは、金を貸すということです。

株式は出資です。

つまり事業をする資金を出すということ。

事業が失敗すれば、リターンはありません。

債券はそうではありません。

貸した金ですから、期限が来れば返ってきます。

利子ももらいます。

そういうものなのです。

しかし、貸した金が返るかどうかは分からないのが世の常。

貸した先が倒産すれば、もちろん返ってきません。

債券はそういうものです。

まあ株券もそうなのですけれどね。

違いは、利子と元本という返ってくる額が確定しているという点です。

株は事業が成功すれば、ドーンと大きく儲けられますが、債券はそうではありません。

あくまで最初の契約通りの金が返ってくる。

まあ、この点は定期預金と似ています。

3 国債社債、そして米国債

債券も細かい種類はあるんですが、大きくは国債社債に別れます。

国債は国が発行している債券。

日本が借金が史上最高で~ってニュースでいってるあれですね。

社債は会社が発行している債券です。

で、どちらが信用できるか、つまりは金を返してくれそうかといえば、これは国債です。

なかでも先進国は、かなり信用できる。

こういう風になってます。

債券については、投資家向けの信用情報がありまして、格付け会社が出しています。

AAAとかそんなので格付けしているやつです。

だいたい投資に適格なのはBBB以上でしたか、多くの人はA以上がいいといってます。

中でも、世界最高ランクで信用できるのがアメリカ。

世界最高の経済大国です。

なので、米国債を買うのが安心です。

とまあ、筆者もそう薦めているわけです。

4 それでもあるリスク

返金と利子が確約されている債券ですが、米国のものを買うとなるとリスクがあります。

為替です。

今、円安です。

150円弱ぐらいでしたか。

これが100円になったとしたら、ドルの価値は3分の1になります。

つまり、ドルで元本と利子は増えて返ってきますが、円では減る可能性があるということ。

このリスクがあるのです。

ここが米国債を買う1番の悩みどころです。

まあ米国株を買うにしたって、同じことなんですけどね。

5 米国債の種類

米国債は2種類あります。

ゼロクーポン債と利付債です。

これは、途中で利子をもらうか、満期に利子をもらうかの違いです。

利付債は約束した利子は半年ごとにもらいます。

ゼロクーポン債は利子を複利で運用して元本を増やします。

どっちがいいかっていうと、途中でお金が欲しい人は利付債を、長い期間で多く利子を受け取りたい方はゼロクーポン債を買えばいい。

まあこういう違いです。

ちなみに米国債では、利子をクーポンといいます。

何でも、昔は債券の下に切り取りのクーポンが付いていて、それを持っていって換金していた名残だとか。

慣習ですね。

ゼロクーポンというのは、クーポンがゼロということです。

ちなみにですね。ゼロクーポン債は割引で売られます。

100ドルの債券を80ドルで売って、100ドル返すってやり方です。

種類じゃないんですが、もう一つ米国債を分ける基準があります。

金を貸している期間です。

数年の短いものもあれば、30年ぐらいのものもあります。

で、これを経済の状態で買うわけです。

使わない資金なら長い方がいいです。

例えば、5%の利子を20年もらえば、利子だけで元本相当の金額になります。

かなりお得なのが分かると思います。

ただし、実際は手数料なり税金なりでそうはうまくいかないんですが。

6 まとめ

本書なんですが、前半は国の経済政策の批判です。

まあ、米国債を薦める前提の説明だと思うのですが、これが長い。

読み終えて思ったことは、米国債って基本的なことを話すと後しゃべることないんですね。

みなさん書店の投資本で、定期預金の本を見たことないでしょう。

あるのかもしれませんが、私はありません。

なぜか。

分かりやすすぎて、売れないからです。

口座の開き方とか本で読むまでもないでしょう。

米国債もそれと同じで、基本簡単なんですね。

だから、まあ経済政策批判などを書かないと1冊にならなかったのかなあと思いました。

実際買いたい人が知りたいのは、どこの証券会社がいいとか、ドル円交換はどこがいいとかそんなことです。

これは、証券会社のHPで調べればいいですからね。

現在はSBI証券を薦める方が多いです。

楽天証券でもそんなに差はないんですが、楽天社債販売に力を入れていて米国債はそれなりにって感じですから。

というわけで、米国債の本が少ないのはこんな理由なのでしょう。

ところで、筆者はいつ何時でも米国債投資を薦める信念の方ですが、今(2023.10)米国債の利率が4%前後でして、これは歴史的高利率らしく、急に米国債を薦める方が増えてきました。

いつもは3%もいかないくらいなんだそうです。

それでも銀行利子より相当高いですが。

で、みんな殺到しているかというとそうでもありません。

なぜなら、今円安ですからね。

受け取る時に為替損をする可能性があるので躊躇している。

こういうわけです。

まあそれでも長期を買って、元本受け取る債に円高だったら、ドルで持っていて為替がいい感じなったら円にすればいい。

米国債を薦める方は、そんな風にいいます。

余剰資金じゃないとできない話ではありますが。

4%で25年もてば元本だから、そして元本も残るし損はしないんじゃないの。

そうはいいますが、お前はどうする?っていわれたら、躊躇すると思います。

決断力がないのでしょうか。

決断力って、結局運命を受け入れる覚悟みたいなところがありますね。

あと、NISA枠で生債券は選べません。

非課税にならないってことです。

そういう意味では、国が期待している投資先ではないのでしょう。

債券ETFはNISAで選べるのにね。