1 本書の概要
タイトルを読んで、自己投資本だと思ったのですがちがっていました。
大学院に進学するなども学歴アップも確かに自己投資です。
ですが、普段いう自己投資の枠を超えているというか。
もって手軽にできるのを自己投資と考えている人が多いのではないでしょうか。
資格とか健康とかにお金をかけるなんて感じです。
進学は収入もなくなるし、ガチ過ぎます。
とはいえ、自己投資にはまちがいはないのですが。
2 大学側の事情
大学は、少子化で学生の確保が課題となっています。
それであれこれと対策を練っています。
もう停止されましたが、教員免許更新制という制度がありました。
10年に1度更新しなければいけないという制度だったのですが、これは受講した方から受講料を徴収することができました。
今まで、教育学部も教育学科もなかった大学でこの講座を開講するところが増えました。
経営のためです。
停止されたことからわかる通りなんの成果もない制度でしたが、私学の経営には利するところがあったと思われます。
MBAもこれと同じです。
日本でMBAを持っているから有能な経営者といえるのでしょうか。
孫さんも柳井さんももってないでしょう。
そういうことです。
そもそも文系大学院は大学の先生になるのでなければ行く必要がないところでした。
昔の東大だと大学院に行かせるのではなく、後継者となりそうな学生を助手として採用していました。
これも大学の経営が先に立っているような気がします。
そして、企業側はMBAを必要としているのでしょうか?
3 キャリアアップするのか?
学生の方から考えます。
自己投資というのは、自分の収入を増やすためにすることです。
MBAを取ると収入は上がるのでしょうか。
ストレートで大学院に行った場合は、就職の壁があります。
院卒は学卒よりも就職が難しいのが現実です。
それでは、就職してから大学院に行った場合はどうでしょうか。
職を有したままなら、つまり大企業や官僚からアメリカ有名大学に留学した場合などはエリートコースに乗ったといえるでしょう。
当たり前です。
では、職を辞して大学院に行った場合はどうでしょう。
日本では再就職が難しくなるはずです。
そこに就職市場がないからです。
結論。
一般人にMBAは有利な資格ではない。
日本で文化が大きく変わったらどうなるかわかりませんが、現在はこうです。
結局、MBAで学んだことを日本の企業は重視していないのです。
4 総評
本書は、MBAが日本でも有効になったら、あるいはなってほしいという希望で書かれています。
自己投資としてコスパは悪いと思います。
簿記を取ったり、宅建を取ったりした方がよほど有効です。
夢がないといわれればそれまでですが、MBAは大企業で役員になるような人にふさわしい資格です。
そんな人は少数です。
高価な学費を払って得たとしても…といった感じです。
本書は、正面からMBAについて論じればよかったのではないでしょうか。
タイトルと内容が合っていません。
もっと一般の方に必要な自己投資について語っていると思ったのですが。