心理職の山脇由貴子さんの講演を聞きました。
東京都の児童相談所でカウンセリング等の仕事を長くなされていた方とのことです。
まったく知りませんでしたが、ワイドショーなどで児童虐待報道があるとコメンテーターとして意見を述べていたようです。
いくつか考えさせられるところがありました。
1 いじめに傍観者はない
いじめ問題で、いじめを知っていながら放置している傍観者がいる。
ここも問題だ。
という主張を聞いたことがあります。
山脇さんは、敢えていじめに傍観者はない、と言い切るそうです。
加害者か被害者か。
そのどちらしかないのだとか。
そして、加害者が傍観者を加害に巻き込むイベントが起こるので、いずれにしろ加害者になる。
こう主張されます。
何か人間という生物の業を見せられたような気がしました。
自分が生徒だったころは、はるか昔で思い出せませんが、どっちでもない人はいたような気がします。
今はこうなのかもしれません。
2 被害者は加害者と共犯関係になる
ある種のストックホルム症候群なのかもしれません。
いじめがばれると面倒なことになる。
そのことを被害者がわかっていて、ばれないように隠蔽に荷担するのだそうです。
自分は被害者なのに。
ある種、天災のように感じていて、過ぎ去るのを待つという感じなのだとか。
心が病むというのも、ここまでいくものなのですね。
3 長く続く関係なんてこわいじゃない
これは、山脇さんが被害者から聞いた名言なのだそうです。
親しい関係におそろしさを感じている。
こういうことですね。
つまり、その人間関係はストレス源なのだけれども、切れるような関係ではない。
だが、いつか終わりがあればそれを希望を持って待っていられる。
親しく深くなんて恐ろしい。
こんな感じなんですね。
つまりは、本音でつきあえないということです。
夫婦も家族もそうだと山脇さんは言い切りました。
そうなのかもしれませんが、どうなんでしょう。
ただ、このような人間関係にある人が幸せでないことは確かだと思います。
4 ネットでしか本音を明かせない
友人にも家族にも本音を明かせないとどうなるか。
ネットで本音を明かすことになります。
というのも、匿名性があると生徒は考えているので、そこで明かしても都合が悪くなったら関係を切ればいい。
こう考えているとのことです。
そうすると、どうなるか。
悪い人が現れるのだそうです。
真剣に心配しているような受け答えをする。
そして心が開くのを待つ。
現実で会う。
そして、まあ条例違反とこういう流れなのだとか。
明らかになっていない家出少女とかいっぱいいると山脇さんは断言しました。
そうなんでしょうけど、やっぱり人間の業を感じます。
5 総評
山脇さんの話は興味深かったし、思春期の子どもの心情について示唆に富んでいたと思います。
ただ、話し方も含めて何ですが、露悪的なのが気になりました。
まあ、刺激的な言い方で問題の重要性を認識してもらう、というようなスタンスなのかなあとも思いました。
あるいは、長年そういう現場に携わってきた結果、つまり人間のそういう悪意ある側面を見過ぎた結果、こういう気持ちに至ったのかも知れません。
こういう話し方は、刺激的ではありますが嫌悪感を持つ方もいるかと思います。
さて私は、いじめはある種のストレス発散で、もちろん全面的に悪いことなんですが、集団生活が過密になると起きる現象のように思っています。
なので、固定的でストレスある生活をする集団は解消するのが一番よいと思っています。
つまりは、10代の学級制度は解消して、大学みたいに単位制にしたらいいと思っているのですが。
まあ少なくとも、そういう学校が区市郡レベルで存在するっていうのが現実的かなあと思います。
山脇さんの話を聞いて、人間の業について考えさせられました。
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