「いじめに負けない心理学」を読み終えました。
この本の最後の章に「いじめから抜け出す五つの方法」が書いてあります。
ここを読むことを期待していたのですが,少し期待とは違っていました。
内容については,後で話します。
それよりも,この本で一貫して主張していることは,いじめに遭わないためにどういう人間になればよいかでした。
私が読み取った,いじめに遭わないための要点を述べていきます。
一つ目は,この世には相手の心情を考慮せずいじめる人がいることを認識することです。
「感情的恐喝」について述べた時もふれましたが,いじめを行う人は愛情とか家族愛とか友情とか立派な徳目を話ながら,自分の利益のために行動します。
相手は自分のために利用される存在です。
ボロボロになっても,まったく感知しないし,簡単に捨てていきます。
そういう人がいる,これをしっかりと心に刻むことです。
二つ目は,愛情や尊敬などをあまり受けていない人はだまされやすいということです。
尊敬とおだては違います。
勇敢とおだてて,敵軍に突撃させられてはたまりません。
さびしい人は,愛を語る人が愛情豊かな人と勘違いをします。
口頭で徳目を強調する人はうさんくさい。
このくらいに認識で間違いないと思います。
三つ目は,嫌なことは嫌といいあやしいことは問いただすことです。
嫌といわない,妙なことも受け入れる,そんなことをしても器が大きいとは思われません。
与しやすい,だましやすい人と思われるのが関の山です。
しっかりと自分の考えを明確に話しましょう。
そんなことをしたら嫌われると思うかもしれません。
しかし,堂々と嫌われてください。
そもそも,嫌な提案やあいまいな要求をする人はあなたを大事になんか思っていません。
利用しようと思っているくらいです。
この人はだましにくいと思わせることが大事です。
心が安まらない人間関係を作っても,心が病むだけです。
怒る必要はありません。
くだくだと断る理由を話す必要もありません。
嫌だと淡々と伝えればいいのです。
変だと思ったら,どうなっているのか訊けばいいのです。
遠慮してもいいことはありません。
そういう応対が普通なのです。
さて,最後に筆者が述べていたいじめから抜け出す方法を述べます。
1 何か好きなことをする。
2 人とは関係なく自分にとって大切なものを作る。
3 何か小さなことでいいから毎日実行する。
4 努めて自然に接する。
5 「べき」を捨てさる。
これらは,心を健全に保つための五箇条のようです。
心構えとしては妥当と思います。
しかし,心を健全にしたその上で,いじめに遭わない・いじめから抜け出す方法が必要になると思います。
先に私が読み取ったことを実践することが,その方法となると思います。
それにしても,これらの方法は前提として一種の性悪説に立っています。
そういう人間観を持つことに抵抗がある私も,いじめられ利用される側の人間なのかもしれません。
そんなことを思い,少しだけ寂しくなりました。