ギスカブログ

 読書しながらスモールライフ「ギスカジカ」のブログ

誰の心にもアダルト・チルドレンがいるかも

 アダルトチャイルドという言葉をたまに耳にします。
 大人になりきれない人ぐらいの意味かなあと思っていました。
 アルコール依存症の家族のもとで育ったり,機能不全の家族のもとで育った人のことを指すようです。
 一般に,低い自尊感情と屈辱感を持つようになり,共依存や悪い習慣をもちやすい傾向にあるといいます。
 と調べた結果はそうなのですが,アダルトチルドレンと複数形と呼称されることが多いようです。
 日本では,機能不全な保護者のもとで育った人間関係形成に課題をもつ人といった意味合いで使われることが多いようです。
 周囲にあまり当てはまる人がいないようにも思えるのですが,案外乗り越えたり隠したりしている方がいるかもしれません。
 ということで「アダルト・チャイルドが人生を変えていく本」を読みました。
 個人の著作ではなく,アスク・ヒューマン・ケア研修相談センターの編著となっています。
 読んだ感想を述べていきます。

 まずアダルト・チャイルドがすべきことは,自分と他人の境界の境界をはっきりさせることだそうです。
 どうゆうこと?
 アダルト・チャイルドは,多くの場合共依存の関係を築きます。
 相手に頼られているということが自尊心に,というより自分の存在価値になっている状態のことです。
 ですから,共依存の相手と自分の境があいまいなんですね。
 でも,相手の心を自分のようにコントロールはできない。
 なので,相手の不安が自分の不安となってしまう。
 こういう心理状態になちがちなんだそうです。
 これを断ち切ることが必要なのです。
 その第一歩として,相手と自分の境界をはっきりさせる。
 相手のことは相手のこととはっきり認識する。
 こういうことが大切なんだそうです。
 しかし,なんで境界が曖昧かというと,自分の存在意義が薄いからなのだと思うので,自分の価値・意義をしっかりと認識させることを同時にする必要があると思います。

 次に印象に残ったことは,「アサーティブなコミュニケーション」をとるということです。
 アサートって,主張するっていう英単語ですね。
 割と強めに主張する時に使われていたような気がします。
 アダルト・チャイルドは,頼られることで存在意義を感じ取るので,主張が上手じゃないんだそうです。
 それでしっかりと主張することで,相手と対等なコミュニケーションを取ることが必要であるとこういうわけです。
 普通に考えて,交渉ですよね。
 相手の気分を害さないように主張することができるようになる。
 こういう技術の訓練が必要なのだと思います。
 本の中でコミュニケーションで大切なことが四つあげられていました。 
 誠実,率直,対等,責任です。
 相手や自分に対して誠実に,つまり嘘やごまかしをせずに,自分の思いを率直に述べ,対等な立場で話し合い,話し合ったことに責任をを持つ。
 こういうことができれば,アダルト・チャイルドであろうとなかろうと信頼される人間になると思います。

 もう一つ印象に残ったことがあります。
 それは,相手との関係を終わらせるということでした。
 適切な関係でない場合,相手や自分によくない影響がある場合に,関係を終わらせることは,人間関係ではよくあります。
 しかし,アダルト・チャイルドは相手に依存しているので,なかなか関係を終わらせることができないのだそうです。
 それを,それこそアサーティブにはっきりと伝えることが大事だということでした。
 そして,終わった気持ちを癒すことにも留意すると。
 妥当な行動をしたとしても,人間関係を終わらせたことに対する罪悪感等が残りがちなのだそうです。
 それを時間をかけて終わらせる。
 自覚的に癒やす。
 そういうことが大切なのだそうです。

 中学生の時,好きだったマンガがありました。
 「はみだしっ子」というマンガです。
 三原順さんのマンガでした。
 最終章の「つれていって」の辺りを読んでいて,当時はよく分からなかったこともあったし,結末は解決になったのかな(主人公が仲間を守る嘘をついて終わります)と思っていたのですが,これアダルト・チルドレンに当てはまるのだとか。
 登場人物に共感していた私も,アダルト・チルドレンの要素があるのかなあと思いました。
 実際,多くに人間の心理状態はスペクトラムで関連しているようにも思います。
 この本で知ったことが,アダルト・チルドレンとみなされない人にも役立つのではないかと思いました。