人との距離の取り方に難しさを感じませんか。
今回読んだ本は,このことをテーマにしていました。
「離れたくても離れられない人との距離の取り方」です。
内容にふれながら感想を述べます。
筆者は人との適切な距離があるといいます。
そして,つらいのは近すぎるからだと。
この問題をシンプルに定義するとこうなるのではないでしょうか。
嫌な人から離れるにはどうするか。
さて,こう訊かれたら答えは簡単です。
離れたらいいじゃん。
これで話は終わりです。
本書も一冊まるまるかけてこう言っているようなものなんです。
そうはいっても具体に少し入ってみましょう。
離れられない理由として,相手の気持ちを考えてというのがあります。
こういったら気分を害するんじゃないか,とかそういうものです。
相手のことを考えている面もあるとは思います。
が,嫌われたらどうしようとか,場の雰囲気が悪くなるんじゃないかとか,自分のことを考えている部分もあると思います。
なので,これは思い切って本音を伝えた方がよいと思います。
ただし誠実に落ち着いて。
伝え方が大事ですね。
ただし,心の底で嫌われてもいいくらい思っていていいと思います。
案外,杞憂に終わり嫌われないかもしれません。
筆者もほぼそんな主張です。
さて,嫌われても離れられない関係ってのがあります。
家族とか勤め先とかそんなのです。
本書のタイトルを読んだ時、そういう家族相手とか同僚・上司相手とかの場合を取り上げてると思ってたんです。
ですが、そうではなく一般的な人間関係を取り上げていました。
この辺りは肩すかしでしたね。
一般的に,心理的に不安定になった場合,解決策は二つあると思います。
一つは不安定の原因を取り除くこと。
本書の場合は,距離を取ることです。
しかし,家族とか勤め先だと原因が取り除けないんですね。
もう一つの解決策は,原因はそのままに,つまりストレッサーはそのままにして,自分の中で解決すること。
こちらを知りたいんですね。
世の中には,取り去ることができない苦しみというものが残念ながら存在しておりまして,例えば不治の病とか愛した人との死別とか,天災ですべて失ったとかそんなのですが,そういう時にどうしたらよいかを昔からみんな悩んでいました。
仏教の生老病死なんかそうですね。
それで,人間関係においては本書はどういっているかというと,すごく荒くまとめるとこうでした。
嫌われてもいいから誠実に思いを伝える。
そうすることで,適正な人間関係の距離がとれてくるといいます。
なんか開き直れといわれているような気がすると思いますが,外れずとも遠からず。
著者が自分の考えを「自分中心心理学」と述べてます。
つまり,相手に過度に忖度せず自分の考えを大切にして生きろと,こういうわけです。
情緒安定のために,「~すべき」をすて,自分の本音に素直にというわけです。
気持ちが楽になるとは思います。
が,相手が変わるわけではないので,これで大丈夫かは分かりません。
その中で,ストレスを感じないように過ごしていくという感じだと思います。
まとめにこのような言葉がありました。
出会いに感謝。
自分が出会った人に感謝の気持ちをもつということです。
こういう気持ちでいれば,距離を取ろうという気持ちを持ちづらくなる。
こういうことでしょうか。
確かに真理なんですが,やっぱり肩すかしをくった気分です。
それは最初から知ってましたよ的な。
タイトルを読んでの期待が高かったためでしょうか。
振りかえればそんなに悪い本ではないと思うのですが,物足りなさが残りました。