人生論の本です。
しかし、題名通り悩みを解決するための本でして、カウンセリングにも関係すると思い読みました。
著者は、会社経営をしている方で、帝王学を学んだと話しています。
若い頃はバックパッカーとして、世界を旅したとか。
大卒サラリーマンという一般的な経歴とは違った道を歩んでこられた方のようです。
その人が語る人生論。
これも、臨床心理とは違った観点からの悩み解決カウンセリングということになると思います。
さて、本書の趣旨を一言で述べると「がんばりすぎるのをやめる」ことで人生がよくなるということです。
さすがにこれは簡単にまとめすぎとは思いますが、的確に主張をとらえることも大事でしょう。
ここで大事なのは、何をがんばっていたのか、ということになります。
それを考えるのに、筆者のこの主張を取り上げましょう。
自分の本音をみつけよう。
この主張です。
ここでいっている本音とは何か。
筆者は、問題が現れる場面として三つ取り上げています。
「人間関係」「仕事」「恋愛」の三つです。
このそれぞれでやめることを示しながら、本音はどこにあるのかを探っていきます。
ここでも本音とは、こんなことでした。
本当はしたくないけど、相手の気持ちを考えるとか、みんなに迷惑をかけるからとか、自分の評判が悪くなるからとか、そういういろいろな事情でしていることの本音です。
例えば、したくはないけれども、嫌われたくないからしている。
褒められたから、つらいけど続けている。
私がしないと、他の誰かが代わりをすることになる。
こういう事例における本音です。
こういう場合の本音は、もうみなさん分かっていますよね。
「やめたい」です。
こういう気持ちで続けていることを「やめなさい」と筆者はいっているのです。
ちょっとだけ「嫌われる勇気」に似ていますかね。
そして、思い切って「やめる」ことで、自分の幸福度も上がるし、悪くなると思っていた相手の感情もそれほどでもないし、ということに気づくといいます。
自分がよくなるのは当然としても、相手の感情もそんなに悪くならないというのはどういうことでしょう。
ここのところを筆者は自分の体験や、アドバイスした方の様子を見取ったことから分かったといいます。
つまり経験知ですね。
私もここはそうだろうと思いました。
これも私の経験からですが、人間、いつもいつも相手の心情を推察して生きていると大変疲れます。
相手の気持ちの想像して楽しいのは、恋愛の初期ぐらいのものです。
残りは、できれば簡単に分かりたい。
心底そう思います。
日本人は、思わせぶりとか察してほしいというような情緒を好むところがありましたけど、それは情報が少なく判断場面も少ない時代のことです。
現代は、判断する決定するの回数が多すぎて、できれば推察などしたくない時代です。
答えを省労力で分かりたい。
こんな気持ちです。
だから、相手が本音を出して接してくれることで助かることがいっぱい出てきます。
そういう分かりやすい人は接しやすいので好まれる。
そういう風になると思います。
まあ、本音といっても相手に失礼な感情はしまっておいた方がいいのはいつの時代でも変わらないと思いますが。
それで、やめることを続けると勝手に人生がよくなる。
と筆者はいいますが、そこまで改善するかどうかは分かりません。
しかし、当人のストレスは低減し、生きやすくなることは確かでしょう。
ハッピーな方向に人生が進むことは確かですから。
そんなこといってもしがらみがさあ、という声はあると思います。
なので、一気に本音で生きる、気遣いや見栄のための努力をやめる、というところまではいかなくてもいいとと思います。
少しずつやめていけばいい。
私も、そんな生き方にチェンジしようと思いますし、しているつもりです。
今さらはる見栄もよく思われようとする気持ちもありませんから。
低ストレスで生きる人が増えれば、暮らしやすくなると思いますし、みなさんも一つ二つと「やめること」を増やしてはどうでしょうか。