今回も心の病について考えます。
知っているようで知らないことが多く,いくつになっても勉強だと思いました。
今回取り上げるのは「不安障害」です。
以前は神経症と呼ばれていたとか。
まずは,どんな症状なのかを調べました。
1 不安障害の症状
不安で何も手につかない,電車に乗ると不安で逃げ出したくなる。
何度手を洗っても汚れが落ちない,鍵をかけたか何度も確認しないと気がすまない。
何もする気が起きない,気力がわかない。
人前で倒れてしまう,手の震えが止まらない。
これらの不安,脅迫,抑うつ,身体化などの症状は,誰しも経験があることです。
しかし,それらはごく強いストレスにさらされている時でしょう。
人生が左右されるような大きな場面。
そんな時のはずです。
しかし,不安障害の方は,それほどでもない軽いストレスの場面でもこれらが表れます。
それこそストレスとは認識できないようなものによってもです。
これを不安障害というのだそうです。
2 精神分析学による治療
神経症と呼ばれていたころ,これを治療した一派がいました。
フロイトに率いられた精神分析学派です。
フロイトらは,これらの症状の背後に抑圧された押し込められた思いがあるといいました。
それらの思いが無意識のうちにこれらの症状を発現させていると。
そして,その抑圧された思いのほとんどを性欲と述べたのです。
しかし,当時から批判されてはいましたが,現在は医学界で精神分析学は支持されていません。
一般には有名で,思想界には大きな影響を残しましたが,それだけです。
今では,脳内の神経伝達の問題であると考えられています。
3 薬物療法と行動療法
現在では,これらの症状には薬物治療が行われます。
軽症の場合,薬物で症状を抑えながら,少しずつ不安を引き起こす場面に慣れさせていくことも行うとのこと。
不安な場面には,いくつかの段階があります。
この段階を書き出し,程度の低いものから高いものへ少しずつ慣れさせていきます。
このような行動療法を暴露療法と呼ぶそうです。
いずれにしろ一人で行うのは難しく,寄り添う人が必要になります。
家族などの身近な人です。
しかし,医師などの専門家のアドバイスの基に行う必要があり,素人だけで行うには危険があります。
逆に悪化させる危険があるからです。
4 強迫症状
強迫症状を呼んで「恋する寄生虫」を思い出しました。
主人公は極度の潔癖症です。
そして,それが病気であることを知っています。
でも,やめられない。
作中,きれい好きとの比較がありました。
これは,似たところもあるまったく違うものです。
強迫症状は,強迫されている行為をすることで軽減します。
潔癖症は手を洗えば,強迫観念は薄まるのです。
でも,その経験が強迫症状や強迫された行為をすることを強化します。
つまりは悪循環。
満足するまで洗っても,何も解決しないのです。
医療による治療しか,救う道はない。
強迫症状はある種こだわりにも似ているように見えます。
しかし,けっしてそれは好みや趣向ではない。
こういうことを理解しているかいないかで対応もかなり変わってくるはずです。
5 不安障害に思うこと
一見,日常のこだわりの延長にようにも思えますが,その正体は脳内の伝達不全。
こういうことを知らないでそのような人に接すると大きな過ちをしてしまいそうです。
また,自分がそうなった時も,落ち着いた判断ができるかもしれません。
つまり,医療にすがるという判断です。
症例には出てこなかったのですが,何でも完璧にしないと気が済まない人,少しでも瑕疵があると全部をだめにしてしまう人も,こういった症状なのかもしれません。
そう考えると,案外身近なものなのかもしれないと思いました。
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