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「三日間の幸福」に思ったこと

 入院した家族と2回目のズーム面会をしました。
 入院して半月ぐらいになります。
 思ったよりも元気になっていて安心しました。
 家族が入院してから命について考えることが増えました。
 今回は,三秋縋さんの「三日間の幸福」について話します。

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 ネタバレを含みます。

 

1 寿命を売るということ

 臓器を売ったり血を売ったり。
 自分自身を売るということがあったということを聞きます。
 自分を売って奴隷になったケースもあったとか。
 まあ,現代社会では禁じられてますね。
 裏社会とかはともかく。
 寿命を売るということは,これらの延長線上にあるのかなあと思いました。
 ただ,売った先には死が待っているところがちがいますね。
 この小説の感覚だと,ゆるやかな自殺のような感じなのかなあ。
 生きる価値について考える小説ではあります。
 メメント・モリの具体化なのかなあ。

2 1年1万円

 主人公が売った額は1年1万円。
 主人公は安いと感じていたらしいです。
 でも,相場よりは高かったらしい。
 販売員が手出しをおまけしたみたいです。
 人生の価値って,なんでしょうね。
 私が,見ず知らずの人の人生を買うなんてことはないと思います。
 買った分自分の人生が伸びるんだったら,価値は無限大でしょうけど。
 見ず知らずの人の人生は,私には無価値です。
 これは見ず知らずの人にもいえるでしょう。
 私の人生などにお金を払うとは思えない。
 結局,自分は重要であるという幼児的万能感をもつ人は自分の人生に高価値をつけるのでしょう。
 人生っていうのは,あくまで自分にとっての価値なのだ。
 そういう当たり前のことを再確認しました。

3 恋人の価値

 人生を売った主人公を監視する方が出てきます。
 けっこう重要な役です。
 まあでも,この監視員さんは最初から主人公を気に入っていたように思えますね。
 最後は恋仲になります。
 で思ったのですが,人生において恋人がつける価値ってどうなんでしょう。
 赤の他人の人生は無価値ですが,恋人はかなりの高価値をつけてくれそうな気がします。
 じゃあ,自分の人生に高価値をつけてくれる人の価値っていくらでしょう。
 相当高くなるような気がします。
 恋人の価値って相当高いんですね。
 でも,2人の間だけの価値ですけど。
 自分の人生に他人が入ってくるってこんな感じなのかなあ。
 まあでも,この小説もいろいろありますが,最後は2人の間の話になりました。
 題名にある「幸福」は,ここにつながっていると思います。

4 題名いろいろ

 この小説は,ネットで発表されて,本になって,マンガになりました。
 ネットで発表された題名とマンガの題名はいっしょです。
 「寿命を買い取ってもらった。一年につき、一万円で。」というのがその題です。
 この題名は,この小説の出だしを紹介していて,単行本の題名が結末を紹介している感じです。
 単行本の題名,どうなんでしょう。
 小説の題名って,そんなに凝ったものばかりではないことは知っています。
 「彼岸過迄」は,そこまで連載するって意味だと文豪もいってたし。
 単行本のは,「幸福」を求めた主人公の小説ってことを表しているのかもしれません。
 私は何となくですが,元の題名がよかったように感じます。

5 最後に

 人生の意義を見いだすための人生。
 そういうのって堅苦しいし,精神的自由が薄れているように感じます。
 目的,価値,意義なんてものは,あるにこしたことはないですが,他のすべてを犠牲にして求めるものでもないというか,そんな風に思います。
 ほどほどに幸せに生きる。
 なんかはっきりしませんが,私にはそれで十分なように思います。
 なので,自分の人生に今後よいことがなさそうでも,人生を売ったりはしないでしょう。
 それに,誰も買ってもくれないでしょうしね。

 この本とてもおもしろいですよ。おすすめです。