今回読んだ本もセンセーショナルなタイトルが付けられていました。
「みんなに好かれる人避けられる人」というのがそれです。
人を分類して,その性質を列挙している。
そんな内容が想像されます。
しかし,中身はそうではありませんでした。
人とトラブルなく生活していくにはどうしたらよいか。
そんな内容でした。
著者はアメリカ人のドリス・W・ヘルマリングさん,セラピストです。
つまり翻訳書でして,原題はセンス・アビリティ。
直訳すれば感覚力です。
人から嫌われないためには感覚力が大事である。
ものすごく乱暴にまとめるとこういう主張になります。
読んでこんなことが印象に残りました。
感覚力は感じ取る力のことのようです。
では,何を感じ取るのか。
まずは,自分の感情です。
自分が怒っていたり不機嫌になっていたりすること。
このことをまず感じ取るのです。
次に,どうして怒っているのか。
それを見つめます。
そうしてみると,怒りや不満という感情がさして大事でもないことから起きていることが分かります。
そうして,マイナスの感情が他人に及ぼす悪影響を防ぐのです。
相手に褒め言葉をかけることは,一般にはよいことです。
しかし,素直に受け取れない褒め言葉も存在します。
あんなにうまくできるとは思わなかった。
奇跡が起きたね。
これは,上から目線の言葉,というより相手を見くびっていることがにじみ出た言葉です。
こういうことにカチンとくる人はいます。
こういう言葉を発してしまった時,または発せられた時,どのように振る舞うか。
ここが大切なところです。
何に怒りや不満を感じたのか。
これを見つめることが適切な振る舞いにつながります。
感情というものは,生きるエネルギーを与えます。
しかし,いつでもプラスに働くとは限りません。
悪影響を与えることも多いのです。
本書の感覚力は,感情を制御するために力ということもできるでしょう。
冷静で公平な観察者となり,自分や相手の感情を見つめる。
そして,常に落ち着いて意識的に過ごす。
感情に駆られた行動は慎む。
こういうことが人に嫌われない行動につながるのです。
実際,人に嫌われる方は,自らの感情のままに行動していることが多いです。
相手がそれ言動に対してどう思っているかを考えない。
いや,考えないのではなく感じ取ることができない。
そういう状態になっていることがとても多いと思います。
感覚力でそれを制御できれば,それに越したことはない。
そう思います。
さて,感覚力を高める手法の一つとしてマインドフルネスが取り上げられていました。
マインドフルネス。
いろいろな本で取り上げられています。
今に集中する方法として,こんな方法が挙げられていました。
ゆっくり呼吸する。
呼吸していることに集中する。
繰り返して過去や未来を考えず,今に集中する。
ここには今しかない。
今のすばらしさを実感する。
これは私の言葉でまとめていますが,こんな方法です。
どこか禅に似ていますね。
感情を大きく動いた時に試してみたいと思います。
本書には,愛に関する話や批判についての話,他人をコントロールしたがる人の話など興味深い話題が他にもあります。
自分の感情を制御したいという方には,一読を勧めます。
やってみようかなと思えることが見つかると思います。
久々によい本に巡り会えました。