態度やしぐさは,その人の心理を表すことがあります。
ありますというか、よく表しているといってよいでしょう。
しかし、それが表す意味は注意深くないと分かりません。
今回は、そんな言葉以外のものが伝える心理についての本を読みました。
「FBI捜査官が教える『第一印象』の心理学」です。
とても興味深い内容でした。
本書は原題を、Louder than words といいます。
言葉より大声で(伝えるもの)ということでしょう。
実際、本書を読むと、しぐさ、外見、態度というものが、実に多くの情報を伝えていることが分かります。
さて、人間の感情を最も大ざっぱに分けたら、何と何になるでしょうか。
感情を芽生えたばかりの赤ん坊を思い浮かべればすぐに分かります。
快と不快です。
この二つが、最もしぐさに表れやすいのです。
例えば目、例えば口。
笑顔はいつでも快を表しています。
目が笑っていないという表現はよく聞きますが、作り笑いは口が一文字に近く、目尻が下がりきらないものです。
それから手、足。
貧乏揺すりは不快の代表。
立ち去りたくて仕方ないのです。
そして手。
こすったりなでたりするのは、自分自身への慰撫行動。
深いな気持ちを抑えようとしているのです。
緊張や怒り、その他の感情がこの不快には隠れています。
座り方も気持ちを表します。
足を組むのは、相手より上位にあることを伝えようとしています。
ひざからももをなでているのは慰撫行動です。
これらは意図してようとしていまいと、気持ちを外部に発信しています。
これを読んで、職場での自分の行動に気を付けるとともに、相手を観察する視点をいただいたように思いました。
すべてをコントロールするのは難しいですが、行動の指針にはなります。
そして、服装。
スーツは伊達ではないし、机の整頓は仕事の丁寧さと関係づけられます。
靴は磨いておいた方がいいのは、見栄ではありません。
世の中のマナーは、マナー講師のばかげた些末な知識のひけらかしのためにあるのではなく、相手に好印象を抱かせる、少なくとも嫌悪感をもたせないためにあります。
スティーブ・ジョブズはTシャツとジーンズです。
そういう人もいます。
しかし、世の人はジョブズではないので、参考にはなりません。
ジョブズは他の人には換えられない、そんな人はどんな格好でも問題がないのです。
残念ながら、私を含め多くの人は換えがききます。
筆者は、分かりやすく実際の心理というものを伝えていきます。
特に興味深かったのは、電話でもノンバーバルコミュニケーションがあるということです。
電話は言葉しか伝わらない。
というのは、人間心理を理解していない発言です。
間や間投詞、言い切りやあいまいな口調。
これらは、言葉の意味以上の情報を聞き手に渡します。
思い当たることばかりです。
この本は、とても実際的な知識を与えてくれましたし、人とコミュニケーションをする上で留意すべきことを教えてくれました。
すべてをコントロールできるなどとは思いませんが、無自覚よりはよほどよいコミュニケーションをすることができるでしょう。
多くの方に読んでほしい本です。