やさしくお人好しです。
このキャラクターの一日を使って、マインドフルネスを表現した本を読みました。
「プーさんと一緒にマインドフルネス」という本です。
おもろい試みと思いました。
さて,童話のキャラクターで心理学の概念を説明できるのか。
読んで印象に残ったことを述べていきます。
まずは,マインドフルネスについてです。
以前読んだ本では,マインドフルネスは対象を見つめるというものでした。
虚心坦懐に対象を見つめ,心に浮かんだことを記録していく。
そんな手法と理解していました。
しかし,プーさんはそのようなことをあまりしません。
一日を楽しく過ごしているだけです。
どういう点が,マインドフルネスなのか?
キー・ワードになりそうな語句がありました。
「マインドフルに生きる」
これがその語句です。
読後,この疑問を解決するため,マインドフルネスについて調べました。
そもそもは,仏教の用語で八正道の正念,落ち着いた心の状態を表す言葉とのことです。
哲学・宗教にありがちですが,この概念についても議論が交わされているとのことです。
その議論に立ち入ると,いつまでも先に進めないので,今ここにあるものを見つめ,落ち着いた心の状態にあることとしましょう。
プーさんは,その状態で一日を過ごしているということです。
知人たちとのかかわり,散歩,日常のルーティーン。
それぞれに,おそらくは心を乱す要因があったと思うのですが,プーさんは意に介さず過ごしていきます。
今,ここを生きる。
こういう説明もありましたが,今,ここを存分に生きているように感じました。
対象を見つめるのから発展させて,自分の心を見つめる,心のありようを見つめる,自分が何にどう反応したかを見つめる。
そういう風に過ごすことが,マインドフルに生きるということなのでしょう。
平穏を取り戻す方法として有効と思われましたが,心理学・心理療法というよりは世俗的な宗教的実践のように感じました。
いや,宗教というよりは仙人の生き方といった方が近いかもしれません。
これをカウンセラーとして,クライアントに勧められるのか。
難しいですね。
自分が生きる指針としてなら,十分意味があるように思いますけれど。
そもそもの仏教からは批判があると思いますが,対象をよく見て思い浮かんだことを記録していくというマインドフルネスは,ストレッサーをコントロールする意味において価値があると思っていました。
その思いは今もあり,実際そうしてみてストレスを軽減した経験もあります。
その遙か先にこのプーさんの生き方があるのでしょう。
しかし,ここを目標にするのは実際的じゃないように思います。
今ここにある対象を見つめながら生きていくのが今の自分に合っているように思います。
彼方にはプーさんがいる。
そう思って日々を生きていくようにします。
この本ですが,さくっと読み進められますし,物語調で読みやすいですし,プーさんの生き方の解説も入りますので,読み物としても楽しめます。
マインドフルネスに興味を持たれた方は,読んでみるといいと思います。