ギスカブログ

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【書評】安藤義人「モンゴルがいま熱い!」

1 本書の概要

海外不動産投資本です。

著者は、資産形成の相談を事業とする会社「ココザス」の代表です。

つまり会社として取り組んでいるモンゴルへの不動産投資を紹介する本。

こういうことです。

海外不動産なんてあやしい。

そう考えるのが、普通の感覚でしょう。

わたしもそうです。

しかし、本書はむやみやたらとモンゴル投資をすすめるという本ではありません。

リスクとリターンをきちんと話しています

そういう点から、「正直な」投資本だと感じました。

2 海外不動産のリスク

メリットの前にリスクを説明します。

こちらの方に、より興味あると思うからです。

まずは、法制度の違いです。

日本の土地建物は外国人が所有することに制限はありません。

だから外国もそうだろうと思う人は多いでしょう。

まったく違います。

外国人が所有できるのは区分マンションだけだったり、年数が限られていたりすることが多いのです。

特に社会主義国は要注意。

どれだけ資本主義を取り入れていようとも、国の根本は社会主義

私有財産は制限されます。

なので、土地建物は使用権を持つだけとなることが多いです。

しかも、年数も限られています。

こういうことを知らないと投資はできないものです。

ちなみにモンゴルも社会主義国家。

土地の保有権はモンゴル国民のみが持ち、外国人は保有する人から使用権を得ることができるのだそうです。

ちなみに保有権は土地だけで、建物は外国人でも保有できるのだとか。

このあたりになると、モンゴルの制度に詳しい代理店がいないと、投資は難しくなると思います。

次のリスクは為替です。

債券を思い出してください。

外貨だての債権ってけっこう種類があります。

ブラジルのレアル建てとか南アフリカランド建てとかインドルピー建てとか。

利回りもかなり高いです。

5~10%ぐらいでしょうか。

でもあんまり購入されません。

なぜか。

通貨が安くなりがちなんです、インフレで。

結果、10%の利子をもらっても円でもらうとたいして儲かってない。

こうなることがけっこう多いのです。

債券が不動産に変わっても、懸念は晴れません。

実物投資といっても外国だし、実用で使うことはまれ。

結局は権利の売買で、株や債券と変わらないことになるからです。

他には、不動産ならではの管理委託の問題もあります。

不動産は買ったままではなく、常に管理が必要です。

修繕や取り立てなどです。

その管理を誰に委託するのか。

その国の言語が自由に操れない場合、不安は一層高まることでしょう。

最後にもう一つ、銀行融資が受けられません。

不動産投資を自己資金だけでやる。

つまり、レバレッジが効かないということです。

3 海外不動産のメリット

それではメリットはどこにあるのでしょう。

まず高い利回りです。

日本の普通預金金利はないも同然です。

高くて0.3ぐらいだったでしょうか。

多くは0.02ぐらいです。

これではインフレに負けてしまう。

資産防衛のために投資を。

その一つとして、モンゴル不動産。

利回りは7%ぐらいだといいます。

そして、住宅価格も上がっているそうで、売却益も見込める。

もってよし、売ってよしというわけですね。

少子高齢化の日本とは違い、これから人口増が見込める国。

なので不動産需要は固い。

そういう強みもあるとのことでした。

また、モンゴルの通貨トゥグルグは円に対して、変動幅が意外に少ないとのことです。

為替も途上国としては安定しているとのことでした。

ちなみに米ドル建ての定期預金や円建ての定期預金を用意している銀行もあるそうで、それぞれ5%前後の利子とのこと。

こちらも日本よりはるかに高いのでした。

4 総評

★★★★

4つです。

著者である安藤さんの人生は興味深いし、本書も誠実に丁寧に説明されています。

おそらくモンゴル不動産が「詐欺」的なものではないことは確かでしょう。

本書は他国の不動産も解説していて、モンゴル不動産がそれと比較できるようにもなっています

公平な感じがするのですね。

とはいえ、やっぱりリスクも多くあるので、みなさんよく考えて投資しましょうという結論になると思います。

安藤さんの動画「資産形成チャンネル」見てれば本書は読まなくてもいい、とはならず読むべき価値のある本です。

では、5つじゃないのはなぜか。

動画での相方「細川さん」的なおもしろさがなかったからです。

なんというか、本書を読み物として見たときのおもしろさというか。

そういうものです。

しかし、それはないものねだりかな。

海外不動産投資の第一歩として、本書はお薦めできる1冊です。