1 介護保険の図書を読む
「介護保険は老いを守るか」という本を読みました。
沖藤典子さんが2010年に書かれた本です。
10年一昔と考えれば,もう古い本です。
でも,この本を読んだことで,介護保険の背景がよく分かりました。
本を読んで考えたことを話します。
2 介護保険が必要な背景
日本は高齢社会です。
高齢化社会ではなく高齢社会です。
この二つは違う定義になるとのこと。
つまり,高齢化しつつある社会ではなく,既に高齢になってしまった社会ということです。
ここの認識が自分も甘かったなあと思います。
長寿化する前は,各家庭で高齢者の介護をしていました。
2000年に介護保険法が制定される前は,これが当然だったとのこと。
いわば,親の面倒を子がみるのは孝行である。
こういう社会的な認識です。
家族愛ともいいます。
しかし,これらの考えは現実の前に倒れていきます。
老老介護問題。
つまり高齢化にともない介護する子も高齢になるという問題です。
介護するものが60を越えているのも珍しくない。
そして核家族化。
面倒をみる子が遠くで暮らしている。
こんなことが当たり前になりました。
こういう事態に対応するための法制度だったわけです。
3 ケア・マネージャー
この法制度とともにケア・マネージャーが誕生しました。
ケア・マネージャーは,介護される方と家庭,介護施設,介護用品を貸し出す会社,病院などをつなぐ役割を担います。
つまり,介護される方はいろいろな問題にぶつかった時,それぞれの事業所に連絡して対応してもらうのではなく,ケア・マネージャーにお願いする。
介護のワン・ストップです。
頼りになる存在ですね。
でも,よいケア・マネージャーばかりではありません。
介護の計画は3ヶ月で立てる。
このことを逆に取り,3ヶ月に一度しか高齢者に会わないケア・マネージャーもあるとのこと。
また,介護保険を使える範囲でのケアしか指示しないマネージャーもあったそうです。
このことは,ケア・マネージャーの問題ばかりでなく,福祉予算を削りたい行政側の思いもあるようです。
いずれにしろ,ケア・マネージャーの質が介護の質を左右するようですね。
このことで母のケア・マネージャーを選ぶ時のことを思い出しました。
行政は,えこひいきができないので各施設の様子を尋ねるとコメントをしないのです。
コメントすることが不正になるようです。
とはいえ,何も知らないのだから,そして田舎なのでネットにも情報はないのだから,少し教えて欲しいものです。
見学といっても,各施設を往復するだけでほぼ1日なくなってしまうのですから。
いずれにしろ,仕組みと課題が分かりました。
4 介護認定
なぞだった介護認定についても分かってきました。
介護認定は介護利用回数や負担金額にかかわるため,慎重に判定しなくてはなりません。
そして,福祉予算を削りたい行政の思惑もあり,そんなに簡単な基準にはならないようです。
そして,その基準も2008年には見直しになっているとのこと。
現実に合わない改定との批判もあったようです。
なので,重い判定を喜ぶ高齢者が多いとのことでした。
自分が健康からほど遠いことを喜ぶとは,悲しい現実ですね。
まあ,確かに利用回数は増やしたいでしょうしね。
分かるところもあります。
5 我が家にとっては
我が家では,週に一度デイ・サービスを利用しています。
ただ,母があまり気乗りしていないんですね。
なので,今後の利用については,また相談しなくてはいけないかもしれません。
また,借りていた車いすとスロープは使わないので返却。
替わりに玄関に降りるための移動式手すりを借りました。
今はこんな状態ですが,いつ状態が変わってもおかしくないのが高齢者。
今後も,状態に合わせて変更しながら介護保険を利用していくことになります。
そのためにも,もっと勉強しないとなあ。
こういう制度は,ほんと細分化されていて難しいですから。
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