和田秀樹さんの本はこれで二冊目です。
タイトルは、「あなたはもっと怒っていい」です。
何ですと!
アンガー・マネジメントの研修は、一時期けっこうありました。
いわく感情のピークは6秒間、そこを我慢するなど。
怒りはコントロールする対象であって、解放するものではありません。
それが世間の常識です。
筆者は何を思ってこんな本を出版したのでしょうか。
筆者は、怒りを不機嫌や八つ当たりと比べます。
怒りを我慢しためこむと不機嫌になります。
不機嫌は周囲に伝わります。
そして、雰囲気が重く暗くなっていきます。
こんな状態にしてしまうなら、スパッと短く怒った方がいい。
そう筆者は話します。
また、本来怒るべき人には怒らず、関係のない人に怒る人もいます。
いわゆる八つ当たりです。
これはいいことは何もありません。
八つ当たりをしている当人は気分が晴れるかもしれません。
しかし恨みを残します。
自分の評判も落ちます。
まったくいいことがないのです。
怒るべき相手にきちっと怒る。
その方が何倍もいいのです。
というのが著者の主張です。
しかし、いつでも誰でも怒っていいとはいってません。
目上の者が怒るのはダメだというのです。
目上は権力があるのだから、それを行使すればいい。
感情に訴えるのはおかしいとのことでした。
反抗されない立場に向かって感情を爆発させる。
これも八つ当たりの一種でしょうね。
そして筆者は、怒りは人を動かすといいます。
私的な怒りであれば、支持されません。
しかし、怒りには公憤というものもあります。
誰がみてもおかしいことにはきちんと怒る。
それは人の共感を呼ぶのです。
また、我慢だけをしている人は、なめられることもあります。
なめられれば、やっかいことを多く引き受けることにもなりかねません。
不当な扱いにはきちんと対応する。
それが、自分の立場をよくしていくことにつながるのです。
とこのような筆者の主張なんですが、言い過ぎと思いつつ納得する部分もありました。
とかく我慢だけしていたのでは、ストレスを感じるばかりです。
心の健康にもよくありません。
きちんと短く怒ることも時には必要でしょう。
恨みを買わない怒り方も大事でしょう。
短く何に怒っているかを明らかにする。
そういうことが大切な場面もあると思います。
とはいうものの、やっぱり程度があるよなあと感じているのも事実です。
筆者の和田さんは、自分でもいっていますが怒りっぽい人です。
テレビで見たときにも、そんな感じの話し方でした。
筆者と著作を分けて考える。
近代の常識です。
なんですが、どうしても自己弁護の感をぬぐいされません。
なので、心のどこかでほんとかなと思うところが残ります。
それに、怒らないですむなら怒らない方がいい。
そう思うところも強いです。
怒りは若々しくエネルギーを引き出す感情です。
なので、時に必要なことは重々分かるのですが、ほんとにほんとかな、という気持ちがどうしても残ってしまいます。
怒って損したことも、一度や二度じゃありませんので。