1 本作の概要
映画の方です。
(これはマンガですが)
評判がよいので見てきました。
読み切りマンガが原作だそうです。
そのマンガのネームですが、なんと入場者特典でもらえました。
危なく映画視聴前に読んでしまうところでした。
ホント危ない。
説明してよね。
数ページ見てまさかと奥付読んで確認。
そそくさとしまいます。
まあうれしい特典ではあったのですが。
ネタバレ批評を書いている人間なのに…、とは自分でも思います。
さて本作はマンガ描きを軸とした中学生の交流です。
一人はマンガ描き少女、もう一人は不登校でひきこもり。
現代的な題材ではあります。
2 藤野さんの魅力
主人公は藤野さん、女子小学生。
学年通信に四コマを描いて、絶賛好評中。
でテングになってます。
まあ、世の小学生の大半は自分の才能を無限に信じているので、普通といえばフツー。
しかしいい学校だなあ。
小学生で学級新聞にコントを書いて、担任から批判された記憶を持つ自分とは大違い。
まあ自分の批判は内容じゃなくて、載せるな!ジャンル違いだ!だったんですけど。
で、その学年通信に京本さんという子供が四コマを載せます。
藤野さん大ショック。
だって絵が上手すぎるのですから。
それでここから、藤野さんすべてを捨てて絵の勉強に邁進。
しかしかなわないことを感じてやめちゃいます。
テングの鼻が折れた。
でも京本さんと出会って…。
とまあ、わたしにしては長々とネタバレ書いてるんですが、核心とは関係薄い部分なんでご了承を。
でなんで書いたかというと、この部分、藤野の性格、見栄っ張りで負けず嫌いで、努力家ってところをよく表しているからです。
この藤野さんみたいな人よくいますし、そしてわたしは好きな性格なんですね。
すごく人間くさいじゃないですか。
見栄っ張りの努力家。
こういう人、韜晦癖が強くて本音いわないんですけど、実はバレバレで。
まわりもそれがわかっててつき合ってるっていう。
いい人です。
で、強気の外見ともろい内面をもつ人の努力の青春。
華々しくないけど魅力的。
共感しかなかったですね。
3 不登校児の夢
不登校って今どこのクラスにも当たり前にいます。
なので、作品の題材にもなるんです。
なるんですが、あんまりうまく扱えないことが多い。
困った題材です。
なんでかっていうと、まあ答えは簡単です。
動かないからね。
動かないキャラクターは扱いにくい。
作品には尺があるので、終日ゲームしてましたネット見てました、は出落ちネタです。
なので、本作の京本さんどうなってるかっていうと。
動く不登校児になってました。
まあ登校してないんですけど。
藤野さんの家で背景描き、アシスタント業みたいです、をしてます。
京本さん絵がうまいんですが、ネタ作りは苦手みたいです。
自立する不登校ということで、最後は大学進学までします。
高校は通ったんでしょうか、義務教育じゃないから不登校だと退学になりそうなんですが。
とまあ更正してるんですけど、藤野さんとの出会いで変わったのかな。
そうだと思います。
京本さんは藤野さんの大ファンなので。
でも、現実の不登校は、こうはいかないことが多いでしょうね。
京本さん、方言とくに濁音・アクセント系の方言を残していたり、伸ばしっぱなしの髪だったりとひきこもり感がリアルに描かれていましたね。
みんな現実の不登校児を知っているからかなあ。
こういうのが当たり前になってるのが現代日本なんですね。
京本さんの家族は描かれなかったんですが、おそらく描かれていたとしたら藤野さん「神」になってましたよ。
作品のような展開でも、感謝されこそすれ、他の気持ちはもたれなかったと思います。
不登校児の社会復帰ってそのくらい壁が高いですから。
一瞬でいいから、京本さんの家族を見たかったなあ。
藤野さんの魅力がさらに上がったはずです。
4 総評
★★★★★
最高点ですよ。
1時間という長さもいい。
無駄が一切ない。
藤野さんに共感しかないです。
四コマを使った展開構成とか、工夫も多かったんですが、それより何より人物造形がすばらしい。
人間真理の一面を描く。
人生の普遍的な価値にふれる。
そういう歴代虚構創作作品の名作がもつ輝きを本作ももっています。
いやあ、よかった。
原作者が一番すごいんでしょうけど、映画監督もすごいと思います。
これ劇場で見るのがいいと思いますよ。
没入できるので。
- 価格: 460 円
- 楽天で詳細を見る