ギスカブログ

 読書しながらスモールライフ「ギスカジカ」のブログ

9月に夏を惜しむ

今日から9月です。

関東の学校では、今日から新学期だとか。

私の地元は1週間ぐらい前に新学期が始まります。

なので、子供の頃、マンガでそういう表現があった時に変な感じでした。

もう始まっているのに。

さて、9月という季節にみなさんはどんな印象をもっているでしょうか。

少年時代の私にとっては、まだ夏が続かないかなあでした。

まだまだ暑い季節。

でも着実に陽は短くなっていく。

雲も高くなっていく。

もう入道雲も夕立もない。

セミの鳴き声は残るが、夕方には虫の鳴き声に変わる。

夏が去って行く。

そういう季節でした。

イリヤの空 UFOの夏」という小説がありますが、この季節感をうまくとらえていたと思います。

この小説は、私が最も好きな小説の一つです。

非力な中学生が、自分の思いで必死に生きる。

しかし、思うように人生は展開せず、悲劇を迎える。

そして、すべてが終わった時、もうとっくに終わっていた夏が彼の中でもようやく終わる。

こんな感じの小説です。

草刈りをしながら空を眺めていて、こんなことを思っていました。

小説を読んだときは、中学生だからこうなるのも仕方ないと思っていました。

しかし、それは間違いです。

初老になったって、必死に生きても思うようになんかならない。

そう、何歳になったって、あの主人公に共感できる。

そう思ったのです。

年齢を重ねれば知恵がつくというのは幻想でしょう。

いつまでたっても中学生なんです。

体が動かなくなっただけで。

そんなことを思いながらしていたので、草刈り跡はまだらでした。

まあ、でも、いいか。

たいしていい思い出のなかった夏になぜ執着するのか。

人間はいつだって可能性を愛しているからなのだろう。

そういう中学生みたいなことを考えたことで、気持ちが新たになった気がしました。

草は、刈り直せばいいだけです。

少しだけ9月のよさが分かったような気がしたので、いい時間を過ごしたんだと思いました。