1 かわった判決集
題名のとおり、かわった判決を集めた本です。
著者は弁護士の間川清さん。
法律の専門家が解説しているので、なんでそんなかわった判決がでたのかもよくわかりました。
興味深いものを3つ紹介します。
2 間違って振り込まれたお金を引き出すと詐欺罪
似た事件が山口県のコロナ給付金でありましたね。
ちょっとした騒ぎになっていました。
しかし、最高裁で確定した判決では詐欺罪にあたるのですね。
一方、誤振込をした方には罪はないそうです。
わたし、実は個人的に似た間違いをしたことがあります。
通販で買い物をした際に、ショップの口座番号を間違えてしまったことがあったんですね。
ゆうちょだったんですけど、郵便局に頼んだら連絡つかないとかという話になりまして。
結局は、住所がわかってるんだから郵便配達のついでに話してきたらいいんじゃないですか、と提案して解決しました。
まあ、ゆうちょだからできた解決です。
この時の経験からいうと、自分が間違えたのが原因なんですけど、それで相手が詐欺罪とかなんか悪いことをした気がしますね。
迷惑をかけるから間違えないのが一番ですけど。
3 手形の金額、数字と漢字が違ったら漢字が正しい
手形は重要な決済手段です。
正しく書かなければいけません。
とはいえそこは人間。
間違いはつきものです。
それで、¥1,000,000と壱百円と書いてあった手形があったそうです。
これは万の書き落としです。
その証拠に収入印紙100円が貼られていたとか。
手形の金額と同額の印紙を貼るわけがない。
というか100円を手形で払うわけがない。
というのが常識です。
しかし最高裁の判断は壱百円が正しいそうです。
これ書き損じた人、どうなっちゃったんでしょうか。
心配です。
4 拾った小切手の価値は額面の2%
拾得物を交番に届けて、落とし主が現れるとお礼がもらえます。
10%と決まっていると思ったのですが、法律上は5%以上20%以下なのだとか。
それで額面78億7087万9105円の小切手と株券を拾った方がいて、1億9765万円の報奨金を請求したのだとか。
高裁での判決は2%の約870万円だったそうです。
なんで?
小切手が日銀小切手という特殊なもので、一般に流通しているものではないからなのだとか。
それでも、ずいぶん高額なお金をもらえたのだから、よしとしたいところです。
これ落としたのは銀行員だそうですけども、行内でただではすまなかったでしょうね。
5 総評
あえてお金関係の判決を取り上げたのですが、本書には生活に関わることや事故に関わることなど、本当にかわった判決がたくさん載っています。
判決だけ読むと奇妙に感じるのですが、判決理由を読むとそれなりに納得できるものが大半でした。
でも、世間の常識とはかけ離れていると感じたものもあります。
本書、ほんとうにおもしろいですよ。
法の支配は人類の叡智なんですが、何にでも奇妙なところは残るものなんですね。
それがよくわかりました。