1 マイクロビジネスのすすめ
マイクロビジネスの解説書です。
マイクロビジネスとは何か?
1万から10万円で始めるビジネスのことだそうです。
つまりは、ごく少額の資本で始める自営業のこと。
これはサラリーマンの副業になるだけでなく、大きく育つ本業にもなり得るものです。
これまでお金を稼ぐには、会社等に勤めるか事業を起こすしかありませんでした。
会社勤めは安定だけれども自由がない。
大きな稼ぎもない。
ならば自営業とはいってもそう簡単ではありません。
事業を起こすには大きな資金が必要です。
そして、失敗する可能性もある。
かなりの挑戦心が必要です。
しかし、こういったことは過去のことだと筆者はいいます。
顧客、売るもの、支払いの方法。
情報化が進んだ現代では、この3つがあればマイクロビジネスは成立するといいます。
具体はどんな感じなのでしょう?
2 顧客
まずは顧客です。
顧客がないところにビジネスはありません。
では、どうやって顧客を見いだすか?
まずは、顧客が求めていることを考えましょう。
難しそうですが、多くの場合に自分が必要としていることだったりします。
このような例が載っていました。
まずは、乗馬クラブを開設した人です。
この夫婦は、牧場が倒産してから考えました。
かつて馬に乗せてほしいといってきた人がいたこと。
乗せたところ非常に喜んで帰ったこと。
そこから顧客が望んでいることを見つけました。
乗馬なのですが、乗馬そのものではありません。
乗馬によって、顧客が別人となり普段の生活からは得られない自由を与えること。
このことが顧客が求めていること、と気づいたのです。
ヨガ教室を開いた人の例も挙げられていました。
この人は自分の経験から、女性管理職のストレスに気づいていました。
なので、女性管理職をターゲットとしたヨガ教室を開設したのです。
結果、大繁盛。
これらの例が示すことは、顧客の役に立つ、ということです。
まずは顧客の本音を引き出す。
そこが大切です。
顧客が話していることが本音とは限りません。
ほしいのはウソではないが、それほどでもないことを話している可能性もあります。
航空旅客は、足下が広い座席がいいとアンケートで答えます。
しかし、真にほしいものは安いチケットであって、広い座席はそれほど売れなかったりするのだそうです。
こういうことがわかること。
これが大切なのです。
次に顧客をヒーローにする、という戦略です。
エクセルを教えられた顧客いるとします。
単にエクセルが使えるようになっただけでは、十分な満足が得られないでしょう。
あるパソコン教室では、顧客を次のようにしました。
顧客を同僚の尊敬を集めるようなエクセルの使い手にする。
ほんの少しのTipsを教えるだけです。
でも、こうなったら顧客はその教室を礼賛します。
評判が新たな顧客を生むことでしょう。
3つめは、顧客が買うものを売ろう、です。
顧客は多くのものを手に入れたいと思っているか多くのものを排除したいと思っています。
ここが大事です。
手に入れる方法や取り除く方法に興味はありません。
よく魚を与えずに魚を捕る方法を与えよう、という話があります。
教育としては真実ですが、ビジネスとしては失格です。
顧客はそんなことは求めていない。
結果がほしいのです。
結果だけがほしいのです。
それを提供すること。
それこそがビジネスなのです。
3 断れないオファー
では、売るものはどんなものにすべきなのでしょう。
既に顧客の説明でも述べていますが、顧客が真に望むものです。
このような例を挙げると、さらにはっきりするでしょう。
30キロ過ぎのマラソンランナーにドーナツはいらない。
与えるべきはオレンジだ。
こういうことです。
しかも、押しつけがましく与えてはいけません。
顧客自らが選び決めた。
こういう風にしなければいけません。
あたかも、提案だけをしているように振る舞う。
決めるのは顧客。
ここが大事なのです。
売りものを伝え方は、ハリウッド映画に学ぶとよいといいます。
どういうことか。
最初は、とにかくすごいということを伝える。
具体ではなく、すごいということを、です。
それが行き渡った後に、どこかがすごいかを伝える。
これまでになくここがすごい。
すごいところをとにかく強調するのです。
最後に伝えることは、発売日です。
それは、いつ手に入れることができるのか。
これで宣伝は完璧です。
4 真に取り組むべきこと
支払いの方法については、書くまでもないでしょう。
クレジットカードやQRコード決済。
技術の革新とともに、小さなビジネスにも利用できる簡単な方法が提供されてきています。
それよりも筆者が伝えたいことは、努力の方向性です。
よくあることとして、必要のない方向に努力してしまうことがあるとのこと。
例えば、きれいなウェブサイトを作り上げることです。
オリジナリティあふれるきれいなウェブサイトを作り上げられれば、満足するでしょう。
しかし、努力に見合った収益が上がるとは限りません。
そう、目的を忘れないことです。
目的は、あくまで収益を上げること。
それにつながる努力をすべきなのです。
マイクロビジネスに注ぎ込める労働力は多くありません。
最小限といってもいいでしょう。
だからこそ、自己を満足させるだけで終わることに注力する必要はないのです。
目的を常に見失わない。
このことが重要。
そう筆者は強調します。
5 総評
小さな事業を立ち上げる勇気を与えてくれる1冊でした。
現代のICTの発展を考えれば、マイクロビジネスを行うことは十分可能でしょう。
特に、顧客について多くの誌面をさいていたことが印象的でした。
売れなければビジネスではない。
だから、顧客の望むものを常に考える。
このことが成功の鍵なのでしょう。
サイドビジネス、いわゆる副業もすすめられる時代です。
サラリーマン以外の選択肢を持ちたい。
そう思っている方は、本書を手にとってみることを薦めます。
こんなことは知っていたよという人にも、勇気や元気を十分に与えてくれると思います。