またもマネー本です。
今回のテーマは定年後。
私にとっては、とても身近な話題です。
さて、いくつか印象に残ったことがあるので、紹介します。
1 取り崩し期間の設定
一つ目の教えは、老後資金の取り崩し期間を設定するということです。
積み立て期間というのは多くの人が意識しますが、取り崩し期間を意識する人は少ないとのことです。
そして、運用しながら取り崩すという感覚を持つのだそうです。
そういう期間を設定し、一生の支出の設計を立てることが大切というわけです。
2 運用しながら取り崩す
筆者は3%の運用で4%取り崩すことを勧めます。
差し引き1%なので、原資は少しずつ減っていきます。
しかし、90歳までの資金を考えれば、これで十分なのだとのこと。
なるほどなあと思いました。
もちろん原資をどれくらいにするかということと、年金をどれくらいもらえるかということが関係しますけれども。
ざっくり年刊400万必要なら1億円の資産が必要ということです。
いやいや無理無理。
じゃあ年金を考えて、仮に200万もらえることにしましょう。
これなら金融資産5000万でいいとなるでしょうか。
まあ、それも無理かな。
じゃあ100万で2500万。
あとは生活費を切り詰める。
こんな感じでしょうか。
現実には、突発的な出費や医療費等がかかることも考えられるので、年間の出費も変動があるように思いますが、おそらく年齢とともにお金はそう使わなくなると思います。
まあ金融資産で4%取り崩しというのは、生活費の全額をそこから得ると考えると無理がありますが、年金その他も含めて考えていくことで見通しはもてるように思います。
一番お金がかかる子どもも独立しているでしょうしね。
3 NISAのお勧め
筆者は読者として50代を念頭においているらしいのです。
私は正にどんぴしゃりなんですね。
それで、イデコや積み立てNISAじゃなくて一般NISAを勧めます。
これは分かります。
イデコや積み立てNISAは、運用期間を長く設定しています。
50代の老後は、そこまで来ていますから、そんなには待てません。
なので、5年間で1年120万まで運用できるNISAを勧めているのでしょう。
合計600万、大きなお金ですが50代にはそんな大した額ではないと思います。
しかし、数千万円の金融資産を作らないと4%取り崩しも大した額にはならないのにと思ってしまいますが、優遇税制ではこれが限界です。
あとは20%の金融所得課税を払うしかありません。
国ももう少しなんとかしてくれないですかね、預金に金利がほぼつかないのだから。
さて、使えるものは使うということで、どうせ金融資産を買うのであれば、NISAを活用することはマストといえるのでしょう。
ただこのNISAなんですが、5年経ったら口座を移動しなくてはいけなかったり、移動の上限があったりと面倒くさいのも確かです。
こういうのが嫌だからもういいや、と思ってしまうと結局損をするので、地道に勉強するのがいいでしょう。
ただ、岸田さんがどうもNISA制度の変更を考えているらしく、正しい知識は常に更新されるので、ここで正解ということは伝えにくいです。
現行NISAは2023年で終わり制度が新NISAがスタートするのですが、これは投資対象が変わるくらいでそう大きな変更はないようです。
が、これがさらに変わる可能性があるのです。
なんだか優遇しているのか、複雑にして使わせないようにしているのかよく分からない感じですね。
とにかく、高齢者が金融資産を買おうとしたら、だいたい失敗する一気にどかっと購入するというやり方ではなく、NISA程度で短期に始めるのがいいとのことでした。
金融資産って、急にマイナスになったりすることもあるので、それに耐える気力を持つためにも、少額スタートはいいと思います。
この本を読んで目新しかったのは、高齢者に金融資産を勧めていたことです。
あんまり高齢者に勧める人はいないのです。
なんで勧めていたかというと90歳をゴールとしているので、70代はまだまだ運用期間ということだからだと思います。
でも、60歳過ぎたら再雇用でも収入激減なので、収入増加はないと思いますから、ある資産を運用して、少しでも長持ちさせるというのが主眼なのでしょう。
引退ってどんどん先になるなあ。
そんな気持ちで読み終えました。
まあ、勉強になった一冊ではあります。