1 独立金融アドバイザーの本
「ほったらかし投資」という用語を使った本は複数でています。
本書は、独立金融アドバイザーの前川富士雄さんの著書です。
投資に関する本は多く出版されていますが、やはり著者によって商品の薦め方がちがっています。
その辺りに注意しながら、本書の主張を見ていきます。

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2 分散投資
本書は分散投資をまず薦めています。
分散の反対は集中投資です。
つまり1点買いとかそんなのですね。
例えばアップルにだけ投資するとかそんなのです。
万が一、アップルが暴落したら大損です。
なので、分散しておくのがよいのです。
このあたりは、優良な投資信託を購入するのがいいとこうなるのですが、そこまでは薦めていませんでした。
3 長期投資
次に長期投資を薦めています。
つまり、売買による差額確保、いわゆる投機は避けるという考えですね。
これは、株の値動きを完全に読むことはできないし、売り買いのタイミングも人間心理でなかなか決まらない。
こういうことを踏まえてのことです。
株価がどう動くかわからないのだから、売り買いのタイミングに自信を持つことなど不可能なのですね。
また,ブラックマンデーやリーマンショックのような暴落もありましたが、長い目で見ると株価はしだいに上がっていってます。
なので長期保有をしていれば損する確率はかなり低減する。
こういうことですね。
3 積立投資
著者はドルコスト平均法での購入を薦めます。
これはどういう購入法かというと、案外簡単です。
毎月、一定額で購入し続ければいい。
そういう購入法です。
株価が高ければ、購入する口数は少なくなります。
株価が低ければ、購入する口数は多くなります。
結果、口数でバランスを取るのでリスク分散になり、購入するタイミングを迷うこともなくなります。
淡々と積立を継続していく。
これが結果的にほどよい株価で購入することにつながるのです。
4 プロの力を借りる
最後に専門家の力を借りるのがよいとサラッと述べています。
確かに相談相手が必要なことはあるでしょう。
しかし、これは自分たち独立金融アドバイザーの宣伝かもしれません。
なぜなら、著者はアクティブ運用を薦めているんですね。
完全なほったらかしならばインデックス運用の投資信託の方が楽なはずです。
売買の方針が明確ですからね。
そこを人間の判断で売ったり買ったりするアクティブ運用を薦める。
つまり、自分たちの相談枠を残したのではないか。
ちょっとそう感じました。
確かに良心的な相談者がいるのにこしたことはないのですけれど。
5 出口戦略
投資して築いた財産もいつかは使わなければなりません。
老後資金として積み立ててきたのであればなおさらです。
筆者はこのために積み立てるときの戦略と取り崩すときの戦略を述べています。
まずは、積み立てるときの戦略です。
筆者が薦めているのは「口数複利戦略」です。
これは、分配金を受け取る戦略です。
もう一つが「値上がり戦略」で、これは分配金を受け取らずに再投資していく戦略です。
こちらも有力な戦略なのですが、短所があります。
資産を使う際に取り崩すことです。
取り崩していくことで、だんだん資産が減っていく。
長生きすると不利になるというわけです。
口数複利戦略は絶対に売らない戦略です。
分配金だけを受け取り、生活していく。
なので口数は減らない。
資産が長生きする方法です。
筆者は、在職中は分配金を再投資し、引退後は分配金を受け取るという方法を薦めています。
6 総評
ほんと金融アドバイザーの主張もいろいろですね。
今の主流は、インデックス投資でのほったらかしで、しかも分配金は受け取らない再投資法です。
著者はアクティブ運用で分配金受け取り型を薦めているのでここは主流とはちがいます。
主張の根拠もわかりました。
結局、ここを決めるのは投資家になるでしょう。
となれば、完全に「ほったらかし」ではなく、自分で判断できる知識を得ることが必要になると思いました。
まあでも、世界一カンタンかどうかは置いておくとしても、投資をしたことがない人にとってわかりやすい本です。
実際に投資する際には、評判のよい書籍をもう数冊読んだ方がよいと思いましたが。