1 ギターのインストルメンタル曲
ここ数日,ずっと聴いている曲があります。
「For the love of God」という曲です。
スティーブ・ヴァイが作曲しました。
今回は,この曲について話します
2 スティーブ・ヴァイというギタリスト
スティーブ・ヴァイは,技巧派ギタリストです。
80年代にアルカトラスに加入したことで知りました。
このバンドの前任者はかのイングヴェイ・マルムスティーンでした。
ロック・ギターを知らない方には,「かの」と言っても?でしょう。
彼は,当時のロック・ギタリストの一段も二段も上を行く技巧派ギタリストでした。
「自由自在にギターを操る」とギター・マガジンで紹介されたくらいです。
彼に触発された世代がその技法を追いかけたため唯一というほどではなくなりましたが,当時はトンデモありませんでした。
あんなに正確に速く弾くギタリストはいなかったのです。
その後任がスティーブ・ヴァイです。
よくもまあ引き受けたなあというのが当時の感想です。
そして,加入後すぐに来日公演。
速すぎて弾けないところはタッピングで弾いていたのが印象的です。
スティーブ自身も「あの当時イングヴェイのように弾けるやつなんていたか」と言っています。
楽曲を損なわずに演奏していたのはすごいというのが私の印象です。
その後,バンドはアルバムを発表しました。
前のアルバムとはかなり雰囲気が違っていましたが,とてもいいロック・アルバムです。
長年,愛聴しています。
その後。スティーブはデイブ・リー・ロスのバンドに加入します。
かのダイヤモンド・デイブです。
「かの」といっても通じないでしょうが,彼はヴァン・ヘイレンのヴォーカルでした。
つまり,ロック・ギターの革命児,エドワード・ヴァン・ヘイレンと一緒にやっていたのです。
またもやすごい人の後任です。
ハッハッハ!
イングヴェイとエディの後任が務まるギタリストなんて,彼以外いないでしょう。
そんな大役をこなすことができたギタリストなんです。
デイブのバンドで2枚のアルバムに参加しましたが,どちらもすばらしい内容です。
このアルバムを聴けば,スティーブのギターがいかにすばらしいかが分かるでしょう。
3 それからのスティーブ
この後,スティーブは独自の道を歩み始め,ミュージシャンとして成功を収めます。
しかし,私はスティーブへの興味がなくなっていきました。
ストレートな,といえば聞こえはいいですが単純なロックが好きだった私は,少し凝ったところのあるスティーブの曲が好みではなくなったのです。
ギター・インストルメンタルのアルバムを発表したのは知っていましたが,聴きませんでした。
当時,ピラミッド・パワーを得て…というようなスティーブの言葉も,離れる要因となりました。
スピチュアルなことは苦手だったのです。
まったく関心がなくなってしまいました。
4 For the love of God
50代になってから,スティーブのある曲を聴きました。
You Tube だったと思います。
それが For the love of God でした。
大仰なタイトルとは裏腹に,しっとりとしたバラードでした。
少し東洋感のあるメロディも好みです。
ああ,スティーブはこんな叙情的な曲も作れるんだ。
本当に感心しました。
ただ後半のギターソロは,いかにもテクニック全盛時代の代物で,今はちょっと勘弁してほしい感じがありますが。
もうほんとに気に入りまして,なんで発表当時に聞かなかったんだろうと嘆いています。
さて,オリジナルもすばらしいのですが,あるカバー・ヴァージョンが特に気に入っています。
略称「あんきも」と呼ばれるUnlucky Morpheusというバンドの演奏です。
ヴァイオリンでカバーしているのですが,これがすばらしい。
このメロディはギターのように減衰していく楽器ではなく,ヴァイオリンのようにロングトーンで音量をコントロールできる楽器の方が向いていると思いました。
一度,聞いてみてください。
ほんとおすすめです。
5 音楽鑑賞とは
音楽を純粋に音だけで楽しめるのは,すばらしいことだと思います。
でも,自分が For the love of God を好むのは,最近の自分の事情に関連しているとも思うのです。
様々なことへの対応で疲れた自分を癒やしたい。
そんな気持ちは否定できません。
音楽に自分を投影して鑑賞する。
投影していることを自覚しているのであれば,それもまたいいのではないかと思うのです。
癒やされた後,また人生を歩いていけます。
いい曲を作ってくれたスティーブに感謝です。
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