1 UFOの特徴
UFOというバンドがあります。
おそらく現在も続いているでしょうが、黄金期は70年代です。
古いロックバンドです。
どんな特徴があるかというと、コンパクトなハードロックです。
イギリスのバンドなんですが、同時代にはレッド・ツェッペリンがいました。
ツェッペリンは、当代随一のバンドで、UFOはそれに比べるべくもない大きさです。
聴けばすぐわかりますが、ツェッペリンは新しいことをやろうとしている感じするのに対して、UFOは8ビートの普通のロックをしている感じがします。
ヴォーカルは、ロバート・プラントにもポール・ロジャースにもなれない感じです。
録音されたものを聴く限りヘタではないのですが、これといった特徴がない感じです。
それでも日本では、一部で人気があるバンドで、それはなぜかというギタリストがすばらしいからです。
黄金期のギタリストはマイケル・シェンカー。
彼の存在がこのバンドを特別なものにしています。
2 マイケル・シェンカーというギタリスト
マイケル・シェンカーは日本ですごく人気あるギタリストです。
その理由は、おそらく、彼はギターソロで旋律を弾くからです。
つまり、口ずさむようなメロディーを弾く。
それがわかりやすかったのだと思います。
例えば、ブルースを元にしたソロ、クラプトンのクロス・ロードとかですが、すごく音楽性が高いし魅力的なんですが、70年代の日本人にはわかりにくかったのではないかと思います。
クロス・ロードはそれでもよさがわかりやすい方で、ジミー・ペイジやジェフ・ベックの70年代のソロは、よさが伝わりにくかったのではないでしょうか。
マイケルのソロはすごくよさが伝わりやすい。
弾いてみたいと思わせる。
だから人気がでたのだと思います。
3 80年代のマイケル
マイケルのギタリストとしての頂点は、ソロになった80年代です。
MSGというバンドを組んだ時がその時期です。
ですが、この時期は手数が多くなって、少しわかりにくくなりました。
テクニックとしての難易度は上がっているのですが、口ずさめる感じは薄れています。
ロック・ギタリストとしては、UFOの方がよかったと思います。
楽曲もコンパクトでわかりやすかったし。
まあここでのコンパクトとは、ポップソングに近いという意味なんですけどね。
それで、マイケルのギターを楽しむなら私はUFOの曲を聴きます。
4 ロックと日本
ロックも含めてポップミュージックは楽しめればそれでいいのですが、マイケルの受け入れられ方を見ると、日本に欧米的な音楽感が普及したのは90年代以降のような気がするのです。
日本の洋楽好きっていうのは、ちょっと変わっていて、欧米よりも日本で大人気となるバンドや曲は、メロディがわかりやすいものが多かったのです。
クラシックに影響受けた曲というと聞こえはいいのですが、これの本質はわかりやすい旋律が受け入れやすかっただけ、なのでないかと思うのです。
少し崩した感じの音楽、ロックは正にそういう音楽ですが、こういう感じのストリートっぽい音楽のよさというものは、崩す前のものをよく知っていて、それによさを感じなくなっていて初めてわかるのではないでしょうか。
崩した音が日常となるまでには、相当時間がかかるのではないかと思います。
UFOのライブは大好きで、今もよく聴きます。
なのですが、このアルバムのどこが優れているかを考えると、音楽性って難しいなと思うのです。
わかりやすい旋律を弾くギターって欧米ではどう受け入れられていたのでしょう。
まあマイケル・シェンカーは、海外の多くのロックギタリストに本気で憧れられているので、彼は特別な存在です。
しかし、彼になれきれなかった、単純な旋律を弾くギタリストはどう思われていたのでしょう。
ちょっと知りたいなあと思います。