ギスカブログ

 読書しながらスモールライフ「ギスカジカ」のブログ

【ギタリスト】ジェフ・ベックの思い出

1 ジェフ・ベック追悼

今年の1月10日にジェフ・ベックさんが亡くなりました。

78歳だったそうです。

今の平均寿命からすると少し早いかな。

実に残念です。

ジェフ・ベックさんの思い出について語りたいと思います。

2 ジェフ・ベックとの出会い

ジェフ・ベックさんの名前だけは1978年頃に知っていました。

ギター雑誌にストラトキャスターレスポールのそれぞれを使うギタリストの紹介があって、ストラト愛用者としてベックさんが載っていたのです。

ピックアップセレクターが3つのミニトグルスイッチに替えられたギターでした。

変わった改造をするんだなあと思ったことを覚えています。

演奏を初めて聴いたのは、1984年です。

この頃ようやくエレキギターを手に入れて練習を始めました。

それでギター雑誌を買ったのです。

ギター・マガジンでした。

ヤング・ギターは450円、ギター・マガジンは400円。

安い方を買ったんです。

表紙がジェフ・ベックさんでして、巻頭でインタビューと奏法解説が載っていました。

楽譜はレッド・ブーツ。

それでレッド・ブーツのリフを練習していたのです。

レッド・ブーツの曲をどうやって入手したのか覚えていません。

ラジオから録音したか、貸しレコード屋で借りたかどっちかでしょう。

ソロの部分は弾けませんでしたけど、このノリのいいリフを繰り返し弾いていました。

楽しかったですね。

たまたまこの部分は初心者でもすぐ弾けるので、それがよかったのだと思います。

3 ソロ・ギタリスト

ベックさんは、ヤードバーズの2代目ギタリストです。

初代がエリック・クラプトン、3代目がジミー・ペイジです。

ロックファンにとって、この2人に比べるとベックさんは印象が薄いと思います。

というのも、わかりやすい代表作がないからです。

そして、ロック・ギタリストの範疇ではあるのですが、時代ごとにジャンルを変えてきたことも、印象を薄めている要因となっています。

最初は、ブルース・ロック・ギタリストでした。

ボーカルがロッド・スチュアート、ドラムがコージー・パウエルというスーパーグループで演奏していたのですが、正直ぱっとしません。

同時期に発表されたベックさんのアルバム「トゥルース」とレッド・ツェッペリンの1枚目を比べれば明らかです。

ツェッペリンの新しさが目立つばかりです。

たまたまどちらのアルバムでも演奏されているブルースの曲、ユー・ショック・ミーを聴き比べるとわかりやすいと思います。

ブルース・ロックでは、大成功とはならなかった(あくまでクラプトンやペイジの成功と比べてですよ)ベックさんが注目を浴びたのは、フュージョンへの接近です。

当時のフュージョンはジャズ側からロックへのアプローチでしたが、ロック側から接近したのがベックさんでした。

インストルメンタルアルバム、ブロウ・バイ・ブロウは大ヒットしました。

ベックさんのメロディをギターで弾くという手法がよかったのでしょう。

これはギターでヴォーカル並の表現ができるベックさんだからよかったのだと思います。

現在でも、ベックさんの代表曲となると、この時代の曲が選ばれます。

4 演奏者としての特徴

わたしの世代からいうと、ベックさんは一つ上の世代の方が熱狂したギタリストというイメージがあります。

オールドタイプなんです。

ブルースのフレーズをロックに取り入れて演奏するギタリスト。

そういう印象です。

オールドの境はどこにあるかというとヴァン・ヘイレンです。

ヴァン・ヘイレン以前以後というのは、ロック・ギターでは大きな境目でした。

しかし、ベックさんは正確にギターを弾く方で、音が聞き取りやすいという特徴があります。

基本的なテクニックが確かなんですね。

ジミー・ペイジあたりと比べれば、技術に相当の差があることがわかると思います。

なので、オールドタイプであってもよく聴いていました。

特によく聴いたのはピープル・ゲット・レディ。

再びロッド・スチュアートと組んだヴォーカル曲です。


www.youtube.com

すばらしいヴォーカル、すばらしいギターです。

ただ当時わたしは、人にベックさんが好きとは言えませんでした。

あえてオールドタイプを好むクセの強いやつと思われたくなかったのですね。

若さ故の照れでした。

そうそう、ベックさんはエレキギターを指で弾きます。

ピックは基本的に使いません。

インタビューでは、ほんとかうそか落とすのが嫌だからといってました。

80年代中盤あたりからこういうスタイルになったと思います。

ここもギターでの表現力が高い一因になっていると思います。

ベックさんの追悼コメントである洋楽評論家がこう言っていて笑ってしまいました。

「指でものすごい速さでギターを弾く」

この人、ベックさんを本質的に知らないんだと思います。

ベックさんは指弾きで追いつかない速い曲、スキャッター・ブレインを弾く時などはピックを使います。

指を使っているのは、そういう理由じゃないんです。

もうちょっとわかってる人にコメント求めればいいのにね。

5 終わりに

有名ギタリストには、フォロワーという強く影響を受けた次世代ギタリストが現れるものです。

クラプトンやヴァン・ヘイレンには、明らかなフォロワーがいます。

リッチー・ブラックモアやマイケル・シェンカーにもいます。

性格難ありのイングヴェイにだっています。

ですが、ジェフ・ベックさんには、これといって見当たりません。

ゲイリー・ムーアジェフ・ベックのファンであることは有名ですが、演奏にそれほど類似性があるとは思えません。

そういう意味で孤高ともいえます。

他に代えがたいギタリストでした。

安らかにお眠りください。