平成の始めの頃です。
サザエさんジャンルのアニメが始まったことを知りました。
その頃はもう社会人でしたので、日曜とはいえアニメを見ることはありません。
しかし、おもしろいという声が大きく、コミックの1巻を買いました。
読後の正直な感想はこうです。
サザエさんジャンルじゃないなあ。
サザエさんと似ているのは、家族の日常を舞台としているところだけです。
これが日常アニメとして人気を博しているのかあ。
長く続くものではないだろうと思いました。
「ちびまる子ちゃん」は、昭和40年代後半~50年代初めの日本です。
70年代末期といえばいいのかもしれません。
微妙な設定です。
80年代というのは、いろいろな面で日本の変革期でした。
ここを舞台とすると時代性が強くなりすぎるように思います。
万博からウォークマンの間は、その時代を過ごした人に強い郷愁をもたせるとともに日常の便利さがほどほどで、人々の生活に均質性がありました。
そんな感じでした。
そして、漫才の手法をマンガに取り入れている。
ようするに、つっこみで笑わせるという手法です。
登場人物ではなく、語り手につっこませていました。
無邪気で素朴な行動をおもしろさに変える。
そういう手法ですが、多少の毒を含みます。
私が長く続かないと感じたのは、この毒があるからです。
しかし、その予想は外れ、押しも押されもしない長寿番組になりました。
ものを見る眼がありませんね。
絵柄とキャラクターで毒が薄められたのかもしれませんし、日本人の主流が皮肉っぽくなったのかもしれません。
この予想が当たったといえるのは、「ちびまる子ちゃん」の四コママンガの方でした。
地方紙連合に「ちびまる子ちゃん」の四コマが載っていたのですが、長くは続かなかったのです。
四コマだと、オチに至る展開が急で毒が強めに出たのかもしれません。
しかし、30数年経ったのだから、70年代に郷愁をもつ方も減ったでしょうね。
百恵ちゃんやドリフを見ていた人たちは、初老以上のはずです。
もう少数派でしょうね。
今書いて気づいたのですが、欽ちゃんや聖子ちゃんの前なんだよなあ。
ぎりぎりピンクレディーも現れていないんだなあ。
でもこの時代は家族ドラマを描きやすいのかもしれません。
おそらく「じゃりン子チエ」もその辺りの時代だと思います。
「ちびまる子ちゃん」の内容にふれずに、その特徴を切り取って書いていますが、私にとってこのマンガはそういうマンガなんです。
内容はあまり響いてこなかったのです。
ビートたけしが始めた、「結局○○じゃん」的な露悪的なつっこみで笑わせる。
現代の清少納言的な評価があったように覚えていますが、まあ女性がこういうつっこみ的なエッセイを書くとだいたい枕草子と比較されるので、目新しくはなかったように思います。
結局、漫才ですからね。
本職の漫才の方がおもしろいし。
そして、漫才は小学生向けではないしね。
まあ偏った見方といわれてても仕方ないです。
人情話とかもあるし、それが心に残っているという人もいるでしょう。
しかし、人情話が本筋ではないですからね。
「こち亀」もそうですけど、人情話が主流の作品ではないと思います。
そうそう「ちびまる子ちゃん」、「こち亀」が始まったころの時代が舞台です。
「こち亀」が昔の懐かしむ話で出てくるのは、「ちびまる子ちゃん」の少し前の時代です。
この辺りに作者の年齢が微妙に出ていると思います。
さて、長々と書いてきましたが、このように時代性が強く、中高生向けの手法で笑わせる作品が長寿を保ったのが、やはり不思議です。
世の中、何がヒットするか分かりませんね。