昨日は,部分月食でした。
かなりぶれていますが,自分ではよく撮れたと思います。
月にはウサギが住んでいる。
一般的な日本人の感覚です。
私は,ちょっと違う感じを持っています。
月には,カーティス・ニュートンが住んでいる。
そう思ってます。
1 スペース・オペラ
「キャプテン・フューチャー」を覚えている人は,50代以上だと思います。
ハヤカワ文庫で邦訳が出版されていました。
NHKでアニメにもなっていました。
未来少年コナンの後番組です。
コナンは有名ですが,キャプテン・フューチャーは忘れられたと思います。
私はアニメが先で,そこから文庫を読み始めました。
今の方が読むと,きついと思います。
何がというと,設定です。
当時でも設定は古くさかったんです。
舞台は太陽系。
9つの惑星(つまり冥王星を含む)それぞれに異星人が住んでいます。
惑星をまたにかけて,大きな犯罪を企む悪人が出現します。
宇宙警察が手を焼くその悪人の正体を暴き企みを砕くのがキャプテン・フューチャー。
本名カーティス・ニュートンです。
科学の天才,カーティスがすばらしいアイデアと抜群の行動力で問題を解決するのです。
まあ,簡単にいうと宇宙を舞台にしたスーパーヒーローもの,ある種の西部劇,日本でいえば剣豪が主人公の時代劇,そんな感じです。
こういったSFものをスペース・オペラといいました。
洗剤メーカーがスポンサーの帯ドラマ,ソープ・オペラをもじったとか。
まあ,ヒーローものは映画でもけっこう人気がありますし,そこは現代でも大丈夫でしょう。
問題は,SF設定が現代の知識とずれすぎている点です。
平行宇宙もの異世界ものの1つと割り切ればいいでしょうが,まあそういう枯れた感覚をもたないと読みにくいと思います。
2 月に住んでいる
で,キャプテン・フューチャーの設定で,カーティスは3人というか,まあ人じゃないんですけど,同僚とともに月に住んでいるのです。
月に住んでいるのはキャプテン・フューチャー一行様だけ。
文庫を読みふけった中学生のころ,月を見てあそこに住んでいるんだ,そういう設定なんだと思っていたのです。
3 アニメの挿入歌
悪人を追及する過程で,悪人の手口を暴いていくのがちょっとしたミステリー仕立てのお話でした。
設定はあれだったんですけど,筋立てはよくできていたと思います。
とても楽しめました。
人物造形は,分かりやすいキャラクターばかりでした。
人間の深みが描かれていない,という指摘は的外れでしょう。
こういうキャラクター設定がふさわしい物語なんです。
物語そのものも楽しめるんですが,私の心に今でも残っているのは,アニメの挿入歌です。
オープニングもエンディングもよいんですが,一番好きだったのは劇中に使われた曲です。
「おいらは寂しいスペースマン」
そういう題です。
これ,原作の文庫にも歌詞があります。
それにメロディーを着けたんでしょう。
これが,とってもいいんです。
題名から想像されるように,歌詞の翻訳センスは古いんですけどね。
このさびしい曲もカーティスが歌うとさびしさはどこかにいってしまう。
そんな感じで原作では紹介されているんです。
アニメでも1回しか使われていないと思います。
歌をバックに愛機コメット号が出発していくシーンはよかったなあ。
歌詞は一人でしか生きられない宇宙船乗りの感慨みたいな感じなんです。
言葉の選択がいいというわけではないんですが,人生の後半戦を生きる自分にはどこか共感できる内容です。
ちなみに,物語にはあまりそういう哀愁はないんですけどね。
4 最後に
この年になって,昔好きだったものが思い出されることが増えました。
キャプテン・フューチャーなんて,20~40代の頃には,好きだったなんて言えなかったと思います。
気恥ずかしくて。
物置の奥にきっと全巻あるはずです。
当時翻訳されていたものは。
片付けが進めば見つかるはずです。
また,読んでみようかなあ。
忘れていた自分の感情に再会できるかもしれません。