1 本書の概要
堀江貴文さんの取材本です。
題名が本書の意図をそのまま表しています。
長生きのための最先端医療の探訪です。
なかなかおもしろいところを取材していて、興味深い内容でした。
印象に残ったこと3つを述べます。
2 線虫でがんを検知する
線虫と聞いて何を思い浮かべますか?
わたしは寄生虫でした。
回虫とかそういうのです。
しかし、すべてが寄生虫というわけではなく、地中などにも多くいるそうですね。
この線虫でガンがわかるのだそうです。
しかもにおいで!
がん患者の尿に集まり、健康な人の尿から離れるという動きをするのだそうです。
驚き!!
この方法で、小児がんなど検診で見つかることが少ないがんの発見にも役立つのだそうです。
なんと元々は犬を使って調べていたのだそうです。
犬はにおいに敏感。
でも、犬が飽きてしまうので5検体ぐらいしかできないのだとか。
線虫ならば、もっと大量にできるというわけです。
においってすごい!
でも、がんのにおいがどんなものなのかはわからないそうです。
かいでみたいような、遠慮したいような。
そんな気持ちです。
3 人工冬眠で寿命が延びる
冬眠というと両生類とかは虫類とか、はたまた熊などの哺乳類を思い浮かべます。
人間は冬眠ができるのでしょうか。
人間の体温が生存ぎりぎりなのは20度だそうです。
内臓の温度、例えば直腸の温度が19度になったりすると生命の危機です。
海に落ちて長時間過ごすとこうなる可能性があるのだとか。
そこで、人間の生命維持ぎりぎりの温度は22度だそうです。
理論的には可能なのだそうです。
また、冬眠中は細胞分裂もしないため寿命も延びるのだとか。
ただし、現在は臓器の維持といしての研究をしている方はいるけれども、人間の冬眠について研修している方はいないそうです。
残念。
堀江さんは宇宙旅行に利用できるのはと、夢を広げていました。
4 カイコを使ったゲノム製薬
動物実験といえばマウス。
というくらい製薬の試験にはマウスが使われています。
しかしこのマウス、1匹1,000円なのだそうです。
高い。
けっこうな数がいないと統計的に意味ある結果が出ません。
というわけで、新薬開発は費用との戦いがあるわけです。
その困った状況に現れたのがカイコです。
あの絹をつくるカイコ。
昆虫です。
なんとカイコも糖分を与えすぎると糖尿病になるのだそうです。
そして、インシュリンを与えると数値が下がる。
人間と同じ動きをするのだそうです。
しかも、昔から増やす技術が確立されているので、大量に確保できる。
値段も安い。
というわけで、創薬の救世主のような存在なのだそうです。
意外なところに、人間と似た働きをする生き物がいるのですね。
驚きました。
5 総評
堀江さんの本は口述筆記なのかもしれませんが、無駄がない文章でとても読みやすかったです。
選んだ対象のどれもが、とても興味深いものでした。
堀江さんは120歳まで生きたいのだそうです。
わたしは、そこまでではなくても健康寿命は延ばしていきたいです。
そのためにも医学の発展に期待したいですね。
まあ、現在だと最先端医療は保険が効かないので10割なんでしょうけど。
もっと発展して安価になってくれないかなあ。