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【書評】辻秀一「いつもごきげんでいられる人、いつも不機嫌なままの人」

1 本作の概要

スポーツドクターによる心の持ちようで人生が好転することを述べた本です。

自己啓発本なのですが、ごきげん・不機嫌をキー・ワードにしているところが目新しいです。

人間、ごきげんでいられればそれに越したことはありません。

自ら不機嫌になる人は、いないでしょう。

ごきげんでありたい。

それは誰もが思うところです。

しかし、世間は世知辛い。

そうは許してくれません。

ごきげんで過ごす方法について、スポーツドクターである筆者がいろいろとアドバイスをしてくれる。

そういう本でした。

(なお著者名ですが、二点の辶で表記してますが、著書では一点のしんにょうです。)

2 自分で自分の機嫌をとる

この言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

タレントのみやぞんさんの言葉です。

過酷なロケが続いた時に発した言葉。

それが「自分の機嫌は自分でとる」でした。

ご機嫌伺いという言葉がある通り、機嫌を取るのは誰か他人であることがほとんどです。

なんなら、部下とかの立場が弱い方です。

それを自分で取る。

ここがすばらしい着眼点でした。

本書は一貫してそういう考えで書かれています。

要は、体の健康状態を自分で保つように、メンタルの健康状態を自分で保つようにするということです。

はじめに、ごきげんでいることの効用を説いています。

3 ごきげんが結果を導く

現代は結果が求められる社会です。

仕事だけではありません。

何においてもそうです。

結果がともなわないと、過程や努力も否定されがちです。

これがどういう影響をもたらすか。

不機嫌です。

結果がダメだった場合、だけではありません。

結果を求める過程でも、不機嫌です。

常にストレスを感じています。

だから、どうでもよいことにまで過剰反応し、機嫌が悪くなるのです。

報われませんね。

なので、過程を楽しむようにすること。

過程で「楽しい」という報酬を得ていれば、結果がすべてとはなりません。

そして、その方が結果がついてくる。

そう筆者はいいます。

その方がリラックスして持てる能力を発揮できる。

そういう考えです。

スポーツドクターらしいですね。

ごきげん・不機嫌は結果と直接の関係はないじゃないか。

という意見もあるでしょう。

そうかもしれませんが、結果を得られなかった場合に次に挑戦できるかどうかは大きく変わってくるはずです。

4 自分をごきげんにする方法

そこで、自分をごきげんにする方法です。

まずは、心の状態・感情に気づくことです。

心の状態を尋ねられて、このように答えることがあるでしょう。

「疲れた、休みたい」

「眠い」

「勝ちたい」

これらは、心の状態・感情ではありません。

これらは、自分の考えや判断です。

心の状態とは、イライラ・ニコニコ・ワクワクなどのことです。

悲しかったり、怒っていたり、喜んでいたり、とそういう有り様のことなのです。

この状態を認識することが、ごきげんでいるための第一歩です。

それを認識した上で、何をするか。

自分の表情・態度・言葉を選ぶことです。

極限状態で競技していたスポーツ選手を例に挙げています。

限界に近くになった時に、何を考えていたか。

いい表情でいることを考えていたそうです。

そうすることで、コンディションを保っていたんですね。

それから態度や言葉です。

自分を刺激するのは、他人の態度や言葉ばかりではありません。

自分の態度や言葉も自分を刺激します。

自分がとる態度、自分が発する言葉。

それらを慎重に選ぶことです。

著者は野球の大谷選手がインタビューにゆっくり答えていることを例としています。

大谷選手の思いはわかりませんが、確かに刺激的な発言ではありません。

自分で自分を制御する。

そういうことが大切なのです。

著者も「ごきげん道」という言葉を使っていますが、確かに簡単なことではないように感じます。

しかし、ごきげんであることの効用を考えれば、こういう「道」を歩いてみることに価値はあるのではないでしょうか。

5 総評

★★★★

よい本でした。

読んで「ごきげん」になりました。

ごきげんの効用は認めざるを得ないし、それを求めたいとも思います。

そのための方法やヒントも紹介してあります。

よくある一般的過ぎたり読者に寄り添いすぎたりする啓発本ではありません。

ただ。

魅力的な「ごきげん道」ですが、険しい道であることも見て取れます。

それでも、「やってみようか」とさせるような本でした。