ギスカブログ

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【書評】政治を動かす「税金下げろ、規制をなくせ」

1 増税だらけ

渡瀬裕哉さんの2020年の著作です。

なかなか刺激的な題名ですが、国際政治に見識のある方らしく、説得力のある主張でした。

最近、岸田総理が増税を矢継ぎ早に発表しています。

防衛増税子育て支援についての増税、それから自動車の走行距離税みたいなものもありました。

社会保障費も上がってきていますね。

ほんとうに必要なのでしょうか。

渡瀬さんはこれらについて下げられるといいます。

「利権よこせ連合」に勝つために「税金下げろ連合」を結成すればいい。

そういいます。

本書で印象に残ったこと3点について述べます。

2 トランプの功績

ドナルド・トランプ前大統領は毀誉褒貶の激しい人物です。

経営者ならではの行動力がある一方、失言も多い。

アメリカ・ファーストで国内の景気を回復させた一方、国際政治を緊張させた。

他にもいろいろありますが、こんな感じで1期で退場となりました。

そのトランプさんを渡瀬さんは非常に評価しています。

多くの規制を撤廃し、減税を実現したと。

中でも評価しているのが2対1ルールです。

2対1ルール?

本書を読むまで、こんな言葉知りませんでした。

これは規制撤廃のルールです。

「新しい規制を1つ作りたかったら、いらない規制を2つ廃止しろ」

こういうルールです。

規制でがんじがらめな日本では考えられないようなルールですね。

岩盤規制の打破!

なんていいますけど、官僚を動かすにはこのくらいしないといけないのでしょう。

これによって、自由な経済活動が進んだそうです。

さて、ここまで読んでわかった方も多いと思います。

筆者は、共和党、とりわけ立党当時の理念のままの共和党支持者なんです。

いや日本人だから支持はおかしいですね。

小さい政府主義者といった方が適切でしょう。

政府は最低限、自分たちに自由にやらせろ。

こういう考え方です。

3 無党派層はATM

選挙は風。

最近の選挙報道を見ていると、そういう評論が多いと感じます。

この風とは、その時に勢いのある方が無党派層を見方につけることです。

無党派層に支持された方が勝つ。

そういう意味では、無党派層は重要視されているといえます。

実際、テレビ報道でも無党派がどう考えているかを探る場合が多いようです。

しかし,渡瀬さんはそんなことはないと切って捨てます。

無党派には選挙の時だけ、耳ざわりのいいことを言っておけばいい。

選挙が終わればそれまで。

官僚がやりたいことを実行するだけ。

そういう政治家が多いのだとか。

渡瀬さんがいうには、その証拠に公約をなんと守らない政治家多いことか、といいます。

公約を守らなくても、仕方がなかったと言い訳をする政治家が多いともいいます。

これには同意せざるを得ませんね。

無党派層は、選挙のときにちょっと配慮しているポーズをすればいい。

そして税金や社会保障費をかけるのだ。

ちょうどいいATMのようなものだ。

本音ではこんなことを考えているにちがいない。

そう渡瀬さんはたたみ掛けます。

これに対抗するにはどうしたらいいのか。

渡瀬さんは、「税金下げろ連合」が活躍したアメリカの事例を挙げます。

パパブッシュの例です。

パパブッシュは1期で大統領職を去りました。

その原因は増税です。

パパブッシュの有名なことば「Read my lips」

ウソはつかないという意味です。

しかし彼は増税しました。

民主党に妥協したからです。

彼は選挙民に言い訳をしました。

少額だ、予算を執行するため仕方がなかった。

しかし有権者はNoと言ったわけです。

こういうことをしないと、無党派層はなめられっぱなしさだといいます。

4 10%でいい

では、どのくらい選挙で勝てばいいのか。

51%取らなくてはいけないのか。

そんなことはないと渡瀬さんはいいます。

コロナ給付金のことを思い出してほしい。

渡瀬さんはそういいます。

公明党が主張しただけで、国民1人当たりの給付金は10万円になったではないかと。

与党であるとはいえ、公明党は10%程度の議席の政党です。

それがこれだけの影響力を行使する。

5~10%でいい。

本気で税金を下げ、規制を緩和する議員を議会に送り込む。

そして、増税に賛成したらパパブッシュのごとく落とす。

こういうことをすれば、日本を変わりまた発展する。

そう渡瀬さんはいいます。

5 総評

小気味よい語り口で、アメリカと日本の政治を比較しながら述べていました。

本家のアメリカでも、民主党大きな政府でそうは考えていませんし、共和党の主流派もここまで極端ではありません。

自己責任による小さな政府は、世界的に見るとアメリカだけの特徴のようなところがあります。

ただ、日本の増税主義者を変えるにはこのくらいのインパクトがほしいところです。

現在の政府は、所得倍増はどこへやら負担倍増まっしくら、なんて揶揄されてますからね。

物価高騰時の増税とか、ほんと何も買えなくなるので考えてほしいです。