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エッセイが昔から好きでした。
朝井さんも挙げているさくらももこさんのエッセイも好きでしたし、大槻ケンヂさんのサブカル風エッセイも好きでした。
アシモフの科学エッセイも好きでした。
そうそう、直木賞といえば村松友視さんのプロレスエッセイも好きでしたね。
なんですけど、正直にいえば朝井さんのこのエッセイには、はまりませんでした。
なんでなんだろう?
朝井さんは文体も読みやすいし、おそらくは人柄もよさそうだし、ひねくれた感想や読んでて嫌になるマイナスの感情なども発出していません。
つまり、減点対象がないんです。
なんですが、実は3日ぐらい読んでるんですけど、読み進むのに時間がかかる。
わたしにはめずらしいことです。
それで、理由を考えてみました。
朝井さんのエッセイのスタイルは、自虐なんですね。
つまり、失敗談とか情けない話とか、そういうのを書くというスタイルです。
これは、話芸でも伝統的なスタイルです。
ヒロシさんのネタなんかこれですね。
他人を攻撃しない分、やさしい感じを受けます。
ということを前提に朝井さんのエッセイを再読すると、自虐がそれほどでもないんです。
いや、激しく自虐しろといっているわけではありません。
トイレを探した話とか、バレーボールでうまくもないのに持ち上げられた話とか、失敗の程度にちがいはあっても(こういうことあるなあ)という共感部分はあるのです。
ですが、(それくらい大した失敗じゃないよね)って感じで終わるというか、なんというか。
ふ~ん、そうなんだ。大変だったねえ。
と、思わずいってしまうというか。
なんだろう、感情があまり動かないんですね。
かといって、作家の職業病(と朝井さんが書いている)を発揮して捏造というか話を盛るというのも、なんかちがうと思いますし。
そうであれば、エッセイじゃなくとショートショートでいいと思うのです。
そもそもエッセイって、自分の体験じゃなくともいいですものね。
というわけで、朝井さんのエッセイが好きな人にはすみません。
悪くいう気はなかったのです。
何せ減点はありませんから。
それに、本書もエッセイ集の3冊目なんですものね。
つまりは人気があるんです。
好みじゃなかっただけなのかなあ。
ほんとうに好きな作品は、分析とか批評とかしないっていう話があります。
図らずも実証してしまった感じです。