断捨離を続けていると,懐かしいものを見つけます。
昔のマンガなどは,その最たるものでしょう。
今回は「中春こまわり君」について話します。
笑った後に,少しだけ勇気をもらえたからです。
1 「がきデカ」の衝撃
私は「がきデカ」直撃世代です。
人気があった頃,小学生でした。
今考えれば,よく意味も分からずギャグを笑っていたと思います。
特に,初期のものはおかしかった。
「練馬○○クラブ」や「白くま書房」など,思い出しただけでも笑えます。
今では自粛や規制で,こんな表現はできないでしょう。
当時も常識外れでした。
でも,そのあらゆるきまりごとを破るエネルギーも魅力でした。
一片の湿り気もない,明るいマンガでした。
2 中春とは
中年となったこまわり君は,大手電機メーカーの営業です。
息子の教育について妻と認識があわず,嫁姑問題にも気をつかいます。
つまり,普通の中年で普通の悩み事を抱える普通の人になっています。
作中,こまわり君は痛風をわずらいます。
普通の病気をしたことがないあのこまわり君が。
スーパーパワーを失ったこまわり君ですが,それでも魅力的です。
自分ができることをこつこつと重ね,問題の解決に取り組みます。
まあ,時折ギャグをはさみながら。
そこに少年時代にあった現実の枠を飛び越える様子はありません。
あるのは,不屈の態度と前向きな姿勢です。
中には,解決をせず先送りになった問題もあります。
そうであっても,問題とつき合いながら生活をしていく。
そんな態度に共感しました。
こまわり君は,その明るくエネルギッシュなものを内部に秘めたまま大人になったのでしょう。
こまわり君の同級生も,それぞれ中年となりました。
らしさを発揮しながら,自分の人生を楽しんでいるように思えます。
もちろんこれはマンガですから,非現実的な描写もあります。
でも読後,日々の生活に向かう力が沸いてきました。
現実を受け止めて,それからどうにかする。
そんなことが,自分にもできそうに思えたからです。
中年の「春」なのは,ここにあるのかなあと思いました。
「夏」でも「秋」でもなく,まだ萌え出ずる力のある「春」なのかと。
3 晩年の「こまわり君」が見たい
中春でのこまわり君は,現実と同じく年齢を重ねていきます。
小学生だった息子は,中学生となり異性の友達もできました。
まだ続いていたとしたら,現在こまわり君は初老となっているはずです。
「老春」なのか「終春」なのかは分かりませんが,まだきっと「春」であることでしょう。
晩年のこまわり君を見てみたい気がします。
どんな様子であっても元気をもらえそうな気がするからです。
断捨離の手を止めてマンガを読みふけることも,たまには悪くないと思いました。
かつて「がきデカ」の読者で,まだ読んでいない方は一読をおすすめします。
もちろん「がきデカ」を知らなくてもおもしろいですけど。