先日,フロイトとユングを対比的に説明した本を読んで感じたことがあります。
それは,網羅的な解説書を読むことも有益だとということです。
いままで,心の悩みやカウンセリングについての本を読んできましたが,鳥瞰的に解説した本を読んでいないことに気づきました。
一度,臨床心理学全体を説明した本を読むべきである。
そう思って,本を探しました。
見つけたのが「臨床心理学のすべてがわかる本」(ナツメ社)です。
そのまんまの題名ですね。
しかし,初学者向けのこういう本が読みたかったのです。
読んで印象に残ったことを述べます。
一つ目は,心に表れる様々な症状が網羅的に説明されていたことです。
強迫神経症とか統合失調症とかはさすがに知っていました。
しかし自閉症などの発達障害や五月病まで載っていて範囲の広さに驚きました。
こういうところまで,カウンセリングに来訪する可能性があるから載っているのでしょう。
しかし,ニートとフリーターまで載っているのはいかがなものか。
病気や障害じゃない気がしますけど,その状態の人の内面が病んでいる可能性もあるので,概括書としては載せておいた方がよいのでしょうね。
いやでも,この裾野を広げた感じが鳥瞰図を得ようとしている自分には向いています。
二つ目は,様々な心理療法とその技法の説明が詳しく載っていたことです。
いわゆる三大療法については,さすがに知っていたのですがその他似ついては聞いたことがあるくらいの知識でした。
ちなみに三大療法とは,精神分析療法,行動療法,そして来談者中心療法です。
行動療法に関していえば,10代以上は認知行動療法の方がさかんなような気がします。
箱庭療法なんて,ジオラマ作るくらいしか知らなかったのですが,言葉での表現が十分ではない方を対象として行うのに有効であることなどは知りませんでした。
内観療法と仏教の関係なども参考になりました。
自分がどのくらい臨床心理学を知らなかったかを思い知るとともに,臨床故に系統的に整理されていないこの学問の全体像がつかめたような気がします。
こういう本は,あまり論じられるものではないと思うのですが,やっぱり私のような初学者には,とても有用だと思います。
解説書によくある,厳密な意味でいうと正しくない説明というものもあると思います。
しかし,そういうことは今後多くの本を読むことによって,しだいに分かってくることでしょう。
今は,たくさんの知識を与えてくれたこの本に感謝をしています。