嫉妬というと恋愛感情にからむものと考えがちです。
しかし,他人をうらやむという気持ちは恋愛がからまなくとも起きます。
嫉妬というとそこに怒りが入みます。
今回は,大嶋信頼さんの「嫉妬・劣等感を一瞬で消す方法」の感想を述べながら,嫉妬について考えていきます。
嫉妬は上下関係の意識から生まれるとのことです。
自分よりあまりにも上の人だと嫉妬は生まれません。
確かにメジャー・リーガーに嫉妬は生まれません。
自分がどうしても到達できないからです。
ということは,どんな人に対して嫉妬が生まれるのか。
自分よりも少し劣っている人に対して生まれるのです。
正確にいえば,自分よりも劣っていると認識している人に対してです。
客観的な評価ではないですね。
つまり,自分より能力が下の者が自分よりいい待遇を受けている。
これは不当だ。
これが嫉妬なんですね。
なぞの公平感というか正義感というか,そういうものを根拠にしているので,自分として世をただすみたいな気分になっていることが要点です。
恣意的な感情なんだという認識がないんですね。
そこが難しいところです。
さて,この嫉妬なんですが,嫉妬しているということを本人よりも周りが気付くことが多いです。
私は不満だ。
こういうことを表情や言葉尻で表しますので,隠しきれないものです。
というか,不満だということを知ってほしいので,それは嫉妬している方の隠れた本心でもあります。
あくまで,嫉妬ではなく,「正義感」にかられた行動ではありますが。
つまり,周囲の方に自分の味方になったり解決を助けてほしかったりしているわけですね。
ところが,周囲から見るとこの感情は正当ではないわけです。
ですから,賛成するわけにも共感するわけにも,ましてや手助けするわけにもいかないのです。
困ったものです。
したがって,ただただ周囲の雰囲気が悪くなるという現象が起きます。
それで,周囲の者がストレスを抱え始めると。
悪い影響が広がるわけですね。
では,嫉妬に対してどのようにすればよいでしょうか。
まずは,自分が嫉妬の状態にあるということを認識することが大切です。
自分が嫉妬をしているということを認めるのが難しいこともあるでしょう。
あんなやつに自分が嫉妬しているなんて,というわけです。
しかし,嫉妬というのは誰にでも起きる感情です。
動物的なものだと思うのがよいでしょう。
怒りの感情の一種です。
だから,嫉妬が起きたら,自然な感情だと思いましょう。
まずは,自分がそういう状態になっていること,これを認めることが第一歩です。
そこから対策が始まります。
対策の一つ目は「何もしない」です。
他人から同情や哀れみをもらっても,それで嫉妬が消えるわけではありません。
返って,同情や哀れみを受けたことで,怒りの感情が増すこともあります。
ありますというか,そうなります。
なので,なるべく放っておいてもらうことが大切です。
嫉妬は,ある種の発作なので,刺激してはいけないのです。
対策の二つ目は「相談しない」です。
これも対策の一つ目との関連です。
相談すると同情されますね。
同情は心地よいですが,解決はしません。
返ってその感情を刺激することになり,嫉妬の感情が増幅・継続します。
さわらないのが一番なのです。
ここまでで分かる通り,嫉妬とは自分に起きた感情です。
客観的な事象ではありません。
嫉妬を引き起こした原因は事象ですが,概ね自分にはどうすることもできないものです。
だからこそ,自分の心の健康を保つことが大切になります。
嫉妬は心のエネルギーを引き出すかもしれませんが,プラスに働くことはありません。
感情を上手に扱うことが大切なのです。
対策の三つ目は,10年後を想像することです。
10年経った自分を考えれば,現在の嫉妬している対象については,どうでもよくなります。
そうして,現在とらわれていることを相対化するのです。
そうすると,嫉妬していることがばかばかしく感じられてくるでしょう。
そう思えれば,もう嫉妬をコントロールしています。
この本には,劣等感についても述べられていました。
劣等感を乗り越えることも,とても大切なことです。
次は,劣等感について述べてみたいと思います。
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