1 投資についての対談本
マンガ家西原理恵子さんと投資家村上世影さんの対談本です。
初版が2019年で経済にトランプさんの影響が色濃くでていた頃ですね。
ギャンブル経験はあっても投資経験のない西原さんが投資家の村上さんに教えをこうといった形式で話が進みます。
なんとなく知っていたことがはっきりと示されていて勉強になった本でした。
2 投資とギャンブルのちがい
投資とギャンブルはちがう。
わたしはギャンブルをしない。
そう村上さんは話します。
では、そのちがいは何なのか?
期待値にあると村上さんはいいます。
ギャンブルに期待値1を超えているものはない。
やるだけマイナスである。
期待値1とは、100円かけて100円返ってくる確率です。
ギャンブルは100円かけて100円未満しか返ってこない。
だから損をする。
こういうのです。
買った人もいるのでしょうが、長くやっていると勝ったり負けたりしてを繰り返し、平均化されていきます。
そして、勝つ割合は期待値に収れんしてきます。
西原さんがよく勝つというボートレースも期待値は0.75。
0.25はお楽しみ代として胴元に取られるのです。
この期待値が最も低いのが宝くじ。
0.45で半分以上が胴元へと消えていきます。
しかし、投資の世界では期待値が1を超えることがある。
だから投資をすると村上さんは強調しました。
2 FXはゼロサムゲーム
FX(外国為替証拠金取引)も村上さんはしないといいます。
決済などで外国のお金が必要な時に手数料が安いから使うぐらいだそうです。
FXをしない理由もきわめて明解でした。
こういう理由だそうです。
ゼロサムゲームの例としてわかりやすいのはオセロです。
白の数が増えた分だけ黒の数は減る。
誰かが得すれば、誰かが損をしている。
WIN-WINには決してならない。
これがゼロサムゲームです。
1種のギャンブルだと村上さんはいいます。
しかもレバレッジ(てこ)を使って、投入金額の何倍ものお金を動かす。
大きく得をすることもありますが、負けるときは派手に負ける。
さらにギャンブル性が強いのです。
3 世界経済は成長する
それに対して株などの投資は、みんなが勝つこともあり得る。
みんなが負けてみんなが勝つ。
村上さんはそういいます。
なぜこういうことになるかというと、世界経済が成長を続けるからだそうです。
株式市場は時に暴落をします。
大きな暴落を何度も経験しました。
しかし、数年後には株価は持ち直している。
それは、経済が成長しているからだそうです。
上がり下がりを繰り返しながら成長していく。
だから投資はよい。
こういうわけです。
村上さんは西原さんに日経225を勧めました。
日経平均株価に連動するインデックスファンドです。
十分に分散されたファンドですし、長期で持てば問題なし。
こういうことだと思います。
長期で持つためには、生活資金ではないお金で投資をする必要がありますね。
4 総評
村上ファンドって、もっと仕手筋のような投機をしていた印象があるのですが、村上さんは落ち着いた語り口で投資を説明しています。
そして、それはとてもわかりやすいものでした。
ギャンブルと投資にちがい、FXの性格などなど、あっそうか!と思える内容です。
本書は対談本でもあり、難解な用語はほとんどありません。
投資初心者の西原さんの立場で読み、知らず知らずのうちに投資に詳しくなる。
そんな本でした。
気軽に読めるので、これから投資を勉強したいという方の1冊目に向いていると思います。